色で「がん手術の失敗を防ぐ」ものから仮想心臓で「異変を察知」まで…私たちを守る「医療AI」最先端【THE TIME,】

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2024-08-02 07:00
色で「がん手術の失敗を防ぐ」ものから仮想心臓で「異変を察知」まで…私たちを守る「医療AI」最先端【THE TIME,】

医師の目では気づきにくい“わずかな異変”を察知するAIに…“色”で手術をサポートするAI…はたまた認知症に大きくかかわる「海馬」の精密測定を可能にするAIまで。
今、医療の現場で急速に広がる最新AI技術を取材しました。

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心臓病の「わずかな予兆」も見つけるAI

日本で、がんに次いで、2番目に多い死因「心臓病」。
中でも特に多い「心不全」は、初期では自覚症状が出にくいため、進行するまで気づきにくいのが特徴です。

しかし、今後は毎年の健康診断で早期発見できるかも!
健康診断でおなじみの「心電図」と「AI」を組み合わせた研究が進んでいるのです。

その肝となるのが、「仮想心臓」と呼ばれる心臓シミュレーション。

実際の患者の心電図やCT画像などから作成した心臓の3Dモデルで、モニターに表示された「仮想心臓」は、実際の心臓と同じように、ドクドクと立体的に鼓動。筋肉の動きや血液の流れが詳細に再現されています。

この「仮想心臓」を、「将来心臓病になりやすい心臓」から「なりにくい健康な心臓」まで、3万パターン以上を作成。これはスーパーコンピュータ「富岳」の担当。

そして、ここからがAIの出番!
『ジャパンメディカルデバイス』CEO千葉修一さん:
「3万件の仮想心臓データをAIに学習させて、
突然死につながる不整脈を判断する研究をしている」

3万パターンの心臓を知るAIが、心電図の波形から、病気につながる異変を察知するのです。

例えば…といって千葉さんが見せてくれた2枚の心電図の波形。

ほぼ同じ波形に見えますが、1つは「健康な心電図」で、もう1つは「突然死につながる不整脈の心電図」。
2つを重ねてみると、確かにわずかに波形がずれているところがあります。

このように医師の判断が難しいわずかな異変も、AIがサポートして見つけていけるようになるといいます。

現在様々な心臓病のサポートができるよう研究が進められていて、健康診断で、心電図検査のオプション(※費用1万円前後)としての実用化を目指しています。

がん手術を「失敗させない」AI

さらに「がん手術の失敗を防ぐ」ことにもAIが活用されています。

国立がん研究センター東病院(千葉県柏市)。
小さな穴から、カメラや器具を通し、体内を写した拡大画面を見ながら行う大腸がんの腹腔鏡手術が行われていました。

医師が見ているモニターには、手術を行っている臓器が映し出されていますが、その臓器の一部が水色で表示されています。

切ってしまうと身体機能に障害が出る可能性もあります。
さらに、傷つけてはいけない「尿管」は緑色で表示され、医師が一つ一つ画面で確認しながら手術を進めていました。

そう、AIがリアルタイムで、今手術をしている臓器の神経や血管、尿管などに色を付けて表示しているんです。

『国立がん研究センター東病院』大腸外科医長・塚田祐一郎医師:
「大事な臓器を守りながら手術をする。若い医師は手術の経験不足で、
臓器の認識ができなかったりすることもあるので、AIが手術のサポートになる」

院内には、全国の病院から集めた4000例以上の腹腔鏡手術の動画があり、その一つ一つに、「切ってはいけない部分」を人の手で青や緑に塗っていきます。

専門のスタッフが、医師のチェックを受けながら、1人1日30本ほどの動画に塗り絵。
これをAIに学習させるのです。

医師がモニターを見て「神経」に気づくより、AIの方が圧倒的に早く色で表示するといいますが、あくまで最終判断は医師がするのが鉄則だといいます。

『国立がん研究センター東病院』副院長・伊藤雅昭医師:
AIが100点の情報を提示してくれることはない。AIの情報に『正解』『不正解』と従うのではなく、AIの有益な情報に基づいて最終的に人が判断する」

今後は大腸がん以外のがん手術にも応用できるよう、研究が進められています。

認知症の「予防につながる」AI

「認知症の予防につながる」AI技術も、実用が始まっています。

東北大学・加齢医学研究所の瀧靖之教授によると、脳は30代から少しずつ委縮し始めるとのこと。しかし、記憶をつかさどる「海馬」だけは、生活習慣の改善で大きくなることがわかってきました。

そこで大事なのが「今、自分の海馬がどういう状態なのか」を知ることなのですが、左右一つずつある海馬は、約5cmと小指ほどの大きさ。
解析しにくいという事情がありました。

この問題を解決したのがAIによる検査方法です。
東北大学・瀧研究室発のベンチャー企業『CogSmart』が、1万人以上のMRIデータをAIに学習させ、「海馬」の体積を測定できる技術を開発。

『CogSmart』CEO樋口彰さん:
「目で見るだけだと、なかなか海馬の体積はわからないが、AIを活用することで、具体的な体積の数値や、どのくらい委縮しているのかがわかる」

すでに全国80か所以上の医療機関に導入され、2万円ほどで検査が可能とのことで、42歳、若干ポッチャリの番組ディレクターが実際に受けてみました。
(※料金は医療機関によって異なります)

MRI画像を撮影し、30分ほどで出た結果は…
(※結果が出る時間は、医療機関や検査時間によって異なります)

『うえのとしあき脳神経クリニック板橋』院長・上野俊昭医師:
「海馬の体積は、7450㎣。同年代の平均よりちょっと下という数字です。
ただ個人差があるので、これで萎縮と決めつけるわけではない」

それでも、「ちょっと危機感を覚えた」という番組ディレクター。
生活習慣を改善すれば、海馬を小さくならないようにしたり、大きくできる可能性もあるとアドバイスを受け、食生活の改善を決意していました。

年に1回でも「海馬」を定期的に測定し、その変化を知ることで、生活習慣の見直しにつながり、認知症リスクを減らすことができるといいます。

実際に検査を受けた人は…

33歳男性:
「提案してもらった生活習慣を、より意識してやっていこうと励みになった」
59歳男性:
「結果がわかりやすいし、早いし、値段も比較的安いのでいいと思う」

(THE TIME,2024年7月12日放送より)

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