『犬は人間の何千倍も鋭い嗅覚を持っている』と言われていますが、人間が「臭い」と思うものに対して興味を示したり、好きになったりということがあります。逆に、人間が「いい匂い」と思うものを嫌うことも。いったいどうして犬は臭い物が好きなのでしょうか。
犬が「臭いもの」を好む理由
犬はゴミ捨て場や、草むらなどに残された他の犬の尿のにおい、あるいは糞のにおいなどを興味深そうに嗅ぐことがあります。人間にとってそれらは「臭い!」「汚い!」というものなので、愛犬にもできれば嗅いでほしくないものですよね。
しかしこれらのにおいは、犬にとっては「臭い」「汚い」ものではなく、非常に興味のそそられるにおいなのです。
その秘密は、「有機物のにおい」です。
有機物とは化学的に言えば、炭素原子が共有結合という化学結合をした骨格をもつ物質の総称です。燃えると二酸化炭素を発生させ、黒く焦げて炭になってしまうものですね。
代表的なものには砂糖、石油、ロウ、紙などがあります。古くはタンパク質や脂質など、生物が作り出す化学物質とされてきました。
ではなぜ犬はこのような有機物のにおいが好きなのでしょうか。
そこで今回は、犬が「臭いもの」を好む理由について徹底解説します。理由が分かれば、愛犬が臭いもののにおいを嗅いでいても少しは納得できて安心するかもしれません。
1.獲物になる生き物のにおいだから
犬が好きな有機物のにおいとは、生物が作り出す、生物を構成する物質のにおいということになります。
生物が作り出す物質といえばタンパク質や脂質などで、これらは血液や筋肉などに多く含まれています。犬はこのようなもののにおいに敏感に反応します。それは、これらが獲物のにおいだからです。
つまり犬たちは「臭いものが好き」なのではなく「獲物が発するにおいに興味がある」ということなのです。
特に、ゴミ捨て場などのにおいについては、廃棄されるものの中に肉や魚の残骸などが入っていることもあり、有機物のにおいがたっぷりただよっています。犬はそのにおいを嗅ぎ取り、(ここには食べ物があるかもしれない!)と感じて鼻をひくひくさせているのでしょう。
2.カモフラージュのため
人間にとって、「糞尿のにおい」は悪臭とされています。この悪臭のもととなるのが「アンモニア」です。
犬は不思議なことに、この糞尿のにおいを嗅ぎ取ると、そのにおいを体にこすりつけようとすることがあります。飼い主にしてみればとんでもないことなのですが、こちらには犬なりの理由があります。
犬にとって、自分の体臭は敵に居場所を悟られる可能性があるため、本能的に消し去りたがると言われています。そのため、他者の糞尿のにおいがする場所に体をこすりつけ、自分のにおいではなく他者のにおいをまとおうとするのです。
3.大好きな人のにおいだから
犬は人間の三千倍から一万倍ともいわれる嗅覚で、飼い主や家族、よその人のにおいを嗅ぎ取っています。人間同士では分からないほどのにおい粒子も犬たちの鼻は的確にとらえ、記憶と結び付けているようです。
犬が人間の靴下や下着のにおいを好んでいるのは、その衣類に付着した有機物のにおいから、飼い主のにおいを強く感じているから、とも言われています。
もちろん、汗や皮脂などの有機物のにおいもそれはそれで「獲物のにおい」と感じて好ましく思っている犬も多いようです。
また、中年男性の汗などは大好物で、執拗に中年男性の顔を嗅いで舐めまくる、というパターンもあるようですね。
このような「有機物のにおい」に反応して好意的な行動を起こす犬ですが、実は同じ有機物でも、「酢」や「アルコール」、「唐辛子」等の刺激臭は苦手である場合が多いです。
さらに、人間が好ましいと思う「柑橘系」のにおいも、犬にとっては酸っぱくて嫌なにおいと認識されることもあるので注意してあげましょう。
まとめ
今回は、犬が「臭いもの」を好む理由について解説しました。
人間にとってはどれもこれも「臭い!」で済ませてしまうものなのですが、犬にとっては「臭いもの」でもそのにおいは様々異なって感じられるようです。
いずれにせよ、嗅覚を使うことは、犬にとっても楽しいアクティビティになります。ゴミ箱の中身を食べようとしたり汚いものをこすりつけようとしたりする以外は、たまには思う存分嗅がせてあげてもいいかもしれませんね。
関連記事
・犬が鼻先をつけてくるときの心理
・犬に依存してしまう人が持つ5つの特徴
・『犬に会った時と帰る時』を比較してみた結果…同じ犬とは思えない『まさかの光景』が45万再生「もはや別犬w」「お顔の形まで違って見える」
・赤ちゃんの頃から『犬と一緒に育った1歳の女の子』…まさかの『お話しする光景』が尊すぎると28万再生「いい兄妹」「後ろ姿が眩しい」と絶賛
・『絶対に人に触られたくなかった』元野犬が…3ヶ月後に見せた『想像以上の光景』に涙が出てくると5万再生「すごい成長」「歩く姿に泣いた」