「もし自分が死んだらこの子は分かるのかな…?」そんな素朴な疑問を抱いたことはありませんか。そもそも犬は「死」を理解するのでしょうか。この記事では、犬の「飼い主の死」に対する認識や飼い主が亡くなったときの心情について解説します。
そもそも犬に「死」の概念はある?
一般的に、『犬に死の概念は存在しない』といわれています。また同時に、よく「今を生きる動物」ともいわれています。その理由は、犬は死を理解していないので、未来の心配をせずに過去を振り返ることをしないためです。
たとえば人間のように、犬も体調が優れないと多少の不安やストレスを抱えたり、何度も繰り返されたりすることは、記憶としてある程度定着はします。しかし、そもそも『自分の命が限りあるものだ』ということを理解していませんので、死を恐れるということもありません。その結果、いつでも「今」を懸命に生きている動物なのです。
また、犬は『死期が近づくと人目につかない場所へ行く』という説もありますが、これは「弱っている自分が敵に狙われないように」とする考えからくる行動です。
犬は「飼い主の死」を認識する?
「犬に死の概念はないだろう」というのが、おそらく現段階での一般的な考え方です。
では『忠犬ハチ公』のように、亡くなった飼い主を待ち続ける…という行動はどこからくるものでしょうか。一見、ハチ公が飼い主の死を理解しているようにも捉えられますよね。
しかし、飼い主さんが亡くなってしまっても「もう二度と会えない」という考えにまでは至りません。(きっと帰ってくるだろう)(起きたらまた遊んでもらおう)程度に考えているという説が濃厚です。
ただし、いつも一緒にいた飼い主さんが長時間いないことによるストレスや不安から、心身に不調をきたす犬はいます。また、周囲の人たちが悲しみに暮れている様子を見て、抽象的に(いなくなってしまった…)と捉えている可能性はあります。
先ほどの『忠犬ハチ公』の場合は、飼い主さんが自分の目の前ではなく、病院など別の場所で亡くなったことで「いつか帰ってくるのだろう」と、待ち続けた可能性が高いと考えられます。
飼い主が亡くなったとき、愛犬に起こりうる変化とは
飼い主さんが先に旅立ってしまった場合、残された愛犬にはどのような変化が表れるのでしょうか。
犬が飼い主さんと長期間会えなくなってしまった時の症状をご紹介します。
明らかに元気がなくなる
飼い主さんが亡くなった後、しばらくすると元気がなくなり覇気が感じられない表情を見せる犬は多いです。毎日ずっと一緒にいた人が突然いなくなってしまったら、ひどく落ち込むことはある意味自然なことといえるでしょう。
寝ている時間が多くなったり、散歩に誘っても乗り気じゃない…そんな様子を見せ始めます。中には、忠犬ハチ公のように玄関でずっと待ち続ける、そんな犬もいるようです。
同じ行動を執拗に繰り返す
飼い主さんが長時間いない不安や寂しさから「常同障害」という病気を発症することもあります。部屋の中をウロウロ歩き回ったり、手足を執拗に舐め続ける行動を見せたら注意が必要です。
ひとつひとつは違和感のない行動ですが、何度も繰り返し行うことが特徴です。専門の行動療法が必要な場合もあります。
見た目に変化があらわれる
あまり多い例ではありませんが、飼い主さんが亡くなった後に、犬の被毛が真っ白になることがあります。わたしたちも大きな不幸があると『一気に老け込んでしまった』という表現をすることがありますよね。
実際に、北海道・札幌市にいた黒いラブラドール・レトリバーが、飼い主さんの死により被毛がどんどん白くなり、2年後には雪のように真っ白になったそうです。
獣医師さんの話によると、原因は「加齢とストレス」ではないかということでした。愛する人の死そのものを理解できていなくとも、会えなくなってしまうという事実は犬にとっても非常に悲しく寂しいもの。その寂しさから異変をきたしていたのかもしれません。
まとめ
犬は「飼い主の死」を認識できるのかどうか、亡くなってしまった後の愛犬の心境や行動の変化も併せて紹介しました。
犬は死という概念は理解できませんが、飼い主を失うと強い悲しみと寂しさを感じていることは間違いないでしょう。
「愛犬の死を看取ることは飼い主の責務」と考える人は多いでしょう。しかし、実際は何が起こるかは分かりません。自分が先立ってしまうことを今から考え、残される愛犬が路頭に迷わないようにすることも責務といえます。
この記事を読んだ方が、愛犬との限られた時間を今まで以上に大切に感じてもらえたら嬉しく思います。
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