何かしらの欲望が起こることを「食指が動く」と言います。
これらは野心を抱くことの例えとしても使用されます。
しかし、そもそも「食指」とはどの指を指すのでしょうか?
今回はそれら「食指が動く」という言葉について解説します。
特にここでは「食指」が表すものなどについて説明します。
「食指が動く」とは
まずは「食指が動く」がどのような言葉なのか見てみましょう。
「食指が動く」の意味
「食指が動く」とは何かしらの欲望が起こることの例えです。
何かをしたいということはもちろん何かを手に入れたいという欲望も含む表現となっています。
これらは野心を抱くことの例えとしても使用されます。
ただ、近年は単に食欲がわくことを言うこともあるようです。
これらに関しては使用されるシーンが変化しつつあります。
「食指が動く」の用い方・例文
「食指が動く」は何かしらの欲望が起こることを言います。
例えば、自分にとって興味があることが起こることを「食指が動く」などと表現するわけです。
それら欲望が生まれること全般を「食指が動く」と言います。
しかし、その多くは食欲が駆り立てるような場面で使用されます。
「食指が動く」の由来
では「食指が動く」はどこから生まれた言葉なのでしょうか。
由来は中国の故事から
「食指が動く」は中国の故事から来たとされています。
中でも「春秋左氏伝―宣公四年」に見える話から来たそうです。
それは紀元前605年の中国でのこと。
ある日、鄭という国の君主の一族である子公が、同じく君主である霊公のところに出向いたそうです。
その際、自分の「食指」がぴくっと動くのを感じたのだとか。
こういう時「大概美味しいものにありつけることを知っている」と彼は語ったそうです。
事実、期待しながら霊公の屋敷に入ると、ちょうど献上されてきたスッポンが料理されているところだったそうです。
そんな話から「食指が動く」という言葉が生まれたとされています。
「食指」は人差し指の事!
「食指」とは人差し指のことを言います。
そのため「食指が動く」というのは人差し指が動くことを意味するわけです。
ちなみに「食指が動く」の話には続きがあるようです。
前述の出来事の後、霊公は子公の食指の件について聞かされたそうです。
その顛末を聞いた霊公はわざと子公にスッポンを食べさせなかったのだとか。
それに怒った子公は料理を入れた鍋に指を突っ込み、それを舐めて予言を実行したとされています。
さらに、それに腹を立てた霊公は子公を殺してしまおうと考えたのだとか。
その結果、君主同士の騒動にまで発展してしまいます。
その挙句、霊公が命を落とすという結果になってしまったのだとか。
「食指をそそられる」と使ってしまう人も多い模様
「食指が動く」は「食指をそそられる」と使ってしまう人も多いとされています。
平成23年度の文化庁による調査結果
平成23年度の文化庁の国語に関する世論調査で「食指が動く」を「食指がそそられる」と使う人が多いことがわかりました。
その調査によると本来の用い方である「食指が動く」を使う人が38.1%であったそうです。
それに対して本来の用い方ではない「食指をそそられる」を使う人が31.4%であったのだとか。
このことからもわかるように誤って使う人が多いと言えます。
ただし、すでに正しい使い方も間違いの使い方も同じくらいの割合となっています。
そのため、必ずしも誤用とは言えない状況です。
「食指をそそられる」と表現するのは10代と50歳以上が多い?
文化庁の同調査によると10代と50代では「食指をそそられる」を使う人の割合の方が多いという結果となりました。
これは「食指」と「食欲」を勘違いしたことから生まれたものと考えられます。
事実「食欲をそそられる」であれば表現として正解と言えます。
それらが混合され「食指がそそられる」と言われるようになってしまったのかもしれません。
まとめ
「食指が動く」は何かしらの欲望が生まれることを言います。
「食指」とは人差し指を意味する言葉となっています。
これらはもともと古代中国の話から来た言葉だそうです。
特にこれらは食欲を表現する言葉として多用されます。
事実、近年は「食指をそそられる」と使用する人も多くなっているのだとか。
ただし、正しくは「食指が動く」なので、その点は注意しましょう。