「翌朝ヘリで見ないと…」困難な津波被害の規模や範囲の把握。地震発生20分後に被害を可視化できる画期的なシステムで救助の遅れを防げ! #知り続ける

TBS NEWS DIG Powered by JNN
2024-03-10 06:08
「翌朝ヘリで見ないと…」困難な津波被害の規模や範囲の把握。地震発生20分後に被害を可視化できる画期的なシステムで救助の遅れを防げ! #知り続ける

常識を覆すシステムの研究が進んでいる。地震発生からわずか20分後に、津波で町がどこまで浸水したのかを予測するというのだ。一般的に津波の被害を把握するためには、ヘリコプターなどを飛ばして上空から確認するか、地上から沿岸部をつぶさに見ていく必要がある。これには時間がかかり、救援活動が遅れる恐れがある。一方でこのシステムを使えばコンピューター上で20分後に被害を把握できることに。いのちを守る画期的なシステムを取材した。

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(TBS/JNN「Nスタ つなぐ、つながるSP~いのち~」下濱美有)

元日の能登半島地震では被害把握がなかなかできなかった

元日の夕方に起こった能登半島地震。大津波警報が出された。沿岸部を映し出すテレビ、「逃げてください」とアナウンサーが声高に訴えていたことは記憶に新しい。しかし地震発生から30分後には日没を迎え、どこにどれほどの被害が出たのかがなかなか把握できない。自治体が被害の実態を確認できたのは、ヘリコプターが飛んだ翌日の朝だった。

能登町長「欲しい情報が得られなかった」

石川県能登町の白丸地区。到達した津波の高さは4.7メートル。地震から2か月たった今も、あたりには畳や窓枠、家具などが散乱している。砂だらけになった子ども用のピアノの楽譜や年賀状なども残されていて、穏やかだった正月が一変したことが見て取れた。

能登町の大森凡世町長は「情報収集が難しかった」と振り返る。

「発災直後、道路が寸断されていて職員の3分の1くらいしか役所に来られなかったんです。情報収集というのが非常に困難な状況でした」
「電気もない、携帯もつながらない。情報が欲しいのに得られないもどかしさがありました」

被害の状況をもっと早く把握できたら救えるいのちが増えるかもしれない。
そんな思いであるシステムを開発する研究者がいると知り、東北大学を訪れた。

地震発生からわずか20分で津波被害を予測

「地震発生から20分で津波の被害を予測するシステムです」

そう説明するのは東北大の越村俊一教授(52)だ。「リアルタイム津波浸水被害予測システム」というこのシステム、地震が発生するとマグニチュードや震源の位置、深さ、地殻変動のデータを自動で取り込み、東北大学にあるスーパーコンピュータが計算をはじめる。

すると、ものの20分で、津波の到達時間、浸水開始時間、水位時系列(繰り返し訪れる津波の高さ)、最大浸水深、最大水位、被害推定(津波浸水範囲内の人口と建物被害の棟数)がはじき出され、色分けされて地図上に表示される。

南海トラフで最大規模(マグニチュード9)の地震が起きた場合、20分後に表示される高知市の被害予測を見せてもらった。

高知駅付近では、市街地の大部分はピンク色の表示に。これは2メートルから5メートルの浸水深が予測されることを意味する。また、100メートル四方あたり、1棟から5棟の建物が流されるという予測も。

ハザードマップと違い、こうした予測がそのとき発生した地震の規模や震源の位置に応じてはじき出されることがこのシステムが最も優れている点だ。システムの対応範囲は、今のところ太平洋沿岸と日本海側の一部(北海道から新潟県)。越村教授は「どこでどれくらいの規模の救援活動を行なうか検討するための参考資料になれば」と説明する。

能登半島地震のデータも読み込ませてみると…

一方、元日に地震が起きた際、能登についてはシステムが対応しておらずシミュレーションはできなかった。

その後越村教授は、当時の地震のデータをシステムに読み込ませ、能登町・白丸地区の被害を事後的に予測してみた。その結果を、地震後に国土地理院が発表した被害範囲と比べてみると、システムが高い精度で被害を予測できることが分かったと言う。

越村教授はまた、津波の痕跡から様々な地点の津波による浸水の高さを実測し、システムが予測した浸水の高さと比べてみた。その結果、多くの地点で予測と結果がほぼ一致したという。

大森能登町長は、システムの予測結果を見て「これが20分で出ることは信じがたい。こういうシミュレーションがあれば、被害が大きいと予測されたところに人を向かわせることができる」とつぶやいた

南海トラフ巨大地震を見据えて活用も

次に起きる災害で「いのちを守ろう」と、既にシステムを活用する県もある。南海トラフ巨大地震で甚大な被害が懸念されている高知県だ。

年に一度システムを使った大規模な訓練を行っている。2月、その訓練が行なわれた。今回の想定は、巨大地震が起き対応に追われている最中に、マグニチュード7の余震が起きたというもの。ヘリを飛ばして余震による新たな被害を把握している余裕はない。ここでシステムの登場だ。余震から18分後、会議室のスクリーンに予測結果が映し出された。

津波の到達時間が表示され、その後、津波が6時間続くことが示された。だが、その高さは最大50センチ。高知県の地図の色は真っ白だ。これは「津波による浸水はない」ということを表している。この「浸水がない」というのも重要な情報だ。

高知県の担当者は、システムについて「応急救助機関の検討や、救助の具体策の検討、被害の全容を把握しなくてもすすめられるメリットがある」と話す。

今後は予測時間を20分→5分へ 携帯の位置情報も活用へ

システムを開発した越村教授は、今後5年以内に、計算時間を地震発生後20分から5分に短縮することを目指している。

これが実現すれば津波が来る前にどこが危険なのかが分かる可能性があり、いのちを守る避難につながるかもしれない。さらに越村教授は、携帯の位置情報を活用し、浸水区域内にどれだけの人が取り残されているのかを可視化できるようにもしたいと意気込む。

「現在は津波の"浸水予測"ですが、我々が目指すのは津波の”浸水予報”なんです。いのちを守る情報として活用してほしい」

越村教授は挑戦を続けていく。

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