迫る春節 観光地に異変 日本では「脱中国」の動き広がる…レアアース“国産化”は? 悪化する日中関係は選挙でどう変わるのか【news23】

TBS NEWS DIG Powered by JNN
2026-02-03 14:59

投開票まで1週間を切った衆議院選挙。争点の一つが、関係が悪化している中国との向き合い方です。日中関係の緊張が経済活動に影を落とすなか、観光や生産の現場では「脱中国」の動きが進んでいます。

【画像で見る】各党の“対中スタンス”

「コロナ禍みたいな感覚が…」中国人観光客が激減

“勝ち運の寺”として有名な大阪・勝尾寺(かつおうじ)。

参拝客 
「(就活で)第一志望だったところに合格できたのでお礼をしようかなと思って」

実はこのお寺、近年SNSで人気に火がつき、今は海外からの参拝客が多くを占めるように。

中国からの観光客にも大人気でしたが、日本への渡航自粛が呼びかけられたことで、団体客が減っているといいます。

勝尾寺 広報担当 山田祐介さん
「(中国人観光客は)今までは1日4、5件くらい団体ツアーで来ていたが、最近は1件あるかないかというところ」

そこでいま、観光の形が変わりつつあるのが「京都」です。

京都市観光協会が実施したアンケートでは、春節期間の予約が「減った」と答えた宿泊施設は全体の6割を超えました。

また、中国人の宿泊需要減少への対応として、「販売価格を下げて稼働率を高める」とした施設も3割以上ありました。

佐賀から京都に来た観光客
「今の時期は中国の方も来られない方が多いので、寒いし、お安いかなというので」

ーーホテル代1泊いくら?
「1人あたり1泊6000円くらいかな」

清水寺に通じる参道で、長年店を構える人は“今は日本人が観光するチャンス”だと話します。

瓢箪屋 七代目店主 大井秀民さん
「(日本人は)ゆっくりきはって、ごった返しの京都ではなく、ちょっと人は多いかもしれんけど、昔みたいに行列の街ではなくなりつつあるさかいに、ほっとしてる」

ただ、中国人の客が4割だったレンタル着物店は“大打撃”を受けています。

レンタル着物 和華 河野敏郎代表
「全然って言っていいほど(中国人は)来られてませんね。以前のコロナ禍みたいな感覚が若干よみがえってくるような…」

そこで、考えているのが…

レンタル着物 和華 河野敏郎代表
「日本の方にシフト、日本の方にも来てもらえるような施策も今考えている」

“脱中国”で切り拓く新たな販路

「脱中国」に向け、動き出したのは観光業界だけではありません。

北海道・函館市にある水産加工会社「きゅういち」。3年前までホタテの3割を中国に向けて輸出していました。

しかし、福島第一原発のALPS処理水の放出に対し、中国政府は日本産水産物の全面禁輸に踏み切りました。

きゅういち 餌取達彦社長
「当時は本当に短期的に“ホタテの在庫の山”という状態。これをどうするんだって本当に困惑していたのが当時の状況」

行き場を失ったホタテは通販サイトで販売するなどして、なんとか窮地を乗り切りました。

きゅういち 餌取達彦社長
「中国とのビジネスっていうのは、短期的にはなかなか考えにくい状況だと、いま捉えている」

いまでも中国には輸出することができないため、欧米や東南アジアに広く輸出するようになったといいます。

きゅういち 餌取達彦社長
「日本の水産物というのは世界でちゃんと評価されるべき、強い商材というか『戦える商品』だと思う。そういった目線で、中国に縛られることなくビジネス展開をやっていければいいと思う」

中国頼みの「レアアース」 国産化は?

一方で、中国に頼らざるを得ない企業もあります。

記者
「坂道をすいすい走る電動車いす。小さなモーターの中にはレアアースが使われているということです」

車輪に収まるほどの小さなモーターで、体重100キロの人も運ぶことができる電動車いす。

コアレスモータ 白木学社長
「マグネット(磁石)です。これが非常に薄い。いままでのものだとすごく厚い。それがこんなに薄く」

小型化のカギを握るのは「ネオジム磁石」。従来の磁石よりも強力な磁力をもつ上に、形を変形できるこの磁石には、中国から輸入されたレアアースが不可欠だといいます。

コアレスモータ 白木学社長
「レアアースを使わないでやる方法もあるが、そうするとどうしても重くなってしまう。(レアアースと)比較すると負けてしまう」

ーー中国のレアアースが止まるときついですか?
「現時点ではダメだが、日本でも(レアアースが)出てくることを期待している。日本から出てくると、向こう(中国)との交渉もすごくやりやすくなる」

白木社長が期待を寄せるのが、海底レアアースの掘削です。

政府は2月1日未明、南鳥島沖で水深6000メートルから、レアアース泥の回収に世界で初めて成功したと発表。

現在、7割以上を中国からの輸入に頼るレアアースの「国産化」を目指しています。

“脱中国依存”の動きはほかでも。

総合商社「双日」と経産省が所管する独立行政法人「JOGMEC(エネルギー・金属鉱物資源機構)」は、オーストラリアでレアアースを採掘する企業「ライナス」に投資を行い、日本への輸入を本格化させています。

JOGMEC 担当者
「例えば主に磁石に使われるネオジムについては、日本における使用量の6〜7割をライナス社から確保できていると聞いている。日本へのレアアース供給に着実に貢献していると考えております」

現状は、レアアースの輸入を中国に頼らざるを得ないのが、実情の日本。

白木社長は政治に何を求めるのでしょうか。

コアレスモータ 白木学社長
「もともとレアアースだって、『(中国)あんたのところが作ったんじゃない』『これは地球上のものでしょ』と。『みんなが仲良く使わないと意味がない』と冗談を言いながら安く買うが、人との付き合い、政治との問題、とにかく基本的に喧嘩をしないこと。戦争をすることが一番おろかなこと」

在日中国人 日中関係に望むことは?

中国から来日し、日本で暮らす人々はどのように感じているのでしょうか。

在日中国人の交流の場にもなっている書店で聞きました。

日本在住15年 
「街中や電車の中の雰囲気は、数年前に比べるとかなり緊張しているように感じます。関係がもっと穏やかになることを望みます」

局外人書店 趙国君店主
「私の書店のほとんどのお客さんは、在日華僑と中国からの旅行客ですが、旅行客は明らかに減りました。日中関係は世界に影響を与えるので仲良くすべきです」

悪化する日中関係 各党の“対中スタンス”とは

藤森祥平キャスター:
各党の中国とどう向き合うか、スタンスについての公約は以下のようになっています。

【対中スタンス】※TBS各党アンケートより
●自民 「建設的かつ安定的な関係構築目指す」「挑発的行為には冷静かつ毅然と対応」
●維新「戦略的互恵関係の推進に向け対話」「法の支配等が懸念される場合は毅然と対応」
●中道「戦略的互恵関係を推進」「力による現状変更等には毅然と対峙」
●国民「海洋進出に対応し米・印・アジア太平洋諸国と連携強化」
●共産「台湾有事発言は撤回」「中国による経済的威圧に反対」
●れいわ「台湾有事発言を撤回」「中国との関係修復を目指すべき」
●参政「中国依存を減らし供給先の分散を進める」「南西諸島の防衛体制を強化」
●ゆうこく「一方的な現状変更等には懸念を示しつつ、対話の窓口を閉ざすべきではない」
●保守「経済力を取り戻せば中国は姿勢を改めるはず」
●社民「台湾有事発言は撤回」「関係改善に取り組むべき」
●みらい「戦略的互恵関係を推進」

挑発的な行為には毅然と対応するなどある中で、台湾有事発言は撤回すべきだと訴えている党もあります。

小川彩佳キャスター:
日中関係悪化の影響が出ている中で、中国とどう向き合うかも争点ですね。

TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
台湾有事を巡る発言は、高市総理の国会答弁で起きていることですから、高市総理の責任で収集する必要があると思います。

ただ今、G7の首脳が続々と中国を訪れています。2025年12月にはフランス、2026年1月にはカナダ、イギリス、そして2月にはドイツが訪中予定です。

G7の各国にとってはアメリカへの牽制という狙いもありますが、4月にはアメリカのトランプ大統領自身も訪中するとみられています。

世界が、中国をめぐって活発な外交を繰り広げている中、日本はまったく交流がなく、首脳会談も望めない上に、外務大臣や経団連の代表さえ(中国に)行けないという状況です。

この問題を高市総理が、どう捉えていて、どう収集を目指すのかということを、選挙戦で聞きたかったのですが、高市総理はけがを理由に、週末のNHKの討論番組出演をキャンセルするなどで、機会がありませんでした。

ぜひ選挙中に、中国の問題をどう収集するのか明確に説明してほしいと思います。

選挙終盤に向け気になる選挙情勢は…?

藤森キャスター:
JNNの序盤情勢調査の結果によると、自民党が単独過半数をうかがう勢いであるということでしたが、終盤をどのようにみていますか。

【JNN序盤情勢調査】
●自民(198):208~296
●維新(34):29~37
●中道(172):84~161
●国民(27):21~33
●共産(8):2~7
●れいわ(8):~0
●参政(2):7~15
●ゆうこく(5):1~2
●保守(1):~0
●社民(0):~0
●みらい(0):3~8
●諸派・無所属(10):5~9
※1月28日・29日
※インターネットで実施 取材を加味して分析
※()内は公示前の議席

TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
2日の朝日新聞の情勢調査によると、自民と維新で300議席を超える勢いだということで、自民党の勢いが強まっているように見えます。

要因の一つは、高市総理の支持率が高いことで、自民党が今まで取れていなかった無党派層に食い込んで、無党派層を取り戻しつつあるということです。また、今まで参政党に取られていた保守系の票も戻りつつあるのだろうと思います。

藤森キャスター:
高市総理は、自民・維新の与党で過半数の233議席を目指していますが、300議席を超えて、3分の2の310議席に迫る勢いかもしれないということですね。

TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
まだ選挙戦はまだ5日ほどありますから、今後の動向に注目です。

藤森キャスター:
野党については、どう見ていますか。

TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
新党「中道」は、できたてホヤホヤなので“浸透していない”というのがあります。

中道は立憲と公明が合体した新党ですが、特に公明党の支持母体である創価学会は26年間、自民党と連立を組んで、一緒に野党と戦ってきたわけなので、切り替えがなかなかうまく進まないというのがあるのかもしれません。

1月30日には、創価学会の機関紙とも言える聖教新聞が、中道が推す候補者一覧を大きなスペースで掲載しました。

これによって、創価学会の人たちが「この候補者に投票すればいい」と認識したのか、急速に創価学会の活動が活発になってきていると、各地の選挙を取材して感じます。

投開票日の8日に向けて、自民党は組織・業界を固めてくるでしょうから、自民党の組織固めと、創価学会、労働組合がどのように勢力を強めていくのかが、見どころだと思います。

小川キャスター:
組織票に加えて、浮動票の行方も見えていないところがありますよね。

TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
自民党は、浮動票を高市人気で集めましたが、自民党がどんどん有力になってきている中で、浮動票の人たちの判断も問われてくるかと思います。

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