「一歩くらい弾んでもいいかなと…」体操ニッポンのエース・橋本大輝、東京五輪での後悔と決意

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2024-05-10 11:59
「一歩くらい弾んでもいいかなと…」体操ニッポンのエース・橋本大輝、東京五輪での後悔と決意

東京五輪、体操で個人総合と種目別鉄棒で2冠を果たした橋本大輝(22、セントラルスポーツ)が先月の全日本選手権・個人総合で合計176.164点で4年連続4度目の優勝を果たした。既にパリ五輪の代表の座を射止めている現世界王者。金メダル大本命とも言われているが、実は3年前の東京五輪の栄光の影には後悔が…。

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個人総合・金メダル獲得には微かな緩みが走っていた

2021年、19歳で挑んだ東京五輪の舞台。男子個人総合では圧巻の演技を披露し、金メダルを獲得。19歳355日は日本勢最年少の快挙を達成した。当時や今でもテレビなどで金メダルの瞬間が映し出され、何度見ても素晴らしいと思う人もいるはず。しかし橋本は「体操をやっている選手として、強みっていうところがない。自分ダサいなって思って」と語った。

実はあの金メダルの瞬間を思いだすと、それは最終種目の鉄棒で見せた最後の着地。あの時、前方に両足を一歩、動く程度でまとめてみせたが、「あの時の着地は動いても勝てると思っていたんです。演技の中身が良ければ…」と当時を振り返った。着地で見せた一歩は確実に金メダルを取るための安全策。しかし、橋本にとっては気の緩みだった。

「一歩くらい弾んでもいいかなと思った。優勝して映像などを切り取られて使われていると動いている自分ダサいなと思って。体操やっている選手として金メダルを獲得することも必要ですけど、やっぱり演技に対して気の緩みは自分の中で反省すべきところだった」と体操選手としての3年前の気の緩みを反省した。そして競技と向き合う姿勢に変化が生まれた。

自分が納得行く演技を追い求め続けた

「納得行く演技をすれば、点数も自ずと付いてくる。やっぱり自分が納得する演技が出来るように基礎から見直したりしてきた」と東京五輪での反省の想いを二度としないため、練習で基礎から見直した。一歩間違えば怪我にも繋がる練習でも自分が納得する演技ができるまでと、自分を追い込んだ。

7月開幕のパリ五輪、金メダル大本命と期待される橋本。「体操競技をあんまり難しい目で見てほしくない。すごいとか、面白いなど一単語だけでもいい。ただ、自分が一番こだわってきた鉄棒の着地は注目してほしい」と話す。日本体操界のレジェンド・内村航平さんも成し遂げられなかった団体総合、個人総合、個人種目鉄棒の3冠に挑む。

■橋本大輝(はしもと・だいき)所属:セントラルスポーツ
2001年8月7日生まれ22歳。千葉県下総町(現・成田市)出身、千葉・市立船橋高~順大6歳から競技を始める。2021年東京五輪で男子個人総合と種目別鉄棒の2冠。男子団体総合銀メダル。23年世界選手権は団体総合で8年ぶりの金メダル、個人総合では(6連覇の内村航平以来)史上4人目となる連覇。