パリオリンピック™、バスケットボール男子が、強豪フランス相手に熱い戦いを繰り広げました。ただ、SNSでは審判に疑問の声があがり、悔しい場面も…
【写真を見る】「ひどい判定」「NBAなら…」バスケ男子「世紀の大誤審」? 残り10秒まさかの判定【Nスタ解説】
バスケ男子「世紀の大誤審」? 残り10秒まさかの判定
井上貴博キャスター:
強豪フランス相手で完全アウェイの中、確実に勝利をつかみかけていました。注目された二つのシーンを振り返っていきます。予選リーグ第2戦のフランス戦は90対94の試合となりました。フランス代表のバトゥーム選手は「諦めないチームだった。彼らに敬意を表したい。心底怖い存在だった」と話しています。
八村選手退場 米メディアが異論「ひどい判定」「NBAなら…」
そして、“世紀の大誤審”という言葉がXでトレンド入りしました。まず一つ目が、八村塁選手が退場となった場面です。第4クオーターの残り8分31秒、“アンスポーツマンライクファウル”を取られました。
ニューヨークポスト紙は「八村塁は疑わしい退場処分を受けた。NBAでは、このプレーで判定される可能性は非常に低い」、NBA解説者のトレバー・レーン氏は「まったくひどい判定だ。バカげているどころではない」とのことです。
そもそも“アンスポーツマンライクファウル”は、シュートを打たせないために腕を掴むなど、正当なプレーとは認められない悪質な反則のことで、原則2回で退場になります。今回、八村選手は2回ファウルを宣告され退場となりました。
ホラン千秋キャスター:
普通のファウルとは違うのですか。
2019年 W杯日本代表主将 篠山竜青さん:
ボールを取りに行った際、ボールではないところに触れてしまったり、腕や体に接触して邪魔をしてしまった場合は、普通のパーソナルファウルになるのですが、アンスポーツマンライクファウルになると、故意にボールではない全く関係ないところに手を出してしまったり、掴んでしまったり、抱きついてしまったり、押してしまったりというファウルになります。
ホランキャスター:
悪意があったのではないかというプレーに適用されるということですね。
篠山竜青さん:
そもそも“この選手、ボールに行く気ないよね”というところで笛を吹かれてしまうのがアンスポーツマンライクファウルです。
井上キャスター:
ボールに行っているか、行っていないかというのは主観の問題になるので、難しいところです。
篠山竜青さん:
今回の八村選手のプレーでは、相手選手の右腕を掴みに行っているように見えてしまいます。これはアンスポーツマンライクファウルです。アメリカの記者が言っていた、“このプレーでアンスポーツマンライクファウルを取られるのはおかしい”という意見が出るのは、NBAルールの基準がオリンピックとは少し違うからです。
NBAはNBAのルール、FIBA(国際バスケットボール連盟)はFIBAのルールでやっているので、ルールの違いが発生します。八村選手は普段NBAでプレーをしている部分もあり、ルールの切り替えができず、思わず手を掴んでしまったところはあるかもしれません。
ホランキャスター:
その手の先にボールがあったとしても、ボールではなく手ではないかということで取られてしまいかねないということですね。普段NBAでプレーしている選手にとってはルールの切り替えは難しいのかもしれないですね。
弁護士 萩谷麻衣子さん:
八村選手も次はルールを認識して気をつけると思います。退場処分を受けて八村選手が抜けた後もチームは頑張っていましたね。
篠山竜青さん:
八村選手が抜けた後も国内のBリーグの選手たちを中心によく粘りました。すごく健闘はしてくれたと思うのですが、一つ目のプレイでアンスポーツマンライクファウルを取られた時点でもう一度ファウルを宣告されたら退場になるということは本人もわかっているはずなので、私としては、この場面はシュートを打たせて、ノーファウルで我慢して、次のオフェンスで取り返すという気持ちでやってくれた方が良かったかなと思います。
井上キャスター:
NBAのルールと他のルールが違うため、頭の切り替えをしないといけない部分は、あまり他のスポーツにない気がします。
篠山竜青さん:
NBAのルールは、FIBAのルールよりもバスケットをショーとして楽しむというような要素が含まれているため、ファウルの基準も若干異なったりします。
忘れてはいけないのは、日本人選手の中にNBA選手がいるという凄さなのですが、ルールのわずかな違いに八村選手は苦しんでしまったかなっていうところがあります。次の試合に八村選手が出場することは可能です。今回の件も彼にとって経験だと思うので、次に生かしてくれればというところはあります。
触れてないのに?ファール判定 仏代表HC「ラッキーだった」
井上キャスター:
そしてもう一つです。残り10秒のところで、スリーポイントシュートを決めた相手選手がとにかく素晴らしいなと思ったのですが、フランス代表のコレヘッドコーチは「普通ならディフェンスはチェックしに行かない。彼(河村選手)があの判断をしてくれて、私たちはラッキーだった」と話しています。
この時点で4点差あるので、スリーポイントシュートを決められても勝てるのだからチェックしに行かなくてもいいのではないかという判断です。
ホランキャスター:
チェックというのは何ですか。
篠山竜青さん:
シュートを打つ選手に対して手を上げてジャンプをする、なるべく相手に簡単に打たせないためのプレーです。このプレー自体に接触があったかどうか、ファウルだったのかどうかっていうのはすごく微妙なところです。
私からすると、左手が腰に添えるような形になってしまったところが少し怪しく見えてしまうかなと思います。残り時間と点数を考えたときに、河村選手はここまで激しくチェックに行かなくてもよかったですし、ゴール下にボールが入ったところからパスが出たのですが、そこに対しても行かなくてよかったと思います。相手選手に2点プレゼントさせてもよかった、というようなプレーが彼の反省点だと思います。
井上キャスター:
でも行く気持ちもわかる感じはしますけどね…
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<プロフィール>
篠山竜青さん
Bリーグ川崎ブレイブサンダース所属
2019年 W杯日本代表主将
萩谷麻衣子さん
弁護士 結婚・遺産相続などの一般民事や、企業法務を数多く担当