犬を飼っていると、季節の変わり目に大量に毛が抜けて困った、という経験がある方が多いのではないでしょうか。犬には、「大量に毛が抜ける時期=換毛期」というものがあります。そこで今回は、犬の換毛期に飼い主が意識すべきケアやコツについて解説します。
犬の換毛期に飼い主が意識すべきケアやコツ
換毛期の犬はとにかくふわふわの毛がどんどん皮膚から抜けるので、絡まりやすく毛玉になりやすい時期です。
毛玉ができれば通気性も悪くなり、ゴミもたまってしまうため、皮膚炎になりやすくなります。この時期には、飼い主はいつも以上に愛犬の被毛と皮膚の状態をケアする必要があります。
そしてしっかり抜け毛を取り除いてあげることで、毛づくろいの最中に余計な毛を飲み込むことを防止することができます。
1.ブラッシング
換毛期のケアの基本は、ブラッシングです。
ブラシはピンブラシ、ラバーブラシ、コーム(くし)、スリッカーブラシなど、さまざまな種類があります。どれも用途がきまっていますので、ブラッシングの目的に応じて使い分けましょう。
ピンブラシ、コームは毛並みを整えるため、スリッカーは毛のもつれなどをほぐすために使います。近年はラバーの柔らかいブラシも人気です、こちらは皮膚のマッサージをしつつ体の表面に浮いた毛を除去するブラシですね。
毛玉になった部分をほぐそうと無理やりブラッシングすると、犬は痛くてブラッシングが苦手になってしまいます。なるべくやさしく、おやつなどで「いいことがある」「きもちいいことがある」と教えてあげるとスムーズでしょう。
2.シャンプー
換毛期の犬の皮膚はとても活発に新陳代謝が起こっている状態なので、犬種によってはいつもより脂っぽいと感じることもあるかもしれません。
抜けた毛も体表面で絡みやすく、汚れやすいうえ毛穴も開いている状態なので、脂が溜まってしまうと皮膚炎を起こすこともあります。
丁寧にブラッシングをしてシャンプーをすると、抜け毛や汚れを洗い流すことができて、皮膚炎を予防することができるでしょう。
ただし、あまり頻繁にシャンプーをしすぎるのも注意が必要です。皮膚表面の脂が流され、バリア機能が失われることによって、ブドウ球菌が繁殖すると「毛包炎」を起こすことがあります。
毛包炎になると、毛穴周辺に炎症が起こりますが、進行すると膿を含んだ水泡ができます。かゆみが生じるため頻繁に舐めたり掻いたりして、皮膚が傷ついたりその部分の毛が抜け落ちてしまうこともあります。
万が一毛包炎になってしまったら、動物病院で抗生物質を処方してもらって治療しましょう。
毛球症を予防するために日頃からできること
春先と秋ごろの年に二回ほど、犬には「換毛期」と呼ばれる、毛が生え変わる時期があります。この時期になると、犬の身体からふわふわの下毛が抜けたり生え変わったりします。
このふわふわの下毛は「アンダーコート」と呼ばれ、皮膚に近いところに密生し、犬の体温を維持する役割を持っています。
アンダーコートの生え変わりには決まったサイクルがあり、春先になると夏に向けて冬の密度の高いアンダーコートが抜け落ち、夏用のアンダーコートが生えます。秋にはこれが抜けて、冬用のアンダーコートが生える、というサイクルです。
最近人気の柴犬やコーギー、ゴールデンレトリバーなどはダブルコートの犬種なので、換毛期にはとてもたくさん毛が抜けます。トイプードルやテリア種などは「シングルコート」と呼ばれ、アンダーコートがあまりないため換毛期が目立ちません。
そしてこの換毛期に起こりやすいのが「毛球症」です。こちらは毛づくろいの最中に飲み込んだ毛が上手く消化管から排出できず、胃や腸で大きな毛玉になって詰まってしまう病気です。
嘔吐、食欲不振、便秘、腹が膨れるなどの症状がみられ、ひどくなると腸閉塞や窒息で死んでしまう危険があります。
つまり、換毛期の毛づくろいで抜けた大量の毛を、愛犬に飲み込ませないように注意する必要があります。
まとめ
今回は、犬の換毛期に飼い主が意識すべきケアやコツについて解説しました。
犬の換毛期は、彼らの体温調整のためには必要な現象です。
愛犬に快適に過ごしてもらうため、また毛球症を予防するためにも、毎日のブラッシングやケアは丁寧に行っていきたいですね。
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