まるで民芸品のようにちいさくかわいらしい「キクイタダキ」という鳥。
日本最小の鳥類とされているのですが、このキクイタダキの仲間は広い範囲、それこそ世界中に生息しています。
ここでは、世界のあらゆる地域で好かれているキクイタダキの生態やその名前の由来を解説するほか、このかわいらしいキクイタダキは日本で飼育可能か、その是非についてもご紹介します。
「キクイタダキ」とは
キクイタダキは体長が10cm、体重が3~5gほどの非常に小さな鳥です。
日本国内では、ミソサザイやエナガとともに最小サイズの鳥とされています。
生息域
キクイタダキは、世界中に非常に幅広く分布しています。
その生息域はアイスランドからユーラシア大陸、そして日本までの中緯度から高緯度にかけての砂漠以外の地域です。
春から夏にかけては山地の針葉樹に、秋冬は平地の針葉樹に生息します。
生態
キクイタダキは針葉樹に巣を作り、針葉樹の中で餌となるガの幼虫や昆虫、クモなどを捕食します。
広葉樹は好まず、その小さな体と細いくちばしを活かして針葉樹の隙間を狙って捕食を行います。
また、水浴びをする時以外は基本的に樹上で生活をしています。
キクイタダキの外見
体長が10cmほどしかないキクイタダキは全体的にオリーブ色をしており、目の周りは白くなっています。
小さなくちばしと足は黒く、翼には黒と白の模様があります。
見た目が名前の由来
キクイタダキという和名は、頭に黄色い冠羽が生えている姿が、菊を戴いているように見えることから付けられました。
キクイタダキの特徴
キクイタダキはとても小さな体をしています。
ここでは、その小ささから来るキクイタダキの特徴についてご紹介します。
鳥の王
ヨーロッパの昔話や伝承では、キクイタダキの冠羽が王冠に見えることから、姿は小さいながらも「鳥の王」と呼ばれています。
学名の一部「regulus」も小さな王を意味します。
日本で最小種の鳥
体長が10cmしかないキクイタダキは、日本でその姿を見られる野鳥の中でも最小になります。
日本には、他にもミソサザイやエナガといった同等サイズの小さな鳥はいます。
しかし、ミソサザイが最大13gほど、エナガも10gほど体重があるのに対し、キクイタダキは5gほど。
同サイズの2種よりも体重が少ないのです。
天敵はカマキリ??
その体が小さ過ぎるため、意外な天敵がキクイタダキには存在します。
それはカマキリです。
肉食性の昆虫であるカマキリが、小さく軽いキクイタダキを捕食する姿が実際に確認されています。
日本中でその姿を見られるが、飼育はできないキクイタダキ
日本各地でその姿を見ることができるキクイタダキ。
逆によく姿を見る野鳥だからこそ残念なことに飼育することができません。
その理由をご紹介します。
日本中で姿を見られる
キクイタダキは、北海道や本州中部では年中その姿を見られますが、西日本では越冬するために秋に姿を見られるようになる渡り鳥になります。
その為、全国の広い範囲でその姿を目撃することは可能です。
飼育は禁止!
日本中で姿を見られるといわれるキクイタダキですが、残念ながら飼育することはできません。
それは「鳥獣保護法(正式名称:鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律)」という法律で野鳥の飼育が禁じられているためです。
かわいいからといって野生のキクイタダキを捕まえて飼育してしまったら・・・、それは犯罪という事になりますのでご注意ください。
まとめ
日本で一番小さくかわいらしい野鳥のキクイタダキですが、あくまでも野生の動物である野鳥ですので、決してペットにすることはできません。
小さいながら世界中に生息しており、冠羽が王冠に見えるということでヨーロッパではキクイタダキを「鳥の王」と呼んできました。