犬と触れ合うことで、幸せな気持ちになるという人は少なくないと思います。そしてそんな感情を司っているのが『幸せホルモン』と呼ばれている「オキシトシン」です。そこで今回では、犬との触れ合いで分泌される幸せホルモン「オキシトシン」について解説します。
幸せホルモン「オキシトシン」とは?
まず「オキシトシン」とは、脳内で分泌されるホルモン物質の名称です。
このオキシトシンは、筋肉の収縮や神経伝達、血圧の低下、母乳分泌などを助ける働きをするものですが、精神・感情面にも大きな影響を及ぼすとされています。ストレスを緩和して幸福感を増幅させることから、「幸せホルモン」とも称されています。
特に女性にとっては妊娠・出産・授乳時に欠かせない物質であるため、「愛情ホルモン」「絆ホルモン」「思いやりホルモン」「信頼ホルモン」などと言われることもあります。
「オキシトシン」は犬との触れ合いで分泌される
別名「幸せホルモン」として知られるオキシトシンは、犬と飼い主の触れ合いの中でも分泌が促進されると考えられています。
オキシトシンは、信頼関係を築いている相手や愛情を持っている相手とスキンシップをおこなうことで分泌されます。また、人間の場合は親しい人と会話を楽しんだり、アロマの香りを嗅いだりすることでも分泌が促進されるとされています。
犬と飼い主の関わりの中でオキシトシンが分泌されるのは、犬を抱っこしたり遊んだりするときだけでなく、ただ寄り添ったり優しくなでたりするだけでも起こるのです。オキシトシンの分泌量の変化については、犬も人間も同様の現象が見られるとされています。
ちなみに、「犬と飼い主が見つめ合うと幸せホルモンが分泌される」という情報が広まったこともありますが、これにはやや語弊があります。ただ見つめ合うだけでなく、見つめ合ったことをきっかけに触れ合いや関わりが生まれることで、オキシトシンの分泌量が増加する、というのが正確な見解です。
また、犬とのスキンシップによってオキシトシンが分泌されて幸せな気持ちになれるからといって、強引に触れたり関わりを持とうとするのはNGです。このような場合は、犬のオキシトシン分泌は起こりにくいうえに、飼い主との信頼関係を損ねる恐れがあるので、自分本位で一方的なコミュニケーションやスキンシップは控えましょう。
「オキシトシン」が持つ効果
オキシトシンには、動物を幸せな気持ちにする作用があるとされています。
また、そのほかにも以下のような効果・働きがあります。
- 幸福感の増幅
- ストレスや不安感の緩和
- パートナーとの信頼や愛着が増す
- 赤ちゃんへの愛情が深まる
- 社交性が向上する
- 精神が安定する
- 睡眠の質を上げる
- 記憶力や学習意欲が向上する
- 神経伝達をサポートする
- 痛みを一時的に軽減する
- 血圧や血糖値を低下させる
- 免疫力が高まる
- 認知症予防、ASD治療
オキシトシンの分泌によって様々な作用が期待できる理由として、オキシトシンの増加に伴ってそのほかの物質も分泌・増加する反応が多く見られることが挙げられます。
具体的には、オキシトシンが増加することで、精神面を安定させる神経伝達物質であるセロトニンが分泌されたり、ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌を抑制したりする働きが見られます。
またそのような反応によって、ストレスが軽減されて気持ちが落ち着いたり幸せな気持ちを感じたりすることができるのです。
さらに、オキシトシンが分泌されることで副交感神経の働きが活発になって、自律神経のバランスが整います。それによって心身ともにリラックスしたり血圧が低下したりする効果も期待できるのです。
まとめ
犬と飼い主の触れ合いや関わり合いによって、幸福感を感じられる「オキシトシン」というホルモン物質が分泌されます。
それは飼い主だけでなく犬にも起こる現象なので、お互いの愛情や信頼を深めるために、ぜひ良好なスキンシップを図ってくださいね。
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