台湾の新総統・頼清徳氏 中国との「現状維持」を強調…中国政府は「台湾の独立は死に至る一本道」とけん制、就任式には日本の国会議員31人も【news23】

TBS NEWS DIG Powered by JNN
2024-05-21 14:40

20日、台湾では頼清徳新総統の就任式が行われ、頼氏は中国との関係について「現状を維持する」と強調しました。一方、中国政府は「台湾の独立は死に至る一本道だ」と早くも強い言葉でけん制しています。

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台湾・頼新総統 中国と「現状維持」訴え、中国「独立は死に至る一本道」

まるで音楽フェスのような盛り上がりを見せる台湾の新総統就任式の会場。

そして…

記者
「総統の交代を象徴するかのような光景です。頼清徳新総統と蔡英文前総統が姿を見せました」

20日、新総統に就任した頼清徳氏。中国と距離を置く民進党の総統です。

総統直接選挙が始まって以降、同じ政党が3期続けて政権を担うのは初めてです。  

頼清徳 新総統 
「私は中国に対し、台湾への威嚇をやめ、台湾と共に世界の責任を負い、台湾海峡や地域の平和と安定の維持に力を注ぎ、世界が戦争の恐怖から免れるのを確保するよう呼びかけたい

中国との関係について「卑下せず、おごらず、現状を維持する」と強調。

一方、頼氏の総統就任を受け中国政府は…

中国外務省報道官
「強調するが台湾独立は死に至る一本道だ

「どのような看板や旗印を掲げて台湾独立を推進しても失敗するに決まっている」と強くけん制。  

また、台湾が実効支配する離島の金門島周辺の禁止水域に中国海警局の船がたびたび進入するなど圧力を強めています。

今回の就任式には超党派の日本の国会議員、31人が出席。

過去最大規模の訪問団で就任式の直後、頼総統は日本の議員団と昼食を共にしました。

日華議員懇談会 古屋圭司会長
「中国の脅威が増しているのは現実ですから、日台関係はこれまで以上に重要になってくる」

一方、中国の駐日大使は不快感を示しました。

呉江浩 駐日中国大使
「日本からは30名以上の国会議員・要人が出席しているようで、このような行動は公然と台湾独立勢力に加担するものであり、極めて誤った政治的シグナルを送っていることであります。もちろん中国側としては断固反対します」

2人のキーパーソン 対中国での役割は?

小川彩佳キャスター:
今回の総統選挙の投票率は71.86%ということで、日本とはずいぶん違いますよね。

QuizKnock 伊沢拓司さん:
期日前(投票)もないと聞きましたけど、この投票率はめちゃくちゃすごいですよね。

小川キャスター:
この違いはなんでしょう?

伊沢さん:
そもそも地政学上の違いとか、リスクの違いもあったりするし、文化も違うとは思うんですけど、民進党政権が、蔡英文さんの時代から若者たちとすごく密に繋がっていて、学生グループのリーダーたちとのLINEグループがあって意見交換をずっとしてるみたいな話もありました。

そもそも民進党が若者に向くようになったのは、一度、若者の投票率が下がって政策が若者よりではなくなった時に、若者たちが投票率を再び上げて動いたという。これは日本にもすごく教訓的なことです。

若者が動くと政治が変わるという、すごくいい例だと思うので「投票に行くべきだと思った20代が政治を変えた」良い例があるからこそ、彼らも若者を重視して投票率が上がってるのかな?というのは、高齢化が進んでる台湾だけど、あるかなと思いますね。

藤森祥平キャスター:
今回、台湾の新総統に就任した頼清徳氏。実は2人の注目すべき人物がいます。

1人が前総統の蔡英文氏、もう1人が、今回、副総統に就任した蕭美琴氏です。星さん、この2人が担う役割は何でしょうか。

TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
ある意味では「3人のチームを結成している」と言っていいと思います。蔡英文さんは8年間総統をやって、ブレーンも引き継ぎました。中国との関係について、独立志向の頼清徳さんを抑えにまわるということもあります。

蕭美琴さんは事実上のアメリカ大使をやっていて、アメリカの議会にも相当のパイプがあって、アメリカとのコネクションは非常に強いです。そういう意味で、この2人が頼清徳さんにいろいろアドバイスをしながら政権を運営していくことになり、そういう意味では面白い政権になると思います。

一方、日本側ですが、今回、31人の国会議員が訪台しました。

特徴的なのは、今まで台湾というと、自民党の保守派の専売特許のようでしたが、今回は自民党だけではなく、立憲・公明・国民・維新などバリエーションがあります。台湾の民主主義、TSMCを初めとした新しい分野の産業に対して非常に関心を持っていることがわかります。

アメリカも共和党が中心だったのが、最近のペロシ議長のようにリベラル系の人も行くようになって、そういう意味では、日本も台湾に対する向き合い方が新しいステージに入ってきたと言っていいと思いますね。

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<プロフィール>
伊沢拓司 さん
株式会社QuizKnock CEO
東京大学経済学部卒
クイズプレーヤーとして活躍中

星浩 さん
TBSスペシャルコメンテーター
1955年生まれ 福島出身
政治記者歴30年

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