シリーズ衆院選、「賃上げ」についてとりあげます。多くの政党が最低賃金1500円への引き上げを公約に掲げていますが、企業の倒産が増えると懸念する声もでています。
【動画】“最低賃金1500円”多くの政党が公約に掲げる中 企業倒産が増えると懸念する声も【衆院選2024】
スーパー・アキダイ。選挙に憤りを感じていたのは秋葉社長です。
アキダイ 秋葉弘道 社長
「無理に最低賃金1500円目標にする意味が分かんない。何の根拠があって言ってるのか。夢物語というか、日本の経済がおかしくなりますよ」
怒りの先は“最低賃金”引き上げです。
自民党は石破総理が2020年代に1500円、公明党も5年以内の1500円を目標に掲げています。
立憲民主党も1500円の実現を、共産党とれいわ新選組、社民党は全国一律での1500円の実現を訴えています。一方、国民民主党は全国どこでも1150円とし、日本維新の会と参政党は具体的な目標は掲げていません。
有権者は…
「もう時代の流れとしては当然かなって」
「本当にそうかな、信じられない。なってくれれば嬉しいけど、絵に描いた餅って感じがする」
「(最低賃金1500円では)ちょっと低いぐらい。これじゃ楽にはならない」
歓迎の声がある一方、パートに人手を頼るスーパーにとっては死活問題です。
およそ140人のパート・アルバイトを雇うアキダイ。時給は東京都の最低賃金と同じ水準からですが、今月、東京都が最低賃金を50円引き上げたため、負担は年間で1000万円近く増える計算だといいます。
アキダイ 秋葉弘道 社長
「中小企業をつぶしにかかってる。最低賃金1500円で生活が豊かになるというのが大間違い」
全国平均1055円の最低賃金。5年以内に1500円にするには、毎年7.3%という急激な引き上げが必要です。
これに中小企業の団体は…
日本商工会議所 小林健 会頭
「(賃金を)払えなくて、人間を手放してしまう。あるいは倒産する。こういうことが起きかねない」
ただ、経済界でも意見は割れています。
経済同友会 新浪剛史 代表幹事
「1500円にしないということは、ある意味、ダメな企業を補助することになる。払わない経営者は失格」
専門家は、小売りや飲食店は最低賃金ギリギリで働く労働者が多く、急速な賃上げで平均的なスーパーは赤字になると試算。それでも人手不足の中、人件費の高騰は避けられないと指摘します。
UBS証券 風早隆弘シニアアナリスト
「低い賃金の方を大量に雇って、それで店舗運営することによって存在していた店は立ちいかなくなる」
では、企業はどう対応するべきなのか…
参考になるというのがユニクロ。自動レジや倉庫の自動化で雇う人の数を減らし、時給を大幅に上げました。回転ずしチェーンでも注文や会計を自動化し、安い労働力に頼らないモデルを目指しています。
UBS証券 風早隆弘シニアアナリスト
「(賃金の高い)新しい世界では、実は良い会社に生まれ変わるチャンスすらある」
中小では難しい新たな投資。各党には賃上げを訴えるだけでなく、具体的な支援策が求められます。