金利のある世界の投資術【Bizスクエアで学ぶ投資のキホン#18】

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2024-04-05 06:30
金利のある世界の投資術【Bizスクエアで学ぶ投資のキホン#18】

マイナス金利解除で、株価が上昇しそうな注目の「セクター」とは?

マイナス金利の解除で「金利のある世界」が戻ってくる。これからの投資はどうなっていくのか、どんな業界の株価に影響があるのかを聞いてみた。

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ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏:
金利があるといっても、わずか0.1%。普通預金の金利が20倍になったといっても0.02%。ほぼゼロ。だから「金利がある世界」というよりは「ほとんど金利がない世界」という方がしっくりくる。今後、今の時点では日銀はどんどん利上げしていくというスタンスは全く見せていないが、金利が上がっていくことがあれば、そのときは当然株価にもマイナスの影響が出てくるだろう。でもセクターによっては買われるところも出てくるだろう。

――それは一体どういったセクターなのか?

ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏:
もし、日銀が政策金利をもっと上げていく、市場金利も上がっていくということが起きた場合に、株価が上昇しそうなセクターとして3つ挙げた。まず、銀行保険リース・金融関連。貸し出し金利が増える上に、金利が上がっていきそうだということになれば企業も、設備投資を早めにした方がいい、早めにお金借りた方がいいという資金需要も増えてくるだろうということ。

――「鉄鋼・紙パルプ」はなぜ?

ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏:
本当に金利を上げていくような経済環境というのは、景気がいいということ。景気がいいときというのは鉄鋼とか紙パみたいな素材関連、いわゆる「景気敏感株」が買われやすいと考えられる。

――アメリカなども?

ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏:
アメリカの鉄鋼・紙パルプはそんなに上がってる感じはない。アメリカはやはりIT・ハイテク関連が強い。アメリカと日本は産業構造が違う。日本は重厚長大系な産業が多いところがアメリカとは違う。

――日本だと鉄鋼・紙パルプセクターが注目だと。そしてもう一つが「空運」。

ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏:
日銀がもっと金利を上げていくとさすがに円高に動きやすくなると思う。FRBは早ければ6月、遅くとも年内には利下げに踏み切るだろうと言われている。FRBが本当に利下げを始めて、そのとき日銀が利上げをしていけば、日米の金利差がどんどん縮小していくので、円高に動きやすいと思う。円高になると、日本人が海外旅行に行きやすくなる。

――円高になるとインバウンドが減るのでは?

ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏:
多少はインバウンドの人が来なくなるというマイナスの影響あるかもしれないが、仮に150円が140円、130円まで円高になったとしても、その程度ならインバウンドの人は来る。先ほどタクシーの運転手さんが教えてくれたが、外国人の人たちが日本に来て「ものすごい国だ」と驚くのだと。

1つは、女性が夜1人で歩いていても全く問題が起きない光景は自分の国では見られないと。それから、どこのトイレに入ってもとても綺麗で「ここは食事ができるレベル」だと。財布を落としても出てくるとか。だから少しぐらいの円高で来なくなると想定する必要はない。日本は食べ物も美味しいし、観光資源がたくさんあるのでまだ来てくれると思う。もう1つ、空運にとって大事なのが燃料費。燃料はほぼ輸入。円高になると会社にとっては業績を押し上げてくれる効果も期待できる。

――金利が上がっていけば、こういったセクターが注目ですよと。

ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏:
今の時点では金利が上がっていく見込みは正直あまりないが、この先、円安がさらに加速した場合。例えば155円ぐらいまでいけば、政府も1回介入をすると思う。前回の介入も一時的にしか効かなかったが、その介入が効かなかったとき、そうなるといよいよ本来金融政策は為替のためにはやってはいけないことなっているが、それはあくまで表向きの話で、日銀も少し追加利上げというのを口先介入的なことはするかもしれない。

――皆、円安が行き過ぎて、物の値段が上がってしまうぐらいなら金利を上げて欲しいと思っている?

ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏:
4月から食品2800品目がまた値上げ。企業側はもう値上げにおよび腰ではない。この先もじりじりと値上げが続くと思う。それから、消費者側が「値上げは嫌だが必要なこと」と理解し始めている。

――賃金に繋がるなら、仕方がないと。

ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏:
消費者として値上げは嫌だが、自分の働いてる会社がきちんと値上げしてくれなかったら自分の給料増えないじゃないかと。パートナーの会社もちゃんと値上げしてくれないと、パートナーの収入が増えないではないかということに気がつき始めた。嫌だけど仕方ないという雰囲気ができてきている。

追加利上げはいつ? 注目のタイミングは!?

――利上げのタイミングはいつになりそうか?

ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏:
今の時点でメインシナリオはあるとしても10月から12月だろう。3月にマイナス金利を解除した。そこから半年ぐらいはその影響・効果をマーケットの反応も含めて、もしくは住宅ローン金利などの経済全般への影響を見極めるのだと思う。あったとしても年の後半、年末にかけてだと思う。ただもしこの先、円安が加速するようなことがあったら、早い時期、7月などに1回利上げというのは絶対にないとも言えない。

3月29日に大手銀行が住宅ローンの変動金利の据え置きを決めたが、今の時点で住宅ローンを借りていても慌てる必要は全くない。すぐに固定に変えるという必要はないが、高を括らずにしばらく様子を見たりウォッチしておく。日々の細かい動きはどうでもよく、大きな世の中の流れにだけはアンテナを張っておいてほしいと思う。その前にやるべきこととしては、今自分が住宅ローンを借りているなら、その契約内容を確認してほしい。この機会に「今の金利はいくらか」「もし固定に借り換えるとしたら金利はどれだけ上がるのか」それから借り替えるときに手数料が何十万とかかる。「今の契約の更新はいつか」ということを確認する良いタイミングになったと思う。

――金利のある世界になったら、日経平均株価は今後どうなっていく?

ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏:
海外投資家のジャパン・トレードが今後も続く可能性が出てきた。このジャパン・トレードは株価が上昇しても、円安になると、円の価値が下落する。海外の投資家は日本株を買うのと同時に、円を売っておく。そうすると、円安で利益が目減りする分を防ぐ為替ヘッジをしているということ。海外の投資家が、日本株を買うのと同時に、円を売る円安が進む。円安になると株価が上がりやすい(輸出企業が多いから)。これがジャパン・トレード。実際2023年の前半や2024年の年明け以降もジャパン・トレードが加速していた。簡単に言うとダブルで株価が上がりやすくなるということ。だから、この間賃上げをみて、海外投資家が4月以降また「日本株買い第3弾」を起こす可能性もなくはない。2023年春の4月から6月外国人が7兆円以上買い越しした1番の要因が2023年の春の賃上げ。「日本はいよいよインフレの時代に入るなら、日本株は買いだ」と。「しかも日銀は緩和的政策を続けると言っているならば、円も同時に売っておこう」とそれで2023年にジャパン・トレードが起きた。

――新NISA制度が始まったが、日本のお金は海外に流れているという話も話題になった。

ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏:
投資信託は多くが、オルカンやS&P500を買っているが、先日、日本証券業協会が2024年1月、2月の実績を公表した。実は新NISA経由で流入したお金の46%が日本株の個別株を買っている。(残りの半分は)海外が多いようだ。

――日本に投資している人もたくさんいるのか。

ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏:
思った以上にいる。事前の予想ではもう大部分が海外株に行くのではないかと。新NISAで外国株買うのを禁止されるのではないかという変な噂も出ていたが、蓋を開けてみたら半分弱は日本の個別株を買っていた。やはり配当利回りが高い銘柄など人気なところが買われている。1月は「待っていました」とばかりにまとめて買った人もいるだろうから、その傾向がずっと続くとは思わないが、一定程度日本株を買う背景にあるのは、日本株の伸びしろが広がっているということ。業績好調で、ちょうど1年前に東証が上場企業に「PBR 1倍を超えるように頑張ってくれ」と経営改善を要請したが、それに応える企業が確実に増えている。この先、元本割れする場面が何回もあるかもしれないが、長い目で見たら日本株も捨てたものではない。十分投資先になる。

――最後に改めて「相場の格言」を一ついただきます。

「日計足らずして歳計余り有り」。

ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏:
意味としては、利益が上がってないように見えて、日計りだと儲かってないように見えるけど年単位で見れば、儲かっているという意味。なので株価は乱高下するものだから、仮にこの先、大幅下落があり、目先の利益が一旦含み損になったとしても、長期的な目線で、きちんと投資を続けていくことが大事ということ。

――まさにこの番組を始めた1年半前に伝えた「長期投資」。それを表す格言。

ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏:
いい格言だ。

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