秋田市のスーパーに55時間居座り続けたクマが、2日に捕獲されました。体長およそ1メートル、体重およそ70キロ、非常にふくよかな状態だというクマ。一体、なぜ街へ下りて来たのでしょうか。
スーパーに2日以上 “居座りクマ” 駆除
11月29日 午後9時ごろ、秋田市内の防犯カメラにうつるのは、暗闇から飛び出してきたクマ。少し周囲を気にする素振りをしながら、角を曲がり去っていきました。
12月1日にはクマが居座っているスーパーに、重装備の警察官が配備され、店内にはドローンが飛んでいました。
クマが侵入したのは、秋田市にあるスーパー「いとく土崎みなと店」です。よく利用するという人は…
「食品がなんでも揃っいて、鮮度もいいものを置いていて、いつも駐車場は込み合っている人気のスーパーですね」
11月30日の朝6時過ぎ、開店準備をしていた男性従業員が襲われ、頭と顔にけがをしました。当時20人ほどいた他の従業員は避難したといいます。
2023年、全国で相次いだクマの被害。環境省によると、秋田県では全国最多となる2183頭が捕獲されました。(クマの捕獲数▼1位:秋田 2183頭 ▼2位:北海道 1422頭 ▼3位:福島 887頭)
周辺は幹線道路などが通る市街地「なんでここまで出張してきたの…」
記者「クマが立てこもっていたスーパーです。周辺を見てみると、クマが住んでいそうな場所は見当たりません」
地元の人も首をかしげます。
近隣住民「なんでここまで出張して出てくるんだろうって感じ。(冬眠前に)いっぱい食べにきたのか、クマじゃないからわからないけど…」
クマが立てこもったスーパーの周辺は、幹線道路なども通る市街地。同じ個体かわかりませんが、約1週間、クマの目撃が20件以上相次いでいました。
立てこもり前の29日午後9時ごろ、スーパー近くの防犯カメラが走るクマの姿を捉えていました。さらに…
記者「同じ時刻の午後9時ごろ、交差点で、クマと自動車が衝突する事故があったということです」
専門家「ちょっと隠れるつもりで入ったら、たまたまスーパーだった」
クマは▼29日 夜:クマと車が事故 ▼30日 朝:クマがスーパー従業員を襲撃→スーパーに居座り、膠着状態が続きましたが、1日の午後になり事態が動きました。
記者「男性がクマに襲われてから約55時間を経て駆除されたクマは、箱わな事を軽トラックの荷台に乗せられて、今、スーパーから運び出されました」
麻酔を打たれた後、電気を使って駆除されたというクマ。体長約1m、体重約70キロのメスだったということですが、専門家は…
東京農工大学 小池伸介教授「痩せてガリガリとかではなく、冬眠に向けて脂肪をたくわえたクマなのかなと思います。彼らも姿を見られるのはあまり好きじゃないので、ちょっと隠れるつもりで入ったら、たまたまスーパーだっただけで、スーパーを狙って入ったわけじゃないと思います」
今回、外に運び出されるまで時間がかかったことについては…
東京農工大学 小池伸介教授「檻を置いて捕まえる場合は中に誘引するエサを入れるのですが、スーパーという特性柄、食べ物がいっぱいある状況だと解決までに時間がかかったと考えられます」
スーパーの関係者によると、精肉コーナーが荒らされていたということです。秋田県ではツキノワグマ出没注意報を12月いっぱいまで延長して注意を呼びかけています。