もともと強い者がより強くなることを「鬼に金棒」と言います。
これは元から強い鬼が金棒を手に入れることでさらに強くなることを言ったことわざとなります。
しかし、この言葉はそもそもどこから来た言葉なのでしょうか?
今回はそれら「鬼に金棒」ということわざについて解説します。
ここではその意味はもちろん成り立ちや類義語についても説明します。
「鬼に金棒」とは
まずは「鬼に金棒」の意味について見てみましょう。
「鬼に金棒」の意味
「鬼に金棒」はもともと強い者に何かが加わってさらに強い者になることを言ったことわざです。
これらのことわざは優れた者に似つかわしいものが加わって一段と引き立つことの例えとして使用されます。
言い換えるなら「侍に刀」とも言えるかもしれません。
日々鍛錬している侍はそれだけでも強いですが、刀を持つことによってさらに強くなります。
それらの表現が「鬼に金棒」なのです。
より強くなる「力」の対象は様々
「鬼に金棒」で言う「力」とは単なる腕力のことではありません。
気力や体力、技力や知力など無数の「力」に対して使用されます。
例えば、学者が勉強してさらに学力を身につけることも「鬼に金棒」と言うのではないでしょうか。
なお「鬼に金棒」に含まれている「力」は権力や勢力など目に見えない力に対しても使用されることがあります。
要は力を持つ者がさらに力を身につけて誰も敵わない状態になってしまうことを「鬼に金棒」と表現するわけです。
「鬼に金棒」の由来
では「鬼に金棒」はどこから来た言葉なのでしょうか?
ここからは「鬼に金棒」の成り立ちについてまとめます。
力自慢の鬼が金棒を持ったら・・・
鬼は古くから日本で恐れられている存在です。
その存在は畏怖されるべきものとして言い伝えられてきました。
それらただでさえ強い鬼に強力な武器である金棒を持たせるとさらに強くなってしまいます。
それらまったく歯が立たない状況になることを「鬼に金棒」と表現するわけです。
金棒ってどんな道具?
では「金棒」とはそもそもどのような道具なのでしょうか?
ここからはそれら鬼が持つ武器についてまとめます。
まず「金棒」に関して、これは「金」は金属や鉄塊を指します。
これらの表現は古く「鬼に鉄撮棒」という形の表現としても使用されていたとか。
それが江戸時代にはほぼ「鬼に金棒」の形式になったと考えられています。
「鉄撮棒」改め「金棒」は金属や鉄塊で作られた武具の1つです。
これは鬼が手に持っている武器の1つだったと言われています。
その形状は太い鉄製の棒にイボがついているものが主流です。
しばしば鬼の絵などではそれら「金棒」を持った姿が描かれています。
事実、日本では古くから鬼という存在が恐れられていました。
その鬼が凶悪な武器を持ったとあれば手に負えません。
その様子を言ったのが「鬼に金棒」という言葉となります。
「鬼に金棒」の類義語
最後に「鬼に金棒」の類義語についても見てみましょう。
竜に翼を得たる如し
「竜に翼を得たる如し」とはもともと強い者がさらに強さを得ることです。
実際に竜という強大な存在が翼を持つことで更に強力になることを言います。
それらの点が「鬼に金棒」と重なるのではないでしょうか。
ちなみに、これらは「浄瑠璃-平仮名盛衰記」などで使用された表現だそうです。
虎に翼
「虎に翼」とはただでさえ強い力を持つ者にさらに強い力が加わることです。
事実、虎のような強靭な動物に翼が生えたらより凶悪になることを言います。
それらの点が「鬼に金棒」と通ずるものがあるかもしれません。
なお、これらは「韓非子-難勢」などで使用された言葉だそうです。
弁慶に薙刀
「弁慶に薙刀」とはただでさえ強い者が得意とするものを手に入れてさらに強力になることの例えです。
かつて弁慶は薙刀の使い手として名を馳せた人物でした。
彼は源義経の従者として薙刀を振るって戦ったとされています。
それらもともと強い弁慶が薙刀を手にすれば敵う者などいません。
それらの点が「鬼に金棒」と同じと言えるでしょう。
まとめ
「鬼に金棒」はもともと力を持っている者がさらに力を持つことを言ったことわざとなります。
そこはもともと強い者であることが前提となります。
そのため、弱い者が鍛錬して強くなることを「鬼に金棒」とは言いません。
あくまでも強者がさらに強くなることを言った言葉、それが「鬼に金棒」となります。