犯罪に利用されているにもかかわらず放置したとして、通信アプリ「テレグラム」のCEOが逮捕されました。秘匿性の高さから、犯罪の温床との批判も受けていましたが、SNSへの規制をめぐる議論にも影響を与えそうです。
【写真を見る】“犯罪を放置”の疑いでテレグラムCEOを逮捕 会社側「不正利用の責任負わせるのは不合理だ」今後のSNS規制に影響は?【news23】
“犯罪を放置”疑い テレグラムCEO逮捕 SNS規制に影響は?
世界で約10億人の利用者がいる通信アプリ「テレグラム」。近年はロシアやウクライナなどで、戦闘の様子を世界に発信するツールとしても利用されています。
そのテレグラムの創業者、ロシア出身のパベル・ドゥロフCEO(39)が8月24日、フランスの空港で逮捕されたのです。
2013年にテレグラムを設立し、現在はアラブ首長国連邦(UAE)のドバイに拠点を置いています。
パベル・ドゥロフ氏
「私たちは自由を大切にします」
ドゥロフ氏はテレグラムが麻薬密売などで利用されているにもかかわらず、必要な監視を怠った疑いがあるとして逮捕されたということです。
テレグラムの特徴は高度な暗号技術によって秘匿性が高く、プライバシーを保ったまま情報発信ができる点。その反面、一定時間が経過するとメッセージを自動消去される機能などがあり、犯罪の温床になっていると批判されてきました。
過激派組織「イスラム国」などが組織内の情報共有や広報活動に使っているほか、薬物取引や人身売買などにもテレグラムが利用されているといいます。
一方、日本でも東京・狛江市などで起きた一連の強盗事件で指示役「ルフィ」とのやり取りに使われていたことが分かっています。
犯罪を放置した疑いでプラットフォームのCEOが逮捕されるという異例の事態。これに声を上げたのがXを所有するイーロン・マスク氏です。
イーロン・マスク氏のX
「自由 自由! 自由?」
「#FreePavel(パベル=パベル・ドゥロフCEO)」
ドゥロフ氏の釈放を求めた投稿だとみられています。
また、テレグラム側は25日、声明で「不正利用の責任をプラットフォーム、またはそのオーナーに負わせるのは不合理だ」と主張しています。
日本でも投資詐欺などにSNSが利用され、対策などの議論が進む中、今回の逮捕はどう影響するのでしょうか。
ネット犯罪やSNSに詳しいソーシャルメディアコンサルタント 落合正和さん
「悪用しているユーザーが本来は悪いのであって、すべての責任をプラットフォームのトップにというのも世の中の流れとしてはあまり望ましい方向ではないかなと。今回の事件を契機に、様々なSNSはいろんな問題視をされていますから、規制が強くなっていく傾向にあるのは間違いないのかなと」