サニブラウンと坂井隆一郎にアクシデント 男子100mのパリ五輪代表争いはどう展開されていくのか?【GGPレビュー】

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2024-05-21 17:00
サニブラウンと坂井隆一郎にアクシデント 男子100mのパリ五輪代表争いはどう展開されていくのか?【GGPレビュー】

サニブラウン・アブデル・ハキーム(25、東レ)と坂井隆一郎(26、大阪ガス)が、男子100mレース中にスピードを緩めるアクシデントがあった。
GGPはワールドアスレティックスコンチネンタルツアーの中でも、14大会のみに与えられた「ゴールド」ランクの競技会。今年は東京五輪会場だった国立競技場で5月19日に開催された。
男子100mは栁田大輝(20、東洋大3年)が10秒21で、東田旺洋(28、関彰商事)と0.01秒差の接戦を制した。前年の世界陸上6位入賞者のサニブラウンは、今年に入ってからのパリ五輪参加標準記録(10秒00)突破で代表が内定する。だがレース序盤で脚が攣り10秒97で8位。世界陸上オレゴンで準決勝に進出した坂井も、スタート直後に脚が攣って12秒34の9位。
注目種目のパリ五輪代表争いは、今後どう展開していくのだろう?

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1日2本のレースに対応できなかったサニブラウン

まさかのシーンが国立競技場のホームストレートで展開されていた。世界陸上では22年オレゴン大会7位、昨年のブダペスト大会6位。連続で世界最速を決めるレースを走ったサニブラウンが、力を緩めて優勝争いから離されていく。アクシデントがあったのは明らかだった。だがレース後のサニブラウンは、いつもと同じ明るい話しぶりだった。

「(スタート前に)攣りそうな予感はありましたが、実際に攣ってはいなかったので、行けるかなと思ってスタートしましたが、案の定、12~13mくらいでふくらはぎと左のハムストリング(大腿裏)が攣りました。ケガをしてしまったら元も子もないので、緩めて走り切る形にしました」

実は短いインターバルで1日に2本を走ることに、どこかで不安を感じていた。だから予選でスタートのやり直しがあったとき、恨みがましい気持ちも抱いてしまったという。

「ここまで短い距離のメニューで練習してきました。長い距離をやっても本数が少なかったりしているので。それでも2本走れると思ったんですけどね。(スタートのやり直しも)オリンピックの決勝でそういう場面があったときは、しっかり行かなければいけない」

それでも予選は10秒07で2組1位。1組は向かい風もあってトップ通過の栁田は10秒31にとどまった。五輪代表に最も近い選手であることはアピールした。

100mで選手がレース途中でスピードを緩めると、見ている側はドキッとさせられる。肉離れで長期離脱を余儀なくさせられるケースも多いからだが、今回のサニブラウンは本人も話したように、すぐにレースに復帰できる状態のようだ。

今後はイタリアを拠点に、ヨーロッパの試合を転戦する。出場選手はまだ確定していないが、ダイヤモンドリーグ(以下DL)は30日にオスロ大会、6月2日にストックホルム大会が行われる。

「これからは短い距離だけでなく、120mや150mのちょっと長い距離、スピードエンデュランス(スピード持久)のメニューが(コーチから)来るのかな、と心しています。試合も毎週ではないですけど、結構出て行きます。パリ五輪も(100mは予選、準決勝、決勝と)2日連続になるので、そのくらい試合を走らなきゃダメかな、と思っています」

それらの大会でサニブラウンが標準記録の10秒00をクリアすれば、その時点でパリ五輪代表に内定する。

代表入りを左右する日本選手権

サニブラウンも6月中に標準記録を破れなかったときは、6月末の日本選手権(新潟開催)3位以内が代表入りの条件になる。今後はパリ五輪参加資格を得るのが前提だが、日本選手権の成績が代表入りを左右する。

参加資格は6月末までに標準記録を突破した選手と、6月末時点のRoad to Paris 2024(標準記録突破者と世界ランキング上位者を1国3人でカウントした世界陸連作成のリスト)で出場枠の56人以内に入っている選手が得る。サニブラウンも昨年すでに、標準記録を突破済みである。

5月20日時点のRoad to Paris 2024では栁田が29位、多田修平(27、住友電工)が31位、桐生祥秀(28、日本生命)が40位相当、東田が41位相当、坂井が55位相当に入っている。多田までは安全圏と思われるが、桐生以下の選手は圏外に落ちないように世界ランキングのポイントも上げる努力をしなければいけない。

栁田、坂井、桐生、多田、東田は6月2日の布勢スプリント(鳥取市)にエントリーしている。栁田は5月25日のDLユージーン大会にも出場予定で、今季すでに10秒02で走っていることから、サニブラウンに続いて標準記録を突破する候補といえそうだ。

坂井はGGP決勝でスタート直後に両脚の内転筋が攣り、12秒34の9位。サニブラウンと同様、ケガに至ってはいないため、今後の試合出場は可能と思われる。桐生とともに布勢スプリントで標準記録突破や、Road to Paris 2024の順位を上げることが期待される。

だが多田は4月29日の織田記念で右ふくらはぎを肉離れ。日本選手権までにレース復帰は難しい状況だ。日本記録(9秒95)保持者の山縣亮太(31、セイコー)も右脚に違和感が出ているため、日本選手権欠場を表明している。

各種目の代表は最大3人。日本陸連は日本選手権優勝者で、参加資格を持つ選手を代表に選出する。さらに参加資格を持つ選手で、日本選手権の順位が上の選手から代表に選んでいく。参加資格を得る選手は4人以上になるだろう。そうなれば現実的には、日本選手権3位以内がパリ五輪代表入りの条件となる。今後は各選手の五輪参加資格を確定させるプロセスと、最終的には日本選手権の戦いが男子100m代表争いの焦点になる。

(TEXT by 寺田辰朗 /フリーライター)

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