政府・与党は総理大臣の指名選挙などをおこなう特別国会を、11月11日に召集する方向で最終調整に入りました。過半数割れした自民党は、石破総理が指名されるよう野党側との調整を本格化させています。
【写真を見る】総理指名選挙 “野党への太いパイプ”森山氏キーマンか 自民、石破総理への投票を水面下で働きかけ【Nスタ解説】
総理指名選挙に向けた野党の動きは?
良原安美キャスター:
11月に行われる特別国会において、総理大臣の指名選挙が行われます。次の総理は誰になるのか、与野党の動きについてお伝えします。
特別国会は、衆議院選挙の投票日から30日以内に召集されますが、11月11日召集で最終調整が進められています。ここで、衆参両院による総理指名選挙が行われるという流れです。
総理指名選挙では国会議員が投票し、そこで過半数を獲得した人が総理大臣に選出されます。ただ、過半数に届かない場合は、上位2人で決選投票が行われます。今回の衆院選では15年ぶりに自民・公明が過半数割れしたので、決選投票にもつれ込む可能性があるということです。
自民党としては、もし決選投票に進んだとしても、石破総理への投票を国民民主党などに水面下で働きかけているようです。
公明党の石井啓一代表は「昨日も複数の政党から、連立に加わるつもりはないと発言が相次いだ。特別国会でまずは(自民党総裁の名前で)首班を取りに行く」ということです。
野党は総理指名選挙に向けてどのような発言をしているのでしょうか。
●立憲民主党 野田佳彦氏
「自分がまず手を挙げてお願い」と発言しており、他党に協力を呼びかけるようです。
●日本維新の会 吉村洋文氏
「維新に投票してくれたにもかかわらず、立憲や自民の名前を書くのは違う」
●国民民主党 玉木雄一郎氏
「1回目も2回目も玉木で投票」と発言。他党会派に支持を広げたいとしています。
●日本共産党 田村智子氏
「選挙の結果は自民・公明へのノー。国民の要求に応える行動をとる」
●れいわ新選組 山本太郎氏
「私たちの投票行動はまだ決められていない」
ホラン千秋キャスター:
今後、野党がどう動くのか、誰がどこと手をつなぐのか。第1回目の投票では決まりきらないかもしれませんが、決選投票の行方というのはかなり注目されますよね。
TBS報道局 岩田夏弥 政治部長:
11日が投票になる見込みなので、まだ時間があります。各党それぞれ、基本的には自分たちの党の主張をしていて、あえてハードルを下げる必要はないわけです。今はもうとにかく、自分たちの言いたいことを100%言っています。
ただ、11日に向かってそれぞれの動きがどう収斂されていくのか、これから注目されます。
井上貴博キャスター:
ここから部分連合ということになっていくと思いますが、もともと自民党には右から左までさまざまな意見を持った議員が集結して、これも、いわば部分連合といえるのではないでしょうか。それがなぜ必要だったかというと、数が必要だったからです。
ただ、今回の選挙で、その数の理論が一変しました。これは、ある意味とてもいいことだと私は思っています。
選択的夫婦別姓についてなど、今までは政党に縛られて、なかなか意見を言えなかった議員がいたかもしれません。しかし、これから「政策ごとに手を組んで、前に進めるものは進めていこう」となるのであれば、それが本来の姿なのではないかとも感じます。
元競泳日本代表 松田丈志さん:
僕も、これから政党の細分化がだんだん進むのではないかと思っています。
政策を通すのに必要な数というのはあったと思いますが、やはり意見が多様になってきているなかで、しっかり議論したうえで政策を決めていくようになっていけば、本来あるべき姿ではないかと思います。
過半数割れのなか…石破総理の“3つの選択肢”とは
良原キャスター:
自民党が野党との連携を目指すなかでキーマンとなるのが、自民党の森山裕幹事長だといわれています。森山幹事長は2017年から国対委員長に就任しており、在職日数は1534日と歴代最長です。
岩田政治部長は、森山幹事長について「党内をとりまとめる調整力・安定感、そして野党への太いパイプも持っている」と評しています。
TBS報道局 岩田夏弥 政治部長:
国対委員長というのは、野党とずっと交渉する仕事です。それを長くやられてきたので、当然、森山幹事長には野党各党の皆さんとのパイプがあるわけです。今の自民党の中では一番、野党との交渉役にうってつけの方だといえます。
この先、過半数がないなかで、石破総理にはどういう選択肢があるのか考えていきましょう。
(1)一本釣り狙う
1番目の選択肢は、「自分の名前を書いてください」と、一人ひとりにお願いをしていくことです。ただ、今の議席数は自民・公明合わせて215なので、過半数である233議席には18議席足りません。数人だったらともかく、18人も名前を書いてくれる人を見つけることはかなり大変です。
(2)自公連立の拡大
2番目の選択肢は、自公連立に他の政党にも加わってもらうことですが、これはこれで難しいです。各党は選挙が終わったばかりですし、自分たちにせっかく票を入れてくれた人がいるのに、なぜ自公政権を応援するのかということにもなるので、そう簡単にはいきません。
(3)「少数与党」
3番目の選択肢は、「少数与党」のまま国会に入っていくということですが、一つひとつ政策を話し合って決めていくのはいいものの、時間もかかりますし、上手くいくかどうかわかりません。いずれにしても、なかなか厳しい状況です。
井上キャスター:
皆さんの頭の中には、2025年7月に予定されている参議院議員選挙もあると思います。
与党が強かったところから、与党と野党が微妙なバランスや緊張関係に変わっていくのは政治にとっていいと思うのですが、どのようなことを期待しますか。
元競泳日本代表 松田丈志さん:
しっかりと議論されて、合意のもとに政策が進んでいく形になればいいなと思います。しかし、もしかしたら、世の中の流れに対してスピード感が少し足りないのかもしれません。
これまでの自民党政権には、海外からの投資を増やしてきた部分や、外交での成果もあったと思います。
その二つはやはり、政権として安定していたがゆえに海外から期待されていた部分だと思うので、その点が今後どうなっていくかは心配です。
井上キャスター:
「ころころ日本の顔が変わる」なんて言われた時代もありましたね。
TBS報道局 岩田夏弥 政治部長:
外交面でも、政権が安定しているということはとても大事です。
海外の人と首脳会談をしたときに「この総理はちゃんと続く」と思ってもらえないなかでは、外交はなかなかできません。そういう意味では、多数派を作っていくということは、ある種大事な部分もあります。
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<プロフィール>
岩田夏弥
TBS報道局 政治部長 元官邸キャップ
小渕総理以来、主に政治取材を担当
松田丈志さん
元競泳日本代表 五輪4大会出場 4個のメダル獲得
JOC理事 宮崎県出身 3児の父