それぞれの家庭に本当にピッタリな犬を見つけるためのマッチングアプリがアメリカでサービスを開始しました。創設者の理念やアプリの目的をご紹介します。
保護犬と人とのマッチングアプリ
動物保護団体や愛護センターから保護犬を家族に迎えようと考える人が、まず最初にインターネットで愛犬の候補を探すことはすっかり普通のこととなりました。
しかしインターネットで保護犬のリサーチをするときに、多くの人(特に初めて犬を迎えようと思っている人)は犬の外見にばかり重きを置きがちです。犬種を心に決めている場合にも、犬種のステレオタイプを想定している傾向があります。
アメリカのニューヨークに住むメアリーアン・ゼマンという女性は自分自身の経験から、犬の見た目や犬種のステレオタイプではなく、個々の性格やニーズに基づいてそれぞれの家庭にぴったりの犬を探す方法を考案しました。
ゼマン氏のアイデアはHow I Met MyDog(「私の犬」に出会う方法)というマッチングアプリとして実を結びました。
家族を必要としている保護犬に、本当にぴったりな家庭を見つけるためのマッチングアプリとはどんなものなのでしょうか。
マッチングアプリが作られたきっかけ
創設者のゼマン氏が「それぞれの犬にぴったりな家族を見つけなくては」と強い思いを持ったのは、ご自身の少し苦い経験から来ているそうです。
20年前、ゼマン氏は犬を迎えようとリサーチを行い、ダックスフンドの外見と性格が自分にとって完璧だと感じました。彼女はブリーダーを訪れ2匹の子犬を購入しました。
ゼマン氏が迎えた2匹の子犬ジョージとグレイシーは、同じ母犬から生まれた同腹の犬でありながら行動や性格は完全に反対でした。活発で好奇心旺盛なジョージはゼマン氏がイメージしていたダックスフンドそのものでしたが、グレイシーは臆病で人見知りでした。
マンハッタンの都会での暮らしはジョージにとってはエキサイティングで楽しいものでしたが、大きな音や喧騒が怖いグレイシーには辛いものでした。ゼマン氏はグレイシーには本当はもっとふさわしい家庭があると気づいたのですが、愛犬を手放す決心がつかず、グレイシーは生涯をゼマン氏の下で過ごしました。
グレイシーの経験から、個々の犬の性質や行動が自分のライフスタイルや環境にマッチしていることが重要だと身に沁みていた彼女は以前とは全く違う視点で犬のことを考えるようになり、その後保護犬を新しく家族に迎えました。
それぞれの家庭の条件に当てはまる犬を簡単にサーチできて、挙げられた候補の中から自分にぴったりの犬を迎えられたら犬も人も幸せになれる。そんな思いで、ゼマン氏が犬のエキスパートたちと共に創設し立ち上げたのがマッチングアプリのHow I Met MyDOGでした。
マッチングアプリの仕組み
犬を迎えたいと考えている人がこのアプリを使う場合、まず最初に自分のプロフィールを入力していきます。基本情報に加えて、犬に望んでいるのはどんなことなのか?どんなライフスタイルで生活しているのか?家族構成は?住んでいる環境は?など、回答所要時間20分程度の56項目のアンケートへの記入が求められます。
こうして犬を迎えたいと考えている人の詳細なプロフィールが作成され、サイトのデータベースに登録されている譲渡可能な保護犬のプロフィールと照合されます。
各家庭の条件に合った犬が表示され、会ってみたい犬がいればその犬が保護されている施設や団体にアプリを通じてコンタクトを取ることができます。その後、犬と直接会って迎えるかどうかを判断します。
すぐに理想の犬に出会えなくても、登録しておくと条件に合う犬が新しく保護されると通知が届くようになっています。
犬のデータはHow I Met MyDogとパートナーになっている全米41州からの数百件の動物保護団体や施設から提供されています。
犬と人のマッチングについては犬の行動学を専門にしている研究センターのデータとノウハウが使われています。
まとめ
アメリカでサービスが提供されている、犬と人間両方の条件にピッタリ合う縁組を探すためのマッチングアプリについてご紹介しました。
後先を考えない一目惚れや「この犬種は従順でおとなしいはず」といった固定観念で犬を家族に迎えた結果、こんなはずじゃなかったと犬を施設に戻したり、人も犬も不満を抱えたまま長い年月を過ごすことになるのを避けるため、このマッチングアプリが作られました。
このようなアプリが普及することで「犬を家族に迎えるのは犬の生涯を引き受ける覚悟の大きな責任を伴うこと。見た目や聞きかじりのステレオタイプで選ぶのではなく、お互いの条件をじっくり吟味することが大切」という考え方が当たり前のこととして広まるといいなと思います。
《参考URL》
https://www.howimetmydog.com
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