感情をぶつけることを「怒る」「叱る」などと表現します。
ただし「怒る」と「叱る」では意味合いが変わるので要注意です。
今回はそんな「怒る」と「叱る」の違いを解説します。
「怒る」とは
ここでは「怒る」の意味を解説します。
「怒る」の意味
「怒る」は感情に任せて自分の怒りや苛立ちをぶつけることを指します。
基本的に「怒る」という行為は自分のためにやっているのが特徴です。
そのため、視点が相手ではなく自分に向いている言葉と言えるでしょう。
ただし、自分は「怒っている」つもりでも、相手の受け取り方によっては「叱ってくれている」と捉えられることもあるでしょう。
その点は受け取り手によって意味合いが変わると覚えておかねばなりません。
「怒」の成り立ち
「怒」は「手・両手をしなやかに重ねひざまずく女性の象形」と「心臓の象形」から感情に力を込めることを意味します。
転じて「おこる」を意味する漢字として「怒」が成り立ったそうです。
つまり「怒」は人間の感情から生まれた漢字と言えるでしょう。
「叱る」とは
ここからは「叱る」の意味を解説します。
「叱る」の意味
「叱る」は相手のことを考えて助言したり注意したりすることを指します。
基本的に「叱る」という行為は相手のためにやっているのが特徴です。
そのため、視点が自分ではなく相手に向いている言葉と言えるでしょう。
ただし、自分は「叱っている」つもりでも、相手の受け取り方によっては「怒っているだけだ」と捉えられることもあるでしょう。
その点は受け取り手によって意味合いが変わると覚えておかねばなりません。
「叱」の成り立ち
「叱」は「口の象形」と「縦横に切りつけた象形」から感情に力を込めることを意味します。
転じて「しかる」を意味する漢字として「叱」が成り立ったそうです。
つまり「叱」も人間の感情から生まれた漢字と言えるでしょう。
「怒る」と「叱る」の違いと使い分けとは
ここからは「怒る」と「叱る」の違いを見ていきましょう。
また、使い分けについてもわかりやすく説明するので参考にしてみてください。
「怒る」と「叱る」
「怒る」と「叱る」の違いは「誰のためなのか」にあります。
基本的に「怒る」のは自分のためで「叱る」のは相手のためです。
「怒る」は感情に任せて自分の怒りや苛立ちを相手にぶつけるのに対し、「叱る」は相手のことを考えて助言したり注意したりするのが特徴と言えるでしょう。
つまり、“誰のためにやっていることなのか”という点に違いがあると考えるとわかりやすいのではないでしょうか。
単に自分の怒りや苛立ちを発散しているだけなら、それは「怒る」です。
逆に相手に対して助言や注意を行っているのなら、それは「叱る」となります。
両者は自分視点なのか相手視点なのかで変わってくると言えるでしょう。
ただし、受け取り手によって「怒る」と「叱る」の境界線も変わってくるため、伝え方などによっても左右される場合があります。
例えば、自分は叱っているつもりでも相手は怒られていると勘違いしてしまうこともあるのではないでしょうか。
職場などではこのような事態が度々発生し、人によってはパワハラに感じてしまうこともあるかもしれません。
その点は「怒る」「叱る」の相違点をきちんと理解して冷静に使い分けることが必要です。
まとめ
「怒る」と「叱る」はどちらも似たようなニュアンスがあります。
しかし、基本的に自分の感情を発散するための行為が「怒る」で、相手を教育するための行為が「叱る」となります。
その一方、自分は叱っているつもりでも相手からすると怒っているように感じられることもあるため、使い分けが重要です。
例えば、単にイライラをぶつけているだけであれば、それは「叱る」ではなく「怒る」になります。
逆に大切なことを教えようと理路整然と教育するのであれば、それは「怒る」ではなく「しかる」となるわけです。
その点は伝え方でも捉え方が変わってくるため、十分に注意が必要となるでしょう。