内戦が激化する中東シリアで、負傷者を救護する民間団体の隊員がJNNの取材に応じ、攻撃により一部の病院が機能不全に陥っていると明かしました。
JNNの取材に応じたのは、内戦が続くシリアで負傷者の救護活動を行う民間団体「シリア民間防衛隊」、通称「ホワイトヘルメット」の隊員イスマイル・アブドラさんです。
「彼らは病院やホワイトヘルメットの関連施設、民間人の命を支えるもの、民間人の命の源となるものすべてを無差別に、また意図的に爆撃しています」
反体制派勢力が先月27日に北部アレッポなどで大規模攻撃を仕掛けて以降、シリア軍や、支援するロシア軍は空爆を実施。1日にはロシア軍がアレッポ市内の大学病院を攻撃しました。
「病院は閉鎖され、医師や医療スタッフは去りました。アレッポ市で、100万人以上の人々が医療体制が整わないなか住んでいるということを想像してみてください」
この影響で、アレッポ市内の一部の病院は閉鎖を余儀なくされ、民間人への医療サービスが制限されているということです。
2011年から続くシリア内戦をめぐっては、反体制派勢力の最大の拠点だったアレッポを、アサド政権側が2016年に完全に制圧。この時、激戦地となったアレッポ市内ではアサド政権による徹底的な攻撃が行われ、甚大な被害を及ぼしたほか、化学兵器も使用されました。
「いま、2016年に見たものと同じことが起きようとしています。シリアから逃れる方法のない市民は国境に近い北部の避難所へと退避しています。私は心の中で、彼ら(アサド政権)が禁止された武器(化学兵器)の使用を繰り返すのではないかと恐れています」