小川彩佳キャスター:
星さんに聞きます。今回の総選挙の結果をどう分析しますか?
【写真を見る】自公 過半数割れの衝撃、今後の政権の枠組み“3つ”のシナリオ 星浩さん解説【news23】
自公過半数割れの衝撃、2000万円問題が「トドメ」に
TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
とりわけ2000万円問題。ある東京の自民党候補を取材していましたが、後半までは優勢だったのですが、2000万円問題が出て、逆転されて小選挙区で落選するってことになりました。その候補者はトドメを刺されたと言っていました。これ本音だと思います。
藤森キャスター:
トドメの2000万円問題について、小泉選対委員長が知らなかったと。こんなことあるんですか?
TBSスペシャルコメンテーター 星さん:
通常、お金の問題は自民党では幹事長と経理局長というラインで決めることが多いので、直接幹事長から聞いたことはないかもしれませんが、間接的には知り得る立場にいたと思います。
藤森キャスター:
だれが何のためにやったのか。やって得するのか。明らかにやったら大変なことになるってわかると思うんですけど。
小川キャスター:
どういうことだったのか。トドメを刺されたという声があるようですけど。
では、今後の政治の行方はどうなっていくのか。石破政権の最初の難関となるのが特別国会での総理指名選挙です。そこに向けて、どんな動きが考えられるのか、星さんによると3つのシナリオに絞られるということです。
政権枠組み「3つのシナリオ」
藤森キャスター:
まず1つ目が「自公の連立拡大」。自公に国民民主か維新のどちらかが連立に加われば過半数到達ということになりますが、国民民主は拒否していて、維新も今のところないということで、どうなんでしょう。
TBSスペシャルコメンテーター 星さん:
まず国民民主は、玉木さんは政策本位だと言ってますけど、内部の労働組合系の議員からすると立憲と一緒にやってもらいたいなと、連合と立憲、そして国民民主で一体となって選挙やってもらいたいなっていう人が多いんです。維新は今回の選挙で公明党と自民党と大阪でもがっぷり四つで戦ったばかりですので、なかなか組みにくいという事情があります。
小川キャスター:
これが叶わなければ2つ目のシナリオになってくるわけですね。「少数与党のまま国会に突入」という形。これはどういうことでしょうか?
TBSスペシャルコメンテーター 星さん:
これは連携する相手が決まらないまま、今の自公のままで国会に突入するんですけど、ちょっとリスクがあるんですよね。
小川キャスター:
リスクというのは?
TBSスペシャルコメンテーター 星さん:
つまり総理指名選挙で、例えば自民党と公明党が今、過半数届かないわけですので、数人「造反」して石破さんと書かないとなると、自民党の石破さんの票がぐっと減って、立憲・野田さんが勝ってしまうという可能性を、自民党の中では危惧する声がありますね。
一方で、その後の国会運営でも、内閣不信任案を野党がまとめて出すとすぐ可決されてしまって。その場合はもう憲法の規定で総辞職か解散という厳しい選択になるということですので、非常に瀬戸際というか綱渡りの運営になるんですよね。
小川キャスター:
そして3つ目のシナリオというのが、「野田氏に政権を渡す」というシナリオです。
TBSスペシャルコメンテーター 星さん:
立憲に他の野党がどんどんのってくると、数としては多いんですよね。ただ政策の隔たりが大きいものですから、そう簡単にはいかないだろうということなので、立憲の方が果たしてどういう形でそれをまとめていくか、この辺がちょっと見物だと思いますね。
小川キャスター:
この3つの中ではどちらが可能性として高いのでしょうか?
TBSスペシャルコメンテーター 星さん:
今のところ石破さん、28日もやっぱり連立の拡大にはやや否定的なことを言ってましたので、2番のシナリオで推移する可能性は大きいですね。
小川キャスター:
少数のまま国会へと。いずれにしましても今後、目が離せない状況になってきますね。
TBSスペシャルコメンテーター 星さん:
そうですね。ただこういう状況だと政策が進まないんじゃないか、混乱が続くんじゃないかと懸念する人もいるんですけど、これは民意の表れですからね、今回の選挙の結果っていうのは。例えば自民党は28日、石破さんは政策活動費を廃止するっていうような事を言って、これはある意味で、民意を受けて政治が進んだということの表れですので、こういう政治状況をうまく使って、話し合いをオープンにして、重要な政策を次々と片付けていけば政治への信頼も高まってくる。そういう意味では一つのチャンスでもあると思いますね。
藤森キャスター:
チャンスにしてほしいですね。
小川キャスター:
本当に一強多弱と言われてきた長く続いてきた構図が崩れたわけですから、ここから本当に国民の声を柱として、知恵を絞る必要がありますね。
==========
<プロフィール>
星浩 さん
TBSスペシャルコメンテーター
1955年生まれ 福島県出身
政治記者歴30年