24日は「土用の丑の日」ですが、今、うなぎの稚魚(シラスウナギ)の漁獲量が減少し、問題になっています。そうした中、「うなぎの完全養殖」の実用化に向けた研究が進んでいます。窮地を救えるのでしょうか。
【写真を見る】うなぎ値上げ続く中の「土用の丑の日」 救世主になるか…「うなぎ完全養殖」の実用化に向けた研究の最前線を取材【news23】
「GWあたりから徐々に…」シラスウナギの漁獲量減少で仕入れ値高騰
東京・日本橋にある、うなぎ 「躻(うつけ)」。看板メニューは「うな重・マウンテン」(ランチ価格4950円)。贅沢にうなぎを2尾使い、関西風に皮はパリッと、身はしっとりと焼き上げた逸品です。
うなぎ 「躻(うつけ)」 野口瑛太 店長
「(うなぎは)“夏に栄養”というイメージがついていますので、ほんとにガッツリほおばる感じで召し上がっていただけるといいかな、と思っております」
一方で、“悩みの種”は、うなぎの仕入れ値の高騰です。
うなぎ 「躻(うつけ)」 野口瑛太 店長
「5月のGWあたりから徐々に上がってきておりまして、いま約1kg1000円くらいは上がっています。(うな重・マウンテンの)原価率は、正直60%ぐらいはいってしまうんですけど、値段はなるべく抑えて、たくさん食べていただきたいと頑張っています」
私たちが食べているうなぎのほとんどは養殖ですが、天然の稚魚=シラスウナギを飼育したものです。いま、そのシラスウナギの漁獲量が減少し、価格が高騰しているのです。
卵からうなぎへ 「完全養殖」で窮地を救う
こうしたうなぎの窮地を救う切り札として政府が進めているのが、うなぎの「完全養殖」です。
水産研究・教育機構 風藤行紀 シラスウナギ生産部長
「これがうなぎの卵。ふ化する前の赤ちゃんです」
「完全養殖」は、卵を人の手で育ててふ化させ、シラスウナギ、そして親ウナギへ。その親がまた卵を産むことでサイクルが達成できる仕組みです。
風藤行紀 シラスウナギ生産部長
「できるだけ持続可能にして、食文化が守っていけるような状態を最低限目指していく」
一方、課題は、飼育に手間がかかることと、コストだといいます。案内してくれたのは、仔魚=レプトセファルスを飼育している部屋。いわゆる、うなぎの赤ちゃんです。
水産研究・教育機構 髙崎竜太朗 研究員
「もう200日以上経っているので、大きい仔魚。まもなく稚魚(シラスウナギ)になる子達です。あとはうなぎのように、色がついて食べるサイズにまで大きくなっていく」
仔魚は光に弱く、1日2時間おきに5回、短時間でエサやりを行う必要があります。また、毎日水槽を洗うなど、人の手がかかるためシラスウナギ1匹あたりにかかる生産コストは約1800円。天然のシラスウナギからの養殖と比べると、まだ3倍以上の価格差があります。
政府は1匹あたり1000円程度まで下げ、2050年までには養殖に使うシラスウナギを100%人の手で育てることを目指しています。