犬のお散歩でよく見かけるしつけのひとつに、リーダーウォークというものがあります。リーダーウォークとは、犬は常に人の隣を歩き、前を歩かせてはいけないというものです。なかにはお散歩中地面の匂いをかがないように、アイコンタクトをしながら歩かせるという方法を提案している人も見かけます。しかし、それは本来の犬の散歩の目的を見失っている可能性があるのです。
犬の散歩になぜリーダーウォークが必要なのか
なぜ犬の散歩にリーダーウォークが必要なのかを考えたことはありますか?
恐らくリーダーウォークを実践している人のほとんどは、犬の安全を守るためと主張すると思います。
なかには主従関係が崩れないようにするためにも、犬に前を歩かせてはいけないからリーダーウォークをするという人もいるかもしれませんね。
しかし、主従関係というものは犬にはないので、もしそのような関係を気にしてリーダーウォークをしているのであれば、気にせず気楽にお散歩してもらって大丈夫です。
また、犬の安全を守るためという主張については、「なんのための誰のための散歩なのか?」という大事な視点が抜け落ちてしまっているので、一度じっくり考えてみましょう。
犬の散歩は「犬が楽しむためのエンリッチメント」
まずお散歩は人間のためではなく、今目の前にいるその愛犬のための散歩である、ということを認識してほしいと思います。
そして散歩によって嗅覚・視覚・聴覚・触覚といった感覚をフル活用し、穏やかで楽しい時間を過ごす目的で散歩をするということを知ってほしいのです。
つまり、散歩自体がエンリッチメントとなり、愛犬に充実した時間を与えてくれるのです。
しかし、リーダーウォークと言って愛犬に匂いを嗅ぐことや、好きな場所を散策することを許さず、ただ目を合わせて横を歩かせるような散歩は果たして目的を達成できるでしょうか。
例えば桜や紅葉など、季節を楽しむ場所をあなたが散歩したいと思ったとき、「きれいだな」「心地いいな」と思いながら歩きませんか?
ときには足を止めじっくり観察したり、心地良い風を感じたりなど、一つ一つの時間を楽しむでしょう。
ですが、見ることも止まることも許されずただ横について歩きなさいとされてしまったら、きっと心から楽しんで散歩ができたとは言えないと思います。
犬もそれは同じで、散歩という時間は心身を豊かにするための時間なのです。
人がやるべきは「犬が楽しく散歩するためのガイド」
もちろん、犬の散歩には安全の確保が大前提になります。好きな場所を散策とはいえ、どこかしこに自由に出入りできるわけではありません。
場所によってはリーシュを短くして、愛犬と周囲への安全を確保する必要もあります。
だからこそ、周囲の安全が確保できそうな場所であれば、リーシュを長くして好きに移動させてあげてもいいですし、好きに匂いかぎをしてもいいのです。
ただし安全管理が大前提ですから、愛犬の様子は常に見るようにしておく必要があります。
スマホを触りながらよそ見をするのではなく、愛犬がどんな動きをして、何を見つけどんな反応をしているのかなど。
ひとつひとつ観察しながら、ときには先回りして危険を排除したり、場所を変えて回避するといった仕事を人間はしなければなりません。
例えば、幼稚園生の園外散歩を思い浮かべてください。先生たちがガイドになって、安全を確保しながらお散歩をし、公園などで遊ばせつつも常に様子を見て、状況に応じた対応をしていますよね。
先生たちがスマホを見ながら園児を放置している、なんてことはありません。
それと同じで、犬の安全を人間が確保しガイドとなりながらお散歩を楽しんでもらうのです。
決して犬を従わせアイコンタクトでよそ見を許さず、ただ歩かせるだけの散歩は本来の散歩ではありません。
楽しい散歩を愛犬にしてもらうために、ぜひ素晴らしいガイドになりましょう。
まとめ
犬のお散歩は愛犬が楽しむためのものです。決して、人間に従わせながら歩かせる時間ではありません。
犬と人の主従関係と安全を理由にリーダーウォークを推奨する話が未だにありますが、犬が前を歩いたからと言って犬が人を見下すなんてことはないのです。
安全のために横を歩かせたいのであれば、それが適切とされる状況のみ対応すればいいのであって、常に横を歩かせアイコンタクトをさせる必要もありません。
どうしたら犬と人の安全を確保しながら、愛犬が五感をつかって散歩を楽しめるのか?
それを考え工夫し、ぜひお互いが心地よく楽しい時間となるような散歩をしてください。
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