愛犬を愛するあまり、知らず知らずのうちにやってしまいがちな『優しい虐待』。飼い主がよかれと思って行っている行為が、実は愛犬を苦しめていることがあるので要注意です。この記事では、犬が不幸になる『優しい虐待』についてご紹介します。
『優しい虐待』とは?
虐待というと犬に暴力を振るうことや、飼育放棄(ネグレクト)を想像するかもしれません。しかし、『優しい虐待』と呼ばれるものも存在します。
優しい虐待とは、飼い主が犬を愛するがゆえに行う行為が、結果的に犬を不幸にしてしまうことをいいます。飼い主は愛犬のことを思って接しているつもりでも、逆に愛犬にストレスや負担を与え、苦しめてしまうことがあるのです。
暴力や飼育放棄のような意図的な虐待とは異なり、優しい虐待は飼い主自身が気づいていないことが多いという点に、注意が必要です。
犬が不幸になる『優しい虐待』は?
具体的に、飼い主のどのような行為が優しい虐待に当たるのでしょうか?以下では、犬が不幸になる『優しい虐待』を4つご紹介します。
1.欲しがるままに食べ物を与える
犬が欲しがるままに食事やおやつを与えることは、一見、犬を喜ばせ、幸せにしているように見えますが、実際には犬を不幸にします。
食べ過ぎは肥満に繋がり、心臓や関節に負担をかけるほか、糖尿病や膵炎などの深刻な病気を引き起こす可能性があります。犬を喜ばせたくて与える余分な食べ物が、犬の健康に悪影響を与え、寿命を縮めるリスクを高めるのです。
犬は人間よりも満腹中枢の働きが鈍く、与えられたら与えられただけ食べてしまう傾向があるため、飼い主がしっかりと食事の管理を行う必要があります。
食事は、犬の健康状態や年齢に合った内容のものを適量与えることが大切です。おやつは、その犬が1日に必要なカロリーの10%以内にし、与えたおやつの分、食事を減らしましょう。
犬の健康と幸せを願うのなら欲しがるままに食べ物を与えることは避け、適正な体重を維持するように努めましょう。
2.しつけをしない
犬を甘やかすあまり、しつけを怠ってしまう飼い主もいます。中には、「しつけをするのはかわいそう」と考える飼い主もいるかもしれません。しかし、しつけをしないほうがかわいそうです。
しつけがされていない犬は、人間社会の中での適切な振る舞い方が分からず、吠えや噛みつきなどの問題行動を起こしやすい傾向があります。
その結果、犬が周囲にとって迷惑な存在となるだけでなく、飼い主自身も犬を飼ったことを後悔してしまう可能性があります。これは、犬にとって不幸なことです。
犬が人間社会で幸せに暮らすためには、しつけが不可欠です。そして、犬のしつけは飼い主の責任です。最低限のしつけとして、犬が「オスワリ」「フセ」「マテ」「オイデ」の指示を、いつでもどこでも従えるようにすることが重要です。
さらに、むやみに吠えてはいけないこと、人や他の犬に飛びついたり、噛みついたりしてはいけないことなどを教える必要があります。
しつけには時間がかかりますが、愛情と根気を持って焦らずに進めましょう。飼い主が犬のしつけに積極的に取り組むことで、犬は人間社会で安心して幸せに暮らせるようになり、飼い主自身も犬との生活をより豊かにすることができます。
もし、犬のしつけに行き詰まってしまった場合は、ドッグトレーナーや獣医師などの専門家に相談することを検討しましょう。
3.人間のように扱う
人間と同じように生活することが犬の幸せだと考え、犬を人間のように扱う飼い主は少なくありません。例えば、犬におしゃれ目的だけで服を着せたり、人間の食事を与えたりする飼い主がいます。
犬を家族の一員として迎えるのは大切なことですが、犬と人間は異なる種であることを忘れてはいけません。犬は本来、服を着る習慣がありません。そのため、おしゃれ目的で無理に服を着せると、ストレスを感じる可能性が高いです。
また、犬と人間とでは必要な栄養バランスが異なるため、犬に人間の食事を与えることは、肥満や病気を引き起こすリスクがあります。
犬には犬の生活スタイルがあり、人間とは異なる欲求もあります。飼い主は犬の習性や行動を理解し、犬らしい生活を送れるようにサポートしてあげましょう。そうすることが、犬の心身の健康維持や幸せに繋がります。
4.常に一緒にいようとする
犬とのスキンシップやコミュニケーションは毎日欠かせませんが、常に一緒にいようとするのは、犬にとって好ましくありません。
家では常に犬とべったりと過ごし、出かけるときも一緒という生活では、犬の心身が休まらず、ストレスになる可能性があります。また、飼い主への依存心が強くなり、分離不安を引き起こすリスクもあります。
分離不安とは、飼い主がそばにいないと強い不安を感じ、問題行動(吠えや破壊行動など)や体調不良を起こす心の病気です。分離不安になると上手に留守番することができず、ずっと吠え続けたり家具を破壊したりする可能性があります。
犬とは適度な距離感を保ち、犬の自立心を養うことが大切です。犬と一緒に過ごす時間を作りつつ、犬がひとりでリラックスする時間も確保しましょう。
まとめ
愛犬を愛する気持ちは大切ですが、飼い主の過剰な愛情が裏目に出て、優しい虐待となってしまうことがあるので注意が必要です。今回は、犬が不幸になる『優しい虐待』の例として、以下の4つをご紹介しました。
- 欲しがるままに食べ物を与える
- しつけをしない
- 人間のように扱う
- 常に一緒にいようとする
愛犬が幸せな生活を送れるように飼い主は犬の習性や行動を理解し、適切な接し方をするように心がけましょう。
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