担任も授業も子どもが選ぶ “自由すぎる小学校”誕生のワケ 入学希望者続出の一方「受験との両立」課題も【Nスタ解説】

TBS NEWS DIG Powered by JNN
2026-05-12 20:20

時間割を決めるのも、担任を選ぶのも子どもたち。

【写真を見る】トラブルは“子ども法廷”で解決 台湾の“自由すぎる小学校”とは

いま台湾で広がっているのは、子どもたち自らの「選択」を重視した“自由すぎる”学校。その教育現場を取材しました。

オルタナティブ教育の“草分け的”存在 学校誕生の背景にオードリー・タン氏 

高柳光希キャスター:
既存の学習カリキュラムにとらわれない「オルタナティブ教育」。台湾では2010年代以降に増え始めました。

今回取材した「種の親子小学校」は1994年に設立され、オルタナティブ教育の“草分け的”な存在だといわれています。

その誕生には、2016年に台湾史上最年少の35歳でデジタル大臣に就任した、オードリー・タン氏(45)が深く関わっているということです。

新型コロナ対策では、市民に配る「マスクの在庫管理をするアプリ」を開発し、 「世界一のコロナ対策」として日本でも話題になりました。

その一方で、小学生の頃から決められたカリキュラムでの教育などになじめず、自宅で学習をしていたという背景を持っています。

オードリー・タン氏の母親が、そうした子育ての経験の中から、子どもの「才能」や「創造力」を伸ばす教育を実践する学校を作ろうと、複数の保護者たちと設立に関わったということです。

担任もチャイムも自分たちで選択 「過程」を重視して評価

高柳キャスター:
子どもたちの「選択」を重視するという「種の親子小学校」では、様々なことを選択します。

▼クラス(担任)
→同じクラスでも年齢はバラバラ

▼始業の「チャイム」

▼6時間目まで授業があるが、時間割に「空き時間」を設けることも可能
→子どもによって考えるペースが違うことに配慮した仕組み

▼成績評価も「積極的に取り組んでいた」など、「結果」より「過程」を重視

井上貴博キャスター:
これから間違いなくAI社会となる中で、自分の選択に責任を持つ子どもたちは心強いですし、受け身ではなく能動的に動くことの大切さがより増していくと思います。

俳優・タレント 大和田美帆さん:
私は「AI」と「遊びが少ない」ということを課題だと考えています。大人が、時代とともに教育現場について考えていかないといけないと思います。

今は“考えることを大事にしている学校”は少ないかもしれませんが、いずれは、こういう学校の方が多くなっていくかもしれません。

“お試し期間”設置で「選んだ責任感」を育てる 先生との“絶妙な距離感”も

高柳キャスター:
子どもたちに裁量を委ねすぎることで、上手くいかないこともあるのでしょうか。

JNN上海支局 高田裕介 支局長:
実際に「選んでみたが、合わなかった」というケースもあるそうです。

そのため学校では2週間の“お試し期間”を設けていて、その間に続けるかどうかを子ども自身が判断します。 

学校側は「自分で選んだからこそ、責任感も生まれる」と話していました。

一方で、選択制にすると、どうしても子どもたちは好きなことばかりを選び、苦手なものを避けてしまう傾向もあります。

そこで重要になるのが先生の存在です。「意外と向いているかもしれない」、「こんな面白さもある」と声をかけながら、子どもたちの興味の幅を広げていくといいます。

そのために先生が子ども一人ひとりの性格や好みを深く理解している必要があり、学校では、先生と子どもの距離の近さがとても印象的でした。

生徒数は10年で約10倍に 台湾が推し進める教育の多様化

高柳キャスター:
台湾も、日本と同じように一般的には「つめこみ型教育」が主流と言われています。

こうした中、2014年に一般的な学校とは違う教育方針の学校を正式に認める「実験教育三法」という制度が成立しました。

その結果、生徒数は約10倍に、学校数は約130校増加しました。

▼生徒数
2014年:2823人
2024年:2万7021人

▼学校数
2015年:11校
2024年:140校

なぜ台湾はこうした教育を認め、推し進めてきたのでしょうか。

JNN上海支局 高田裕介 支局長:
「暗記型だけでは限界がある」という考え方のもと、法整備され、教育の多様化が進められました。

背景には、国際競争力を意識した人材育成の考え方もあるとみられています。「自分で考える力」や「創造力」を養い、世界で活躍できる人材を育てたい、そんな狙いもあるとされています。

課題は「自由」と「受験」の両立 それでも“自分の道”を見つける子どもたち

高柳キャスター:
新たに課題なども見えてきたのでしょうか。

JNN上海支局 高田裕介 支局長:
私個人としては、一番の課題は「受験との両立」ではないかと感じました。「自由な教育」と「受験競争」のギャップは、やはりあると思います。

台湾では大学入試も多様化しているとはいえ、依然として学力試験は重要です。 そのため、従来とは異なる環境で育った子どもたちが受験に適応できるのか、不安視する保護者の声もあります。

一方で、学校に卒業生の進路を尋ねると、芸術分野など創造性を生かした仕事に進む人もいるほか、宇宙が好きだった子どもが、そのまま宇宙工学を学ぶため有名大学へ進学したケースもあるといいます。

進む道はさまざまですが、「自分のやりたいことを自分で見つけていく力が育っている」と学校側は話していました。

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<プロフィール>
高田裕介
JNN上海支局長
台湾では民族文化を学ぶ小学校も取材

大和田美帆さん
俳優・タレント
音楽療法士・子供心理カウンセラーなどの資格を持つ
「一般社団法人 子どもが笑えば世界が笑う」代表
1児の母

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