不登校経験者ら…卒業式をもう一度 中川翔子さんから卒業証書受け取る 主催者「過去は変えられなくても 過去の捉え方は変えられる」【news23】
卒業シーズン真っ只中、楽しかった学校生活を振り返る人もいるかとは思いますが、不登校などを理由に卒業式を迎えられなかった人たちもいます。そんな人たちのために行われたのが“卒業式の上書き”。どのようなものなのでしょうか。
不登校経験者も…卒業式をもう一度
23日、都内で行われた“卒業式”。卒業証書を受け取ったのは12歳~60歳の“生徒たち”です。
「卒業式をもう一度」。不登校などを理由に卒業式を迎えられなかった人たちなどが集まり、卒業式を上書きするプロジェクトです。自らも不登校を経験した、タレントの中川翔子さんらが発起人となりました。
中川翔子さん
「学校生活や環境にもやもやしたことがある人、自分自身の心と向き合って悩んできた方が、何か新しい発見をしたり、新しい思い出をつくることができたら素敵だなと思ったことがきっかけでした」
この日は全国から29人が集まりました。一人一人の思いは様々です。
10代
「私は小学生のときにいじめを理由に転校し、その後不登校になりました。育て支えてくれた方々に続ける人になる決意を胸に、卒業証書をいただきます」
30代
「不登校の自分を見放さなかった母には感謝の気持ちでいっぱいです」
不登校の児童・生徒は全国で約34万人。毎年増え続けています。
24歳のさゆりさん。小学5年生の時に、いじめられている友人をかばったことがきっかけで、自身もいじめに遭いました。
現在は、NPOで自分と似た経験をした人たちと向き合う活動をしています。
さゆりさん(24)
「朝登校して教室行きます、階段を上ろうとするたびに動悸が止まらなくなって怖くて。次何されるんだろう、何言われるんだろうみたいな」
中学ではいじめられないようにと、自分を偽って教室に通うことを決めました。
さゆりさん(24)
「必死に踏ん張ってたときの表情がこの写真一番出ている。嫌われないように愛想笑いしているような感じ」
しかし、次第に限界が…
さゆりさん(24)
「親と一緒に病院に行ったら帯状疱疹だと言われて、こんな体も心もぼろぼろの状態で何をしに学校行ってるんだ」
中学3年の秋から不登校になり、卒業式には、参加できませんでした。
この日、9年越しに卒業式を迎えます。
さゆりさん(24)
「緊張してたんですけど、作ってた自分と卒業。完全に決別して、ありのままの私を出すスタートなんだと思っています」
そして迎えた“卒業式”。あのとき受け取ることができなかった卒業証書を受け取ります。
さゆりさん(24)
「なんであのとき私がいじめられなきゃいけなかったんだって思うことが、今でも正直あります。昔の私にまず伝えたいのは、今もがいてることって絶対いきるし、どんな逆境も自分の力に変えて自信を持って進んでいってほしい」
中川翔子さん
「今日まで戦い抜いて、生き抜いてきた自分にどうか自信を持ってください。生きてきてくれてありがとう。かわいい生徒たち、これから先もずっと死ぬんじゃねーぞ!おめでとうございます」
さゆりさん(24)
「自分でも自分の飾らないそのままの笑顔がいいなと思えているので、笑顔で終われてよかったなと思っています。自分がこれだと思ったものに対して、周りがなんか言おうが、突き進もうと思っている」
「過去の捉え方は変えられるかもしれない」
喜入友浩キャスター:
プロジェクトの発起人の1人で不登校ジャーナリストの石井しこうさんは「過去にあった事実は変えられなくても、過去の捉え方は変えられるかもしれない」とおっしゃっています。
小川彩佳キャスター:
前向きになれる言葉ですよね。状況はそれぞれ違うとは思いますが、傷ついた分だけ優しくなったり、葛藤した分だけ強くなったり、その歩みの中でこそ得られたものがあるのだと思います。こうして乗り越えてきたという証が一つ形になるというのは、ご本人はもちろん、ご家族にとっても大きな力になりそうですよね。
本当にご卒業おめでとうございます。