SNSを使った投資詐欺や、恋愛感情を抱かせて金を騙し取るロマンス詐欺による被害の総額が、去年1年間に全国でおよそ455億円に上ったことが警察庁の初めてのまとめで分かりました。
警察庁によりますとSNSを使った投資詐欺の被害額は、去年1年間に全国で2271件およそ277億9000万円に上ったということです。
外国人などを名乗り、SNSやマッチングアプリで恋愛感情を抱かせた上で金を騙し取るロマンス詐欺も、1575件およそ177億3000万円の被害が出ています。
1件あたりの平均被害額はいずれも1000万円を超えていて、被害額はあわせて455億2000万円に上り、去年1年間の特殊詐欺の被害額、441億2000万円を上まわっています。
SNSを使った投資詐欺では、500万円以下の被害が多くを占めるものの、1億円以上も26件あり、最も高額なものでは、3億4000万円の被害もあったということです。
男性の被害者は主に、フェイスブックなどから、女性はインスタグラムなどを通じて最初に投資を誘われていて、その後、男女ともに大半がやり取りの場をLINEに移して騙されていました。
警察が把握しているだけでも投資家を名乗る容疑者が6割近くを占めていて、なかには、芸能関係者や、著名人をかたるケースもあったということです。
ロマンス詐欺も、1億円以上の被害が14件あり被害の最高額は3億6000万円でした。
男女ともにフェイスブックやインスタグラムに加えて、マッチングアプリでの接触が多くその後は、投資詐欺と同じく大半がLINEでのやり取りに移っていたということです。
容疑者が名乗っていた国籍で最も多かったのは、中国や韓国などの東アジア系で全体の35%、偽っていた職業は会社役員が最も多い19%で次いで投資家、医師などの医療関係者と続いています。
ロマンス詐欺は、恋愛感情や親近感を抱かせる手口で近づくものの、結局は、「一緒に生活していくためのお金を増やそう」などと、投資話を持ちかけられるケースが大半で、被害額の86%にあたる152億5000万円が投資名目で騙し取られています。
SNSを使った投資詐欺、ロマンス詐欺のいずれも、去年の6月以降に被害が急増しています。
警察庁は背景に・インターネットで手軽に投資ができるようになったことに加えて、・最近の投資ブームや株高も影響しているとみていて、警察庁の幹部は「このままいけば、投資詐欺の被害は間違いなく増えていくだろう」と危機感を強めています。
警察庁は、海外から犯行に及んでいるケースが多いと分析していて、外国の捜査機関との連携をさらに強化するほか、SNSやマッチングアプリなどを提供する事業者などとも一体となって被害防止に向けた対策を進めていくとしています。