アメリカ大統領選挙の候補者選びの山場、スーパーチューズデーが5日に迫る中、トランプ前大統領に大統領選への出馬資格があるのかをめぐる訴訟で、連邦最高裁が現地時間4日にも何らかの判断を示す見通しです。この訴えを起こしたのは「身内」のはずの共和党員でした。その思いを聞きました。
【動画】“身内”のはずの共和党員「トランプ氏に大統領選出馬資格無し」 連邦最高裁4日にも判断 大統領選への出馬資格をめぐる訴訟
西部コロラド州。91歳のノーマ・アンダーソンさんは、いま全米から注目されています。
共和党の州議会議員を長年務めたアンダーソンさんは「トランプ前大統領には大統領選への出馬資格がない」として訴えを起こしたのです。
きっかけは2021年の議会乱入事件でした。
トランプ前大統領(2021年1月)
「我々は議会に向かうぞ」
トランプ氏がこう呼びかけた後、支持者が議会に乱入。大統領選挙の結果の確定作業を妨害しました。
共和党の元州議会議員 ノーマ・アンダーソンさん
「私は愕然としました。政府を乗っ取ろうとするのは民主主義ではありません。『反乱』です」
合衆国憲法・修正第14条には「国に対する反乱に加わった者は官職に就くことができない」と規定されています。
「反乱」に加担したトランプ氏には大統領選に出馬する資格はない。アンダーソンさんはそう信じているのです。
アンダーソンさん
「ドナルド・トランプは民主主義にとって危険です。憲法を無視する人物ですから」
アンダーソンさんとともに訴訟を起こしたのは、政府の不正に目を光らせるワシントンの非営利組織でした。
非営利組織「CREW」 ブックバインダー代表
「今直面している事態は、まさに憲法修正第14条を作った先人たちが想定した状況です。訴訟を起こすことで、国を守るためにこの条文を活用できると確認することが本当に重要だと我々は考えたのです」
記者
「コロラド州の最高裁判所は去年12月、アンダーソンさんの主張を認め、トランプ氏には出馬資格がないとの判断を示しました。トランプ氏側は不服として上訴。結論は連邦最高裁の判断にゆだねられています」
トランプ前大統領
「私は“平和的に、愛国者的にやろう”と言った。彼らは不正な選挙の抗議をしただけだ。アメリカを再び偉大にするぞ」
依然として「選挙が盗まれた」と主張するトランプ氏ですが、大統領選挙の候補者選びでは共和党内で圧倒的な支持を集めています。
記者
「なぜトランプ氏は依然として多くの支持を得るのでしょうか?」
アンダーソンさん
「わかりません。私も知りたいくらいです。彼らには『共和党』ではなく『MAGA(米国を再び偉大に)党』と名乗ってもらいたい。彼らは『共和党』ではありません」
コロラド州と同様の判断は東部メーン州、そして先週には中西部イリノイ州でも示され、連邦最高裁は出馬資格取り消しの是非について現地時間の4日にも何らかの判断を示す見通しです。
アンダーソンさん
「訴えた価値は絶対にあります。私たちの民主主義ですよ。それを守るためには私はどんなことでもやりますよ」