【独自】千葉・銚子ホテル休業問題 買収した24ホテル・介護施設で休業・廃業 中国人を狙ったビジネスとは?杜撰なM&Aの実態【news23】

2025年末、千葉県銚子市のホテルが突然、休業し連絡が取れなくなった問題。このホテルを運営する会社は、他にも数多くのホテルや介護施設などを買収し、少なくとも24の施設で休業や廃業となっていることが私たちの取材でわかりました。背景には中国人をターゲットにしたあるビジネスの存在が…。
【写真で見る】社長を直撃 ホテルなど24か所が休業か廃業に…
突然休業「連絡が取れない」 問い合わせ相次いだホテルは今
日本一早く初日の出を見ることが出来る、千葉県銚子市。
市内にある「ホテルニュー大新」は、自然庭園が一望できる露天風呂や、銚子の海で獲れた新鮮な魚が自慢でした。
しかし、2025年11月ごろ、予約客らから「ホテルと連絡が取れない」との問い合わせが観光協会に相次ぎました。
記者(25年12月26日)
「きょうも『本日休館』という紙が貼られています」
2024年にこのホテルを買収したという運営会社の社長は、休業の理由をこう説明しました。
ホテル運営会社 社長
「今回、本当にご迷惑をかけましてすみませんでした。老朽化してリフォームをかけたいので、大規模の修繕もしたいから。来年春くらいに再オープン予定です」
それから4か月。春になり再びホテルを訪れると…
買収した37か所のホテル・介護施設 24か所が休業か廃業に…
記者(4月28日)
「ホテルは電気が消えたままで、リフォームしている様子は確認できません。『本日休館』という紙が依然として貼られています」
一体、何が起きていたのか。
取材を進めると、ニュー大新の運営会社が、他にも数多くのホテルや介護施設を買収していたことが分かりました。
複数の関係者への取材で、社長が2020年から関東地方を中心にホテルと介護施設を少なくとも37か所買収。
運営を続けているところもありますが、少なくとも24のホテルと介護施設が休業、または廃業となったことがわかりました。
「督促状ばかり…」廃業に追い込まれた介護現場
千葉県船橋市にある介護施設。社長の会社が2023年に買収し、運営していましたが…
船橋市の介護施設 元施設長
「家賃も払ってなくて水道代・ガス・光熱費等も全然支払えていない状態です。督促状ばっかりなんですけど」
資金繰りが悪化し、施設は25年10月に休業し、その後廃業。約15人の利用者は、他の施設に移らざるを得ませんでした。
船橋市の介護施設 元施設長
「スタッフの給料とか、こちらの家賃とか全然支払えなくなって。(スタッフから)『きょう給料入る?』ってそんなこと言われたことは今まで一度もなかった。あれ超つらいですね。『ごめんね。わからないんだ」って。給料も支払えないという地獄だったので、本当に返してくれ」
このような事態は他の施設でも。
神奈川県の介護施設は、社長の会社が2022年に買収するも資金繰りが悪化し、2025年9月に廃業しました。
廃業の3か月前には、“予兆”ともとれる出来事があったといいます。
神奈川県の介護施設 元施設長
「運営していくお金を減らされました。スーパーバイザーから『社長が減らすから』と言われて」
なぜ、廃業が相次いだのか。
日本のビザ取得目的でM&Aか 元社員が証言
私たちは、社長の会社の元社員に話を聞くことができました。
浮かび上がったのは「杜撰なM&Aの実態」でした。
社長の会社の元社員
「(介護施設を)安くて100万円から高くて500万円で買って、中国人のオーナーに、安くて4000万円から売っております。高いと8000万円とか、銀座だと1億円とか」
複数の元社員などによりますと、社長は中国出身。
買収した日本のホテルや介護施設を中国人オーナーに高値で売却したうえで、施設の運営を社長の会社が担っていました。
社長の会社の元社員
「いくら私達が『(会社が)赤字で(M&A)無理ですよ』と言っても、社⻑は『いや、買う。場所がいいから買う』。誰が言っても止められない状態でした」
事業の採算が厳しくてもM&Aを進めた社長の目的は何なのか。私たちは、そのヒントとなるものを入手しました。
社長の会社が中国・北京で開催した投資セミナーの広告には、移民や永住ビザ、介護施設の文字が書かれています。
元社員などによると、社長はホテルや介護施設のオーナーになれば、日本に在留できる「経営・管理ビザ」を取得することができると投資を募っていたといいます。
社長の会社の元社員
「ビザを取るためって(社長から)聞いてます。会社のビザがあればいつでも(日本に)来られる」
社長の会社の別の元社員も証言しました。
社長の会社の別の元社員
「中国人オーナーの本当の目的もビザを取得すること。オーナーが払う金の中には、ビザの手続き費用が含まれていた」
社長を直撃も回答せず 質問状に弁護士は「3月中には全て解決予定」
目的は中国人オーナーのビザ取得だったのか。そして、賃金未払いの実態は。
私たちは1月下旬に社長を直撃しました。
Q.ホテルニュー大新以外にも、給料未払いはありますよね?
社長
「弁護士と相談してから取材を受けますので」
Q.取材は受けてくれるんですか?
「弁護士と相談してから」
Q.きょうですか?
「きょうはだめ。弁護士立ち会いじゃないとだめ」
Q.いつですか?
「弁護士と相談してから連絡します」
弁護士に質問状を送ると、3月にこう返信がありました。
3月9日付けの文書
「ホテルニュー大新は、オープン日が決まりましたらHP等で告知いたします。賃金のお支払いは、ほぼ全て完了したと認識しております。今月中には全て解決される予定です」
また、「経営・管理ビザの取得が目的か」という質問も、「一般的に企業がM&Aをされることと同様です」とだけ回答がありました。
いまだ約240万円の給料が未払い… 元施設長「本当に信じられない」
しかし、廃業した船橋市の元介護施設長の男性は、今も約240万円の給料が未払いだと訴えています。
船橋市の介護施設 元施設長
「みんなそこで一生懸命働いて、利用者様のことを大切に楽しませてくれてるのに本当に信じられないですよ」
40人がサービスを受けていた神奈川県の介護施設。
元施設長の女性は、今も利用者のことが頭から離れません。
神奈川県の介護施設 元施設長
「本当に続けていたいし、この人たちのために一緒に運動もしてあげたいし、みんなで泣いていたんです。やっぱり悔しいです」