強者が弱者をからかっていじめることを「なぶる」と言います。
特に面白半分でからかうことを「なぶる」と表現します。
これらは漢字表記で「嬲る」「嫐る」と書かれます。
今回は「なぶる」という言葉について解説します。
特にここでは言葉の意味と併せて漢字表記についてもわかりやすく説明します。
「なぶる」とは
まずは「なぶる」がどのような意味を持つのか見てみましょう。
「なぶる」の意味
「なぶる」とは弱い立場の者を強い立場の者が面白半分にからかうことを言います。
面白がって困らせたり苦しめたりすることを表す言葉です。
また、からかって馬鹿にしたり愚弄したりすることも意味します。
他にも、手で触り転がしたり弄り回したりすることも意味します。
昨今はいじめること全般を意味することもあるかもしれません。
そのため、これらはポジティブな表現としては使用されません。
むしろネガティブな表現として使用されることがほとんどです。
その一方、過激ないじめというより小突くニュアンスが強いとも言われています。
「なぶる」の漢字表記
ここからは「なぶる」の漢字表記について見ていきましょう。
漢字表記は「嬲る」
「なぶる」の漢字表記は男で女を挟む形で「嬲る」と書かれます。
この漢字表記の場合は「まさぐる」というニュアンスも含まれるようです。
その構成は「男+女+男」と一風変わった漢字表記と言えます。
ちなみに、これら「嬲る」は冷やかしたり責めたりすることも指す表現としても使用されます。
「嬲る」の成り立ち
「なぶる」の漢字表記は男偏の「嬲る」が一般的です。
これらの漢字の成り立ちは文字通り「男+女+男」の組み合わせから来ています。
これは男が女に付きまとう様子を表しているとか。
つまりもともとは男性や女性に絡むことを言った言葉だったわけです。
ただ、詳しい成り立ちについてはわかっていないそうです。
「嫐る」と表記することもある
「なぶる」の漢字表記は女偏の「嫐る」もあります。
この漢字表記の場合は「たわむれる」というニュアンスが含まれるそうです。
その成り立ちも「女+男+女」の組み合わせから来ています。
これらは例外として嫉妬することを指すこともあるとか。
実際に歌舞伎の演目では男性に嫉妬する女性の様子を「嫐」で表現しています。
「嫐る」のもうひとつの読み方
「嫐」は「うわなり」とも読まれる漢字です。
「うわなり」とは前妻に次ぐ後妻のことを言います。
これらは歌舞伎十八番の1つで男1人に女2人が嫉妬する演目を意味します。
この演目では「女性が男性に嫉妬する所作を見せる」という内容となっているのだとか。
「なぶる」の類義語
最後に「なぶる」の類義語について見ておきましょう。
嘲る
「嘲る」とは見下して悪口を言うことを意味します。
特定の対象を小馬鹿にして笑うことを表現する言葉です。
それらの点が「なぶる」と同じと言えるのではないでしょうか。
ただ、例外として「嘲る」は風月に心惹かれて声を上げて詩歌を吟じることの表現としても使用されます。
そこは違いについても覚えておきましょう。
おちょくる
「おちょくる」とは小馬鹿にすることを意味します。
単にからかうことも表現される言葉となっています。
それらの点が「なぶる」と通ずるかもしれません。
ちなみに、これらの言葉は主に関西地方で使用されるとか。
もてあそぶ
「もてあそぶ」とは手に持って遊ぶことを意味します。
単にからかうことの表現としても使用される言葉です。
それらの点が「なぶる」と重なると言えるでしょう。
なお、これらの言葉は真面目に扱うべきものをおもちゃにすることも言います。
まとめ
「なぶる」は強者や弱者をからかうことを言った言葉です。
昨今はいじめなどの意味で使用されることもあります。
ただ、ニュアンスとしては小突くような感覚に近いです。
これら「なぶる」の漢字表記には「嬲る」や「嫐る」があります。
そこは漢字表記によって意味が若干変わるので、その点も併せて覚えておきましょう。