犬を迎えると、絶対といっていいほど耳にして、「まさにそれだ!」となるもののひとつに『問題行動』というものがあります。多くの人はその意味を、犬が起こす困った行動と認識していると思いますが、実はそれは間違いです。問題行動というのは、犬が犬として当たり前にしている行動に対して、人間が問題だと感じてそう呼んでいるだけに過ぎません。また、本当に問題行動があるとすれば、それは犬自身が困っていて、それをどうすれば解決できるかわからず行動してみた結果です。問題行動といわれる行動が本当は何を意味しているのかを知ると、決してそれは問題ではないことがほとんどだ、ということがわかります。ぜひそのヒントをここで掴んでみてください。
犬の「問題行動」の本当の意味とは
噛む(甘噛み)
甘噛みを含めて噛むという行動には理由があります。
甘噛みであれば歯がむず痒かったり人間の赤ちゃんと同じでとりあえずなんでも口に入れてみて確かめる、という行動だったりすることも少なくありません。
また、甘噛み以外であれば噛むことで何らかのメリットを得ていたり、噛むという最終手段(攻撃)を用いて脅威からの脱却を試みている状態です。
吠える
吠える行動は犬のコミュニケーションの中でも声という音を使ったものになります。
犬はノンバーバルコミュニケーションが約6割ほどですが、残りの約4割は音を使ったコミュニケーションです。
つまり、吠えるという行動はより遠くの相手とコミュニケーションを取りたいときや、近くにいる相手であっても音(声)を使ったほうがより効果的であるという場合に選択します。
ゴミ箱を漁る
犬がゴミ箱を漁る行為というのは人間からしてみたら大変迷惑な行為でしょう。
しかし、犬からしてみれば食べ物など魅力的な香りが漂う宝箱のような存在です。
人間であればもしそれがゴミ箱ではなく、なにかとても良い香りのする箱だったら「なんだろう?」と気になりませんか?
犬にとってゴミ箱かそうでないかの違いはなく、「魅力的な宝箱」でしかないので、ゴミ箱を漁るという行動は犬にとっては異常でも問題でもなく、いたって正常な行動です。
飛びつく
小型犬であれば飛びつくという行動もかわいらしいかもしれませんが、大型犬になると相手を倒して怪我をさせかねないので問題行動として捉えられてしまいます。
ここで気づいてほしいのは、小型犬であれば問題行動に必ずしもならないのに、大型犬であれば問題行動として振り分けられてしまうということです。
「飛びつく」という行動は犬の大きさ次第で問題行動かそうでないかを判断されてしまいがちですが、これも犬にとっては問題でもなんでもなく当たり前の行動なのです。
破壊する
破壊行動というのは必ずしも問題行動ではありません。ストレスなどによる欲求不満から破壊行動をとるケースも確かにありますが、本来の行動としてそれを出現させているだけに過ぎないことも多くあります。
例えば、ぬいぐるみを噛みちぎり綿を出すという行動も、野生下なら獲物を捉え被毛・皮膚・肉を引き裂くという狩猟本能の現れです。しかし、これが柱や壁紙など家の一部を破壊するような行動になると、それは問題として判断されてしまいます。
環境を整えて不満を解消するのが近道
一般的に「問題行動」とされてしまう犬の行動を上記でご紹介しましたが、いずれも犬にとってはなんでもない至って当たり前の行動です。
つまり、問題としているのは人間の都合であって、犬からしてみれば環境を変えるためであったり、本能行動であるなど犬として当たり前の行動でしかありません。
この問題行動は、ときには手をつけられなくなり、嫌悪刺激(痛み・恐怖・苦痛などネガティブな刺激)を与えることでどうにかやめさせようとするケースもまだまだ少なくありません。
しかし、そのように行動を強制的にやらせないようにするのではなく、そもそも人間にとって困った行動を選択されずに済むようにまずは環境を整えることが先決なのです。なぜならば、犬にとっては、問題行動を起こしたい対象が視界からなくなっただけでそれをする必要が無くなるからです。
さらに「噛みたい」という欲求が起きてしまった場合には、無理矢理やめさせようとしたところでその欲求が満たされなければ、別の対象を探して噛もうとするだけです。そのため、そもそも問題とされる行動がでなくて済むようにするだけではなく、同時に欲求を満たしてあげる必要もあります。
「噛みたい」という欲求があるのであれば、噛んでもいいおもちゃを提供したり、その噛むという行動がなにか別の欲求不満でそれを解消するための方法としているのであれば、一緒にゲームをしたりゆっくりお散歩を楽しむなどして満たしてあげましょう。
このように、問題とされる行動をされることのないよう環境を整え、さらに欲求を満たしてあげることで、問題行動だと考えられる悩みをかなり減らすことができます。
『ハズバンダリートレーニング』の活用
ここで覚えておいてほしいのが、「従わせる」「やめさせる」といったように、犬をコントロールしようと考えないでほしいということです。
前の章で環境を整え犬を満たすという話をしたように、まずは問題となる行動を出す必要がない状態にすることが第一。そこまでしたら、次は「こうしてもらえたら助かる」という行動を犬に協力してもらうようお願いします。
これは近年『ハズバンダリートレーニング』といわれているトレーニングで、お世話や治療をスムーズに行うために動物側に協力をお願いするしつけ方法のこと。ここでいう「協力をお願いする」というのは、決して動物を従わせることではありません。
例えば、犬の「飛びつき」をどうにかしたいという場合、『四本脚が地面についている状態』であれば、飛びついていないので人間としてはありがたい状態ですよね。つまりその状態を強化すれば良いのですから、「四本脚を地面につけていてくれたら美味しいトリーツをあげるよ」という約束をします。
そしてその約束を必ず人間が守ることで犬はそのルールを理解し、飛びつくよりも四本脚が地面についているほうがお得だということを自分で理解し、その行動を自主的に選択するというわけです。
決して飛びつく行動をさせないためにネガティブな刺激を犬に与えるのではなく、犬にとってメリットを提供することで人間にとって望ましい行動を強化していきます。
まとめ
犬の問題行動といわれるものは、人間にとって問題となる行動です。犬にとっては正常な行動であり当たり前の行動なので、決して犬の問題の行動ではありません。
ですから、なぜ犬がその行動をしてしまうのか、まずは原因を知ることが大事です。
そして無理にやめさせるのではなく、それをする必要のない環境を構築し、そのうえで犬の欲求を満たしてあげるようにしましょう。
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