日本・イギリス・イタリアが共同で開発を進めている次期戦闘機。新たに公開された模型には“ある変化”がありました。担当者は「ここまでの進捗を見せられたのは開発スピードが速い証」と話しますが、なぜ3国共同で開発を進めているのでしょうか。
【写真を見る】次期戦闘機の“翼”に変化 新模型公開で判明「開発スピードが速い証」イギリス・イタリアと防衛大臣会談も そもそもなぜ共同開発?【news23】
新たに公開された次期戦闘機新模型 “翼”に変化
イギリス・ロンドンから約50キロにあるファンボローで始まった国際航空ショーに世界中の航空関連会社が一堂に会しました。中でも、注目なのが日本・イギリス・イタリアで共同開発が進められている「次期戦闘機」です。
2023年3月に日本で展示された模型と比べると、翼の形が変わっているようです。
防衛産業に詳しい拓殖大学 佐藤丙午 教授
「ラムダウイングという話でしたが、デルタウイングという三角翼になりました。最初に出した構想から大きく変わったという感じはします。のっぺりした形になったので、ステルス素材を塗る面積が増えただろうし、逆に目立ちやすいものになったのか今の段階では判断がつかない」
翼の表面積が大きくなることで速度や航続距離が向上する、とイギリス企業の担当者は胸を張ります。
BAEシステムズ社幹部 ジョン・ストッカー氏
「プログラムは18か月前に発表されたばかり。きょう、ここまでの進捗を見せられたということは、開発スピードが速い証だ」
日英伊 共同開発の課題は
政府が進める、イギリス・イタリアとの次期戦闘機の共同開発。そもそも、なぜ新たな戦闘機が必要で、なぜ共同開発なのでしょうか。
防衛産業に詳しい拓殖大学 佐藤丙午 教授
「新たな戦闘機が必要なのは、F-2戦闘機が製造設計から30年経っているので、更新が必要だった。先行するイギリスや、製造技術において極めて優秀な能力持つイタリアと共同開発は合理的な選択ではあった」
ただ、この戦闘機をめぐっては“ある懸念”が。岸田総理は2024年3月、こんな答弁をしていました。
岸田文雄 総理大臣
「英伊は調達価格の低下等に向けて、完成品の第三国移転(輸出)を推進することを貢献の重要な要素と考え、我が国にも同等の、同様の対応を求めている」
つまり、次期戦闘機を別の国に売って利益を出すことで開発コストを抑えたいイギリス・イタリアと、足並みを揃えないと不利な立場になる、ということのようです。
当初、次期戦闘機の輸出に反対していた公明党は、輸出先を戦闘が行われている国を除くことなどの「歯止め」を設けることで輸出解禁を容認。2024年3月、政府は、次期戦闘機の第三国への輸出を解禁する方針を閣議決定しました。
防衛産業に詳しい拓殖大学 佐藤丙午 教授
「(輸出を)与党内協議を経て、閣議決定で決めるという話なので、国会の中で議論することはそれほど想定されてはいません。アメリカでは一定額以上のものは議会の報告・承認というプロセスがありますので、どういう手続きで武器移転(輸出)を進めるのか、という議論を与野党で深めてほしい」
イギリスを訪問中の木原防衛大臣は、先ほどイギリスとイタリアの防衛大臣と会談。2035年の次期戦闘機の配備に向けた連携の継続を確認したということです。