今週末に迫った衆議院選挙。キーワードの一つが「1500円」です。複数の政党が、全国平均1055円のいまの最低賃金を1500円まで引き上げると掲げていますが、賛否の声が上がっています。
【写真を見る】「中小企業潰し」「現実味ないけど嬉しい」 “最低賃金1500円”への引き上げが衆院選の争点に 「混乱を招くだけ」「払えない企業はダメ」経済団体も賛否【news23】
「最低賃金1500円」が衆院選の争点に
全国最下位、最低賃金951円の秋田県。これが1500円になったとしたら?
大学生
「現実味あんまりないですけど、なったらうれしい。趣味の旅行とか釣りに使いたい」
大学生
「1500円になったら働く時間をちょっと減らして、その分勉強したりお出かけしたりしたい」
最低賃金は各都道府県ごとに決まっていて、1163円の東京がトップ。岩手・高知・熊本・宮崎・沖縄の5県が952円、それをさらに下回る951円で最下位となるのが秋田県です。
今週末に迫った衆議院選挙では、最低賃金1500円がキーワードとなっています。
自民党は石破総理が2020年代に全国平均1500円、公明党も5年以内に全国平均1500円を目標に掲げています。
立憲民主党も早期に1500円の実現、共産党とれいわ新選組、社民党は全国一律での1500円の実現を訴えます。
一方、国民民主党は全国どこでも1150円とし、日本維新の会と参政党は具体的な目標は掲げていません。
現在、全国平均1055円の最低賃金。与党が掲げるように、5年以内に1500円にするには毎年7.3%という急激な引き上げが必要となりますが、現場からは怒りの声も。
中小企業「夢物語」 経済団体も賛否「混乱招く」「払えない企業はダメ」
アキダイ 秋葉弘道 社長
「無理に1500円を目標にする意味がわからない。何の根拠があって言っているのか。夢物語というか、日本の経済がおかしくなりますよ」
約140人のパート・アルバイトを雇うスーパーアキダイの秋葉社長。今月、東京都が最低賃金を50円引き上げただけで、負担は年間で1000万円近く増える計算だといいます。
アキダイ 秋葉 社長
「中小企業を潰しにかかってる。1500円で生活が豊かになるというのは大間違い」
経済界からも懸念の声があがります。
経団連 十倉雅和 会長
「チャレンジングであってもいいが、到底、達成不可能だというところは混乱を招くだけ」
日本商工会議所 小林健 会頭(3日)
「払えなくて人間を手放しちゃう。人間を手放すとオペレートできないわけだから、事業をたたむ、あるいは倒産する。こういうことが起きかねない」
企業の倒産が増えるのではないかとの懸念に対し、経済同友会の新浪氏は…
経済同友会 新浪剛史 代表幹事(18日)
「最低賃金が今後上がっていくという予見の中で、企業の経営をするのが予見性。できない企業は退出する。それを払える企業に(労働者が)移る方が間違いなく人々の生活は上がる。払えない企業はダメなんです」
経済界でも賛否が分かれる最低賃金1500円。実現するとどうなるのでしょうか。
UBS証券 風早隆弘 シニアアナリスト
「最低賃金をもらっている方々だけでなく、より多くの労働者にとってポジティブな政策になってくる。特に重要だと思っているのは、企業の改善努力とかその意欲を削いでしまってはまったく意味がない。各企業の経営努力、生産性の改善に向けたデジタル投資とかを促すことで、全体として最低賃金を引き上げていくべき」