冬本番となり空気も乾燥してきた中、気を付けたいのが火災です。マンション火災などに遭遇したとき、どのように避難したらよいのでしょうか。
【写真を見る】マンション火災の避難方法 把握してますか?「隔て板」の破り方は? “炎より速い”煙にも注意【Nスタ解説】
マンション火災どう逃げる?避難器具の正しい使い方は?
加藤シルビアキャスター:
2023年の1年間の住宅全体の火災の件数は、11月から12月にかけて増加し、12月は2096件となっています。乾燥する12月から1月にかけては2000件超えが続く状況です。(消防庁・消防統計より)
2022年に都内で起きた住宅火災は1606件ですが、そのうちマンション(共同住宅)などの火災は1018件で、約6割がマンション火災ということです。(東京消防庁より)
マンションで火災が起きてしまったらどのように逃げたらいいのでしょうか。
方法としては「避難はしご」、「救助袋」、「緩降機」などがあります。
【「緩降機」の使い方】
(1)支えとなる柱を引っ張り出してアームを伸ばす
(2)アームの先端部分に速度を調節してくれる調速機を取り付ける
(3)ロープが巻かれたリールを下に投げ、もう片方の輪っかに体を通し、腰のあたりに装着し、地上に降りる
降りるときは壁に軽く手を触れながら、壁にぶつからないようにしてください。
調速機がスピードを調整しているので、一気に落ちるようなことはないということです。
市民防災研究所の坂口隆夫理事は「自分が住んでいるマンションのどこに何があるのか知っておくことが重要」としています。
「避難はしご」について、▼どの部屋のベランダにあるのか確認、▼チャイルドロックなどがかかっているので、防災訓練などの際に実際に開けてみる、▼ハッチのところに物を置かないようにしてください。
日比麻音子キャスター:
あるのは知っていても使い方がわからず、どう開けて、どう降りればいいのか分からないかもしれません。
防災というと、水や電池など物を買って蓄えるという意識はあると思いますが、事前の知識も命を救うためにはとても重要ですね。
東京大学准教授 斎藤幸平さん:
私が今住んでいる家は4階ですが、実際、避難口がどうなっているか全然分からないなと思いました。
実際、火災が起きてパニックになっている中では避難器具はうまく使えないと思うので、練習してみないといけないですね。
ベランダ「隔て板」の破り方 サンダルでは難しい!
加藤キャスター:
実は「避難はしご」は全ての住宅(部屋)のベランダに設置されているわけではありません。
家のベランダに「避難はしご」がない人は「隔て板」を破って避難はしごに向かう必要があります。
「隔て板」は足で蹴ると割れやすいので、運動靴など足裏のしっかりとした靴を置いておくと安心です。割るときには壁などを持つと、足裏を使ってしっかり蹴ることができるということです。
なかなか割れないときには同じ場所を蹴ったり、後ろ向きに蹴ったり、さらに物干し竿で割るのもおすすめだということです。
ある程度割れたら、けがをしないよう破片などに気をつけて、隣の部屋へ避難するようにしてください。
火災発生時「煙」に要注意 建物火災の死因別死者数は一酸化炭素中毒や窒息が最多
加藤キャスター:
火災発生時の注意点について坂口理事は、「炎より煙の方が広がるスピードが速いため、煙に注意が必要」だと指摘します。
煙が充満した際、濃度の高い煙を吸ってしまうと、人は1分~3分で気を失い死に至ることもあるということです。消防白書(2023年版)によると、建物火災の死因別死者数は一酸化炭素中毒や窒息が最多ということです。
注意したいのが煙の速度です。▼煙が上にあがる速さは毎秒3m~5m、▼横に広がる速さは毎秒0.5m~1mということで、上にあがる速度の方が早いです。
東京消防庁が行った実験動画には、あっという間に煙が立ち上っていく様子が写っています。
日比キャスター:
乾燥の季節なので、家族で話し合っておくのも大切ですね。
斎藤さん:
まず誰が逃げるのか、避難経路がどうなってるのか、何を持って逃げるのかなど、いろいろと考えなければいけないことがありますね。
いきなりだと絶対にできないので、日頃からの準備が大事ですね。私も家族で話し合っておかなければいけないと思いました。
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<プロフィール>
斎藤幸平さん
東京大学 准教授 専門は経済思想・社会思想
著書『人新世の「資本論」』50万部突破