欧米では謎の存在?「日本人あるある」なキャラクター、アジアへ 「すみっコぐらし」アナウンサーの不思議

TBS NEWS DIG Powered by JNN
2024-03-17 07:04
欧米では謎の存在?「日本人あるある」なキャラクター、アジアへ 「すみっコぐらし」アナウンサーの不思議

世界に通じるキャラクターを多数輩出してきた日本。急増する訪日外国人にも、日本のキャラクターは相変わらずの人気です。そんな中、日本では大人気なのに、世界ではまだまだ「すみっこ」に追いやられているキャラクターがいます。

【写真】すみっコぐらし製造元のサンエックス、社内の貴重な写真 応接室の様子も 世界で根強い人気を誇るリラックマの姿も

キャラクターがしのぎを削る…東京駅から見える人気

東京駅の地下1階でキャラクターがしのぎを削る「東京キャラクターストリート」をのぞくと、開店前から「ちいかわ なんか小さくてかわいいやつ」のショップには人が並んでいます。日本を代表する「ポケモン」や「スタジオジブリ」関連のショップには外国からの観光客が訪れ、好調な売れ行きであることが伺えます。

キャラクターストリートの入口に店舗を構えているのは「すみっコぐらし」(以下、すみっコ)。登場するキャラクターの多くが少し後ろ向きですみっこに集まっているという、日本の長いキャラクター文化の中でも類を見ない存在です。

すみっコのショップも、他の店に負けず劣らずのにぎわいを見せています。しかし、その多くが日本人のようです。関西から来たという男性(36)は「人が多いですね。けれど、外国の方はあまり見かけない印象」と話します。

取材を進めると、外国からの客がいないわけではありませんでした。すみっコのグッズを買ったという香港から来た女性(28)は、数年前に街中の店で見かけてから気になって調べ、はまっていったといいます。「かわいい見た目だけでなく、キャラクターのデザインと設定の繊細さがお気に入り。自己主張が強くないタイプのアジアの人に合うのかも」と教えてくれました。

たしかに、2019年11月に公開された「映画 すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ」は、香港、台湾、タイ、ブルネイ、マレーシア、シンガポール、ベトナムのアジアの7地域でも上映されました。

日本と文化や感覚が似ているアジア圏では世界観が受け入れられてそうな一方で、中東や欧米、オセアニアでは映画は公開されておらず、まだすみっコぐらしのままのようです。

カギは「日本人あるある」 アジアでは受け入れられやすい?

すみっコの製造元の会社「サンエックス」広報室の和田くるみさんは「欧米では、すみっコぐらしの世界観やコンセプトの全てに共感してもらって受け入れられているという段階まではいけていない、と現状は分析しています」と明かします。

今後、アジアを中心に、現地の文化や旧正月など節句に関係する立案を強化していくといいますが、「すみっコぐらしの世界観は『日本人あるある』のようなところもあり、世界への展開拡大についてはまだまだ研究中」と和田さんは話します。

アジアでは受け入れられやすく、欧米ではほぼ未知だという「日本人あるある」の世界観とはどういうものなのでしょうか?

すみっコ気質と離れた?存在がなぜ好きに 暗黒時代を経て

すみっコのファンを公言しているTBSアナウンサーの篠原梨菜さん(27)さんは、番組やSNSですみっコに対する熱い思いを発信しています。

人前に出ることが多いアナウンサーという仕事をしながらも、なぜそんなにすみっコに魅力を感じているのでしょうか?

そのことについて尋ねると、篠原さんは「たしかにすみっコ好きの仲間は、あまり前に出て行くタイプでない気がします」とした上で、「私はある意味、大学デビューのようなところがあります。それまでの一時期は暗黒時代のようで、人間関係に悩んでいて...」と振り返ります。

「大学で『ミスコン』に出たり、今はアナウンサーの仕事をしたりしていますが、根底には、友達が欲しい、色々な人と関わりたいという欲求があります。けれど、元々の人格として、休み時間は図書館に行く、というすみっコ的な物を心にやっぱり持っています

その経験も踏まえて、篠原さんは「すみっコを見て、かわいいと感じる人は多いですが、はまっていく人は私も含めて似たような性質があるはず。キャラクターが持つ悲しみの部分も、人生経験が多い大人ほど共感できると思います」とします。

ちなみに、すみっコぐらしのキャラクターには、自分はペンギンなのか考えてしまう黄緑色の「ぺんぎん?」、シロクマだけれど寒がりな「しろくま」、残されてたトンカツのはじっこ「とんかつ」、気が弱い「ねこ」、ある生物の生き残りであることを秘密にしている「とかげ」などがいます。

日本人そのものの世界観、といえるのかはわかりませんが、少なくとも欧米の人の価値観にはあまりない設定といえるかもしれません。

「アナウンサーとしてもすみっコのような存在に」の真意

最後に気になる言葉を篠原さんが口にしました。「アナウンサーとしてもすみっコぐらしのような存在になりたい」。どういうことでしょうか。

その心は「テレビは媒体の特性上、どうしても多数決で、マジョリティーに合わせたものになります。けれど、視聴者の多様性があるはずで、その中で、自分が取り残されていると感じている人にフォローを入れていきたいと考えています」と篠原さん。

「全国の人が見ているという心持ちで、できる限りコメントしようと思っています。自分と感じ方が全く違う人にも寄り添うという、すみっコから学んだことを生かしていきたいです」

市場規模は200倍以上に それでも作者は「じっくりじわじわ」

サンエックスによると、2013年に約3億円だった市場規模は、2017年に100億円、2018年に200億円となり、2023年には約650億円と当初の200倍以上になりました。

作者のよこみぞゆりさんは「成長が速いとは思っておらず、10年かけてじっくりじわじわと広がっていきました。ここまで大きく成長できるとは、生み出した当時は全く想像できていませんでした。今後もより多くの人へ広まって、ずっと可愛がってもらえるよう願っています」と話します。

一部の人には、人生観にも影響するほど深く刺さっているすみっコぐらし。さて、新たな世界の舞台でどんな反応を受けるのでしょうか?

     ◇
取材:TBSテレビ デジタル編集部・影山遼

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