治療は「早期発見がカギ」 “夏の脳梗塞”は熱中症とそっくり?見逃せない“サイン”とは?【Nスタ解説】
人気お笑いコンビ、サンドウィッチマンの伊達みきおさんが診断された「脳梗塞」。どのような症状が出るのか?予兆はあるのか?「脳梗塞の治療」の最前線を取材しました。
【写真を見る】一つでも当てはまったらすぐ病院へ 脳梗塞のサイン「FAST」
患者数は約131万人 脳卒中の7割を占める「脳梗塞」とは
山形純菜キャスター:
まず、「脳梗塞」とはどういう病気なのでしょうか。
脳の血管に起こる病気の総称を「脳卒中」といいます。
大きく分けて2種類あり、1つが脳の血管が破れる「脳出血」や、血管にできたこぶが破裂する「くも膜下出血」など、「出血」が脳にダメージを与えるものです。
そしてもう1つが、血管が詰まり脳細胞が壊死、機能を失う「脳梗塞」です。
脳卒中の7割が脳梗塞で、 厚生労働省の患者調査によると、2023年時点で約131万人の患者がいるとされています。
なぜ脳梗塞は発症するのか。そして、どういった症状に注意すべきなのでしょうか。
脳梗塞の主な原因といわれているのが…
▼血管の老化
▼血液がドロドロになることで血栓ができやすくなり、血管がつまってしまう
▼心臓にできた血栓が血液によって脳まで運ばれ、脳の血管で詰まってしまう
特に、▼高血圧、▼糖尿病、▼喫煙・飲酒、▼コレステロール値が高い、▼生活習慣の乱れなどがリスク要因となり注意が必要です。
脳梗塞は夏に発症しやすい?汗やエアコンなどの脱水が関係か
山形キャスター:
脳梗塞は季節も関係しているということですが、夏に発症しやすいのでしょうか。
横浜新都市脳神経外科病院 森本将史 院長:
元々夏は、汗をかいたり、エアコンでの乾燥などによって脱水症状が起きやすく、特に脳梗塞の場合は、脱水がかなり関与してきます。
脳卒中は、一年を通して一定に多いんですが、特に高齢化社会になってから、脳梗塞に関しては夏に多くなっている印象があります。
井上貴博キャスター:
最近は高齢世帯だけではなく、若い現役世代の間でも増えていると聞きます。
食生活が関係しているということですが、塩分やカロリーなど何が関係しているのでしょうか。
横浜新都市脳神経外科病院 森本将史 院長:
最近はコンビニでも、手軽に美味しいものがいっぱい出てきています。
ただ、すぐに満腹にしようと思うと、高脂質で高カロリーのものが多くなり、コレステロールも多くなります。また、味の濃いものをおいしいと思う人が多いため、塩分も多くなります。
塩分が多いと血圧が上がりやすくなり、コレステロールが多くたまり、血管が細くなります。
そしてもう一つは、インターネットやSNSの利用によって、生活リズムが乱れやすい現代社会になっていることが、ストレスを増やしていることも大きな原因ではないかと言われています。
出水麻衣キャスター:
生活習慣と遺伝的要因では、どちらが多いのでしょうか。
横浜新都市脳神経外科病院 森本将史 院長:
生活習慣の方が多いと思います。
熱中症との見分け方は? 脳梗塞に特徴的な「局所症状」のポイント
山形キャスター:
脳梗塞の初期症状では、▼めまい・ふらつき、▼脱力感、▼吐き気、▼意識低下などがみられます。
暑い時期にこの症状が出ると、熱中症だと勘違いしやすいと思いますが、それはどのように注意すればよいのでしょうか。
横浜新都市脳神経外科病院 森本将史 院長:
当院に搬送されてくる患者さんでも、最初は脳梗塞疑いで来ましたが、実際に脳の検査をしたら熱中症だったという患者さんも中にはいます。
見分ける大きな特徴としては、熱中症の場合、意識障害やめまいなど体全体の症状が出て、局所の症状がなかなか出ません。
脳梗塞の場合、どこに脳梗塞ができるかによって、片方の手足だけに麻痺があったり、言葉だけが問題だったり、局所の症状がそこに伴いやすいです。
井上キャスター:
目のサインもあるといいますが、片目だけ見えなくなり、それが数分で自然に戻ったりする一過性の症状だと「大丈夫だ」と思ってしまいそうなのが、厄介ですね。
横浜新都市脳神経外科病院 森本将史 院長:
その判断は本当に難しいですが、「一過性脳虚血発作」という名前があるぐらい、症状が出ても治まることがあります。
なので、「症状が起きたら、必ず油断せずに一度専門家に診てもらうことを心がけてほしい」ということを患者さんによく言っています。
一つでも当てはまったらすぐ病院へ 脳梗塞のサイン「FAST」とは?
山形キャスター:
脳梗塞かどうか、どう見分ければいいのか。そのポイントをまとめたのが「FAST」と呼ばれるものです。
【脳梗塞のサイン“FAST”】※厚生労働省HPより
▼Face(顔):片側のまひ
▼Arm(腕):片腕に力が入らない
▼Speech(言葉):ろれつが回らない
▼Time(時間):すぐに病院へ
横浜新都市脳神経外科病院 森本将史 院長:
顔の症状では、例えば、物を食べてるときに片側からばっかり何か漏れてくるとか、言葉の滑舌が自分が思っているように喋れないとなったとき、口をぐっと上げると、自分では上げているつもりが片方だけしか動いていないというのが鏡を見ればすぐわかります。
そうした場合、まず脳梗塞の疑いがあると思ってもらった方がいいと思います。
腕の症状は、明らかに力が入らないときはすぐにわかると思います。ただ、何か物を持ったときに落としてしまうとか、何かいつもと感じが違うという微妙なときもありますよね。
そのときは手を挙げて目を閉じてみてください。脱力している方の手は、小指側から下がってきます。自分では保とうとしていても、自然に落ちてきた場合は、脳の症状だと思っていただいた方がいいと思います。
井上キャスター:
これも一過性で戻ることもあるのでしょうか。
横浜新都市脳神経外科病院 森本将史 院長:
一過性で戻ることもあります。さっきは持てなかったけど、持てるようになったなということもあるので、そこが難しいポイントです。
言葉の症状に関しては、外来に「滑舌がちょっと悪いんです」という患者さんが来られたときに、「ぱぴぷぺぽ」「さしすせそ」「らりるれろ」などを言ってもらい、口の開きや舌の動きがちゃんとしているか調べる方法をよく使います。
そういった言葉を自分で言ってみて、ちゃんと言えているか確認してもらったらいいと思います。
山形キャスター:
「ぱぴぷぺぽ」は口を最も閉め、「らりるれろ」は舌を最も使うということで、こうした方法で確認するといいということです。
いま紹介した症状に一つでも当てはまった場合、すぐ病院へ行くことが大切なんだそうです。
脳梗塞は“時間との戦い” 後遺症のリスクを減らす早期発見・早期治療の大切さ
山形キャスター:
脳梗塞は早期治療がカギとなります。
原則、発症から4.5時間以内の場合、血栓を点滴で溶かすという治療になります。
発症から最大24時間以内の場合、カテーテルで血栓を吸引する治療になります。
早い段階で見極めることによって、後遺症のリスクも減る可能性があるということですよね。
横浜新都市脳神経外科病院 森本将史 院長:
要するに、脳の細胞に血が通ってない時間を短くすればするほど、ダメージは少なくなるというのは、皆さんもよく理解していただいていると思います。
少しでも早く、点滴、もしくはカテーテルを脳の血管に入れて血栓を取り除くことが、患者さんのダメージを本当に少なくしています。
点滴で血栓を溶かす治療とカテーテルで血栓を吸引する治療の二つを、患者さんにとってどちらが最適かをすぐに画像を見て判断し、患者さんに対して治療することになります。
TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
ちょうど26年前、小渕恵三さんが現役の総理で脳梗塞で倒れました。
当時、私は担当していたのですが、倒れる前日に重要な会談があり、その日の夜にはもう言葉が出なくなってしまいました。
次の日、救急車を呼べばよかったのですが、秘書の車で行って、明らかに対応が遅れて、残念ながら亡くなってしまうということもあったので、本当に早期発見・早期治療が必要だということを実感しました。
井上キャスター:
壊死してからだと血栓を溶かしたとしても、今度は出血のリスクが高まり、治療の幅が狭まるということで、時間が大事だということですね。
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<プロフィール>
森本将史さん
横浜新都市脳神経外科病院 院長
専門分野は脳血管障害や脳腫瘍など
星浩さん
TBSスペシャルコメンテーター
1955年生まれ 福島県出身
政治記者歴30年