猫が『涙を流している』ときに疑うべき5つの病気 猫は悲しくて泣くことはない

2024-09-26 06:00

猫が涙を流している姿を目にした飼い主さんは、驚いたり心配してしまうかもしれません。しかし猫は人間とは異なり、感情的な理由で涙を流すことはありません。猫が涙を流しているとき、それは何かしらの健康上の問題が関係している可能性が高いのです。

猫の「目」に原因がある場合

目の検査をしてもらう猫

1.結膜炎

猫の涙の原因としてよくみられるのが、結膜炎です。

結膜炎とは、目の結膜と呼ばれる部分に炎症が起きる病気のことをいいます。主な症状には、結膜の充血・目やに・浮腫などがあり、涙が多くなるのも特徴です。

結膜炎の原因は細菌やウイルス、アレルギー反応、異物などさまざまあります。

とくに猫カリシウイルスや猫ヘルペスウイルスによる感染症が原因の場合は、他の猫への感染リスクもあるため、注意が必要です。

結膜炎が進行すると、目やにで目が開かなくなり失明のリスクが懸念されるため、早期治療が求められます。

2.角膜潰瘍

角膜潰瘍も、猫が涙を流す原因としてよく見られます。

角膜潰瘍とは目の角膜が傷つき、侵入した細菌によって炎症が引き起こされる病気です。この病気は外傷が原因であるケースが多いですが、ほかにはウイルス・真菌・逆さまつげなどが原因で発生することもあります。

角膜潰瘍は痛みを伴うため、猫は目をしょぼしょぼさせたり、手で目をこすったり目を気にする行動がよくみられます。

放置すると角膜に穴が開いて失明に至ることもあるため、早期発見と適切な処置が必要です。

猫の「目」以外に原因がある場合

ペルシャ猫

3.鼻涙管閉塞

「鼻涙管閉塞」も、涙が出る病気のひとつです。

猫の鼻と目をつなぐ鼻涙管が詰まると、涙がうまく排出されず、目からあふれ出ることがあるのですが、これが鼻涙管閉塞と呼ばれる状態です。

鼻涙管閉塞は先天的な構造の問題や、感染症による炎症が原因で起こることがあります。

症状としては、常に涙が流れている・涙やけができる・ゼリー状の目やにといったものが多いです。

特にペルシャやヒマラヤンといった短頭種の猫は、鼻涙管閉塞を起こしやすい傾向があります。

この状態が続くと目の下の皮膚が細菌に感染したり、皮膚が荒れてしまうこともあるので、早めに獣医師に相談しましょう。

4.睫毛異常

猫では少し稀ですが、涙を流す原因として睫毛(しょうもう)異常も考えられます。

睫毛異常とはまつ毛が正常な位置からずれて生えている状態や、まつ毛が目に向かって生えている状態を指します。

このような異常があるとまつ毛が常に角膜や結膜に接触し、目に慢性的に刺激を与え続けるため、涙が過剰に分泌されるようになります。

睫毛異常の種類は3つ。代表的なものとしては、「逆さまつげ」や、「睫毛重性(マイボーム腺の開口部から生える)」「異所性睫毛(マイボーム腺から生えた毛が角膜を刺激する)」です。

睫毛異常がある猫では涙が常にあふれ出るほか、目やにが増える・目が赤くなる・まぶたが腫れるといった症状が見られます。

また猫は目の不快感を解消しようと、頻繁(ひんぱん)に目や顔をこすったりするような仕草を見せることも。

最悪の場合角膜に傷がつき、角膜潰瘍やほかの感染症を引き起こすリスクを高めるので、早めの処置が必要です。

5.アレルギー

猫が涙を流す原因のひとつが「アレルギー」です。アレルギーは免疫システムが特定の物質に過剰に反応することで引き起こされます。

猫のアレルギーの原因となる物質(アレルゲン)には、花粉・ホコリ・カビ・ダニ・ノミ・食物などさまざまです。

猫がこれらのアレルゲンに接触すると、体がそれを異物と認識し、免疫反応として涙が分泌されます。

ほかのアレルギーの症状として多いのは皮膚の炎症やかゆみのほか、目の周りに症状がでると結膜炎といった病気を併発し、それが原因で涙が流れることも。

アレルギーを完治させるのは難しいですが、内服である程度症状を落ち着かせることはできます。

そのため愛猫にアレルギーが疑われる症状があらわれたら、獣医師に相談してみるといいでしょう。

まとめ

涙を拭いてもらう猫

猫が涙を流すのは感情的な理由ではなく、何らかの健康問題が背景にある可能性が高いです。

今回紹介したような病気(結膜炎・角膜潰瘍・鼻涙管閉塞など)は、猫の目に痛みや不快感を与え、猫の視力にも影響が出かねません。そのため早期発見と適切な治療が非常に重要です。

飼い主がやるべきことは、猫の涙や目の状態に気を配り、異常が見られた場合は必要に応じて獣医師に相談すること。

愛猫の健康を守るためにも猫のサインを見逃さず、愛猫が健やかに過ごせるようサポートしてあげましょう。

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