Zapは、核融合エネルギー実現のための重要な技術を試験するプラットフォーム「Century」と新たに調達した1億3000万ドルの資金を活用し、独自の小型核融合炉の実現を推進する
ワシントン州エバレット, 2024年10月10日 /PRNewswire/ -- Zap Energyは、同社の新しい実証プラットフォームである「Century」の運用を開始し、商業用核融合炉の実現に向けた大きな一歩となる追加資本1億3000万ドルを調達しました。
Zap社の独自の小型核融合炉へのアプローチは、他よりもより高速な反復周期と、より低い資本コストのメリットがあります。これにより、Zap社は、システム全体でのウォールプラグネットエネルギーに達するために必要な実現技術をプラズマ物理学の研究開発と並行して開発することができます。この実現に求められる技術には、反復的パルスパワー、液体金属壁、耐久電極などがあります。
Centuryは、核融合炉関連の技術(過去の大規模なプラズマ対向液体金属ブランケット試験など)を完全に統合した初の実証です。
今回のシリーズDラウンドで調達した新たな資本は、科学的な正味のエネルギー利得(Q>1として知られる)を超えてプラズマ性能を拡大すると同時に、商業化に必要な技術を成熟させるという会社の野心を後押します。
「核融合の商用利用に向けた競争は、歴史的にトライアスロンのように考えられてきました。科学、エンジニアリング、そして商業化です」とZap社のCEO ベンジ・コンウェイ氏は語ります。「しかしZapでは、この3つを同時に行うことを試みています。このような平行アプローチは、核融合の商用利用を適切な時間軸で実現するための鍵です。Centuryはエンジニアリングの段階において欠かせない要素なのです」
実験室から電力網へ。Zピンチ核融合
Zap Energyの核融合への手法は、せん断流安定化Zピンチとして知られ、大型の超伝導磁石や強力なレーザーを使用せず、従来のシステムよりもはるかに小型です。
核融合から正味エネルギーを生成するには、装置の種類にかかわらず、内部のプラズマが核融合の三重積を満たす必要があります。つまり、十分に高温、高密度、長時間でなければなりません。2つの主力核融合装置を用いたプラズマ物理学における急速な進歩の実績と、将来の実現可能性を底上げする最近の研究結果により、Zapはより大きな極限に立ち向かい、生み出された核融合エネルギーを利用するための新しい装置の設計に着手しました。
「創業当初から、Zap Energyの創業者たちは、当社のZピンチコンフィギュレーションに基づく融合炉がどのように役に立つかを見据えていました」とZapのシステムエンジニアリング担当副社長であるマシュー・C・トンプソン氏は述べています。「私たちの仕事は、キーテクノロジーを実際に構築、テスト、成熟させることによって、この計画を開発し、検証することにあります。Centuryは、その取り組みにおける次の大きなステップなのです」
Centuryについて
Centuryは、世界初の100kw規模の反復型Zピンチシステムです。Centuryが目指すのは、Zapの電源設計の3大ポイントである[反復パルス電源][プラズマに面した循環液体金属壁][電極損傷を緩和する技術]を統合し、テストすることです。
Centuryは、発電所のようなオペレーション設計となっています。
- 10秒ごとに、安定したシーケンスで2時間以上(0.1 Hzで1,000パルスを超える)の高電圧パルスを射出します。
- 初期構成では70キログラム、最終構成では1トンを超える高温液体ビスマスを循環させます。熱交換器により、加熱された金属を蒸気に変換します。
- 極端な熱と中性子束による電極による損傷を軽減するための重要な戦略をテストします。
「Zapの核融合アプローチはパルス式であるため、最終的にはシリンダーを一日中燃焼させて安定したエネルギー出力を生成する内燃機関のような働きがあります」と、トンプソン氏は説明します。「そうすることで、システム内に大きな中性子束と熱負荷も発生します。これはまさにあなたが必要とするエネルギー出力ですが、独自の工学的な解決策が必要です。Centuryは、私たちの多くの仮説を検証し、最初のプラントに向けた最良の道を定義してくれるでしょう」と述べました。
Centuryの構造は、Zapのせん断流安定化Zピンチチャンバー設計を採用し、垂直方向に配置した最初の製品です。パルスパワーは装置の上部から注入され、液体金属は底部のレセプタクル内を循環します。Zapが過去2年間に構築した独立したテストスタンドは、Centuryの各サブシステムの以前の世代を検証しました。
プラズマと流れる液体金属の最初の試験は6月13日に行われました。このプラットフォームはその後、6月21日に主要なマイルストーンに到達し、2時間半の間に10秒ごとに1回、1080個のプラズマの安定したシーケンスを発射しました。
プラットフォームは平均入力電力100kwを目指して段階的に出力向上を進めており、現在もテストが継続中です。ちみに、Centuryを動かすための100kwとは、米国の家庭75軒分の平均的な消費電力を湯沸かし器ほどの大きさのチャンバーに集約したものにほぼ等しいです。
Centuryの中央スタックは2階建てバスほどの大きさで、50メガワットを発電するZap Energyのモジュール1基の最終的なサイズに近いです。今後の融合炉は複数のモジュールを持つことになるでしょう。
新しい資金調達により次世代プラットフォームを推進
Zapの1億3000万ドルのシリーズDは、Soros Fund Management LLCが主導し、BAM Elevate、Emerson Collective、Mizuho Financial Group、Xplor Venturesなどの新規投資家が参加しました。現在、新ラウンドに参加している投資家には、Addition、Breakthrough Energy Ventures、Chevron Technology Ventures、Energy Impact Partners、Lowercarbon Capital、Shell Venturesなどがいます。
Zapのシステムの資本コストは本質的に低いため、新しい資金は、プラズマ研究開発とシステムレベルのプラントエンジニアリングおよび統合の両方を並行して開発するために使用されます。これには、同社のFuZEデバイスシリーズの次世代と、最先端のパルス電源コンデンサバンクが含まれます。
Zap Energyについて
Zap Energyは、高コストで複雑な磁気コイルを必要とせずに、プラズマを閉じ込めて圧縮する、低コストかつコンパクトでスケーラブルな核融合エネルギープラットフォームを開発しています。Zapのせん断流安定化Zピンチ技術は、魅力的でかつ経済的な核融合を提供し、従来の手法よりも桁違いに資本が少なく済みます。Zap Energyはシアトルとサンディエゴに150人の従業員を擁し、主要な金融および戦略的投資家によって支援されています。Zap社のホームページ(zapenergy.com)をご確認ください。
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