今年も残りわずか。1年があっという間だったと感じる人も多いのでは?
限られた時間を有効に使うコツを「時間研究」の第一人者、千葉大学大学院の一川誠教授に教わります。
【写真を見る】なぜ1年は“あっという間”?感じる時間には“代謝”が影響!時間を有効に使う『時間術』を専門家に聞く【ひるおび】
今年1年、長い?短い?
街の人に、この1年を振り返ってもらうとー
50代「今年も本当にあっという間だった。時間に追われて過ごしたような感じがします」
20代「早かった。学生の頃みたいにテストとかのイベントがなくなったのでなあなあと過ごしちゃって、気づいたら時間が経ってたみたいな感じ」
80代「早かった。お食事したりしていると1時間2時間すぐ過ぎちゃう」
1年経つのが早いと答えた大人が多い一方、多くの子どもが1年を長く感じていました。
9歳「遅かった。遊んでる時とか学校で過ごしてる時が長かった」
5歳「遅い。楽しいことがいっぱいあった」
弁護士 八代英輝:
なんだか年齢が上がるほど短く感じます。
千葉大学大学院 人文科学研究院 一川誠教授:
時計の時間は誰にとっても同じように流れますけれども、感じる時間・心の時間はいろいろな条件によって長くなったり短くなったりします。
「時間研究」とは、その間にどういう関係があるのかを調べて、時間とどう付き合っていけばいいのかを調べる研究です。
子どもと大人で時間の感じ方が違うワケ
大人よりも子どもの方が「今年は長かった」といった意見が多くありましたが、なぜそう感じるのでしょうか?
一川教授によると、『同じ時間でも刺激が多いほど長く感じる』傾向があります。
子どもは、授業や習い事、友達との遊び、学校行事など、「刺激」の数が多く、いろいろなことをした「長い1日」だと感じやすくなっています。
一方、大人は仕事など一つの出来事で長時間を過ごすことが多く、刺激の数が少ないのであっという間に過ぎた「短い1日」だという印象を受けるのです。
千葉大学大学院 一川誠教授:
特に仕事だとまとめて一つの仕事というふうに経験しやすいので、体験するイベントの数はどうしても少なくなってしまいます。しかも繰り返しているとルーティンになってよりまとめやすくなるのでどんどん主観的な時間が短くなります。
コメンテーター 土屋礼央:
なんだか長い1日がうらやましい感じがしますね。
退屈な待ち時間を“短く”するには?
友人との待ち合わせや病院での待ち時間、どうしたら早く時間が過ぎるのでしょうか?
「あること」を減らすと良いというのですが…
恵俊彰:
減らす?会話を減らす…
コメンテーター 土屋礼央:
スマホを見る回数を減らす?
答えは・・・
「時計を見る回数を減らす」
時間の経過を意識するほど長く感じてしまいます。
おしゃべりや読書、絵を描く、鏡を見るなど別のことに集中することで待ち時間を短く感じることができます。
千葉大学大学院 一川誠教授:
エレベーターホールなどに鏡を置いていることが最近多いんですけど、あれは待ち時間をあまり意識させないためなんです。
鏡があると身だしなみに気をつけますよね。自分の姿を見て髪型や服を直したりしていると時間経過に意識が向かなくなるので、時間を主観的に縮める効果があると言われています。
コメンテーター 土屋礼央:
小学校でつまらない授業の時ずっと時計見てましたけど、長かったです。それだったんですね。
好きな時間を“長く”感じるためには
Q.好きな時間を長く感じるためには、いつやるのが良いでしょうか?
A:午前
B:午後
恵俊彰:
午前。今早起きだから午前中が長いんですよ。午後はあっという間な感じがするので午前中の方が楽しめるんじゃないですかね。
コメンテーター 朝日奈央:
私も午前中かなと思います。脳がスッキリしてそうなので。
答えは・・・
B:午後
一川教授によると、時間の感じ方には「代謝」が関係しています。
代謝が低いときは実際の時間より体感時間が早くなり、実際は1分経っているのに30秒くらいにしか感じられないことも。
一方で代謝が高いときは、体感時間がゆっくりになります。
千葉大学大学院 一川誠教授:
朝方は代謝があまり上がっていないので、時間があっという間に過ぎる感じが強いと思います。夕方ぐらいに大体ピークになる人が多いんですけど、代謝が上がってくると主観的な時間がゆっくり流れる感じが強くなると思います。
また、代謝が激しいと体がよく動くので体験するイベントが増えることになります。短い時間でいろいろなことができるので、楽しい時間を長くすることにつながります。
恵俊彰:
子どもたちのサッカーの試合はどうですか?
千葉大学大学院 一川誠教授:
スポーツの試合だと午後の方が圧倒的に良いですね。記録も午後の方が出やすいです。
午前中は、やらなくてはならない家事などをする時間に充てるのがおすすめ。
午後は体が活発に動いていて時間がゆっくり過ぎるので、好きなことややりたいことをやると、より長く楽しめた感じがするということです。
充実した時間を過ごすには
充実した時間を過ごすには、まず刺激を増やすことです。
▼行ったことがない場所に旅行
▼新しいお店を開拓する
▼普段見ないジャンルの映画を見る
▼通勤ルートを変えてみる など
普段やらないことに積極的にチャレンジ。
さらに、刺激を定着させるために、1日の振り返りをするといいそうです。
▼頭の中で反すう
▼手帳や日記などに書き出す
▼写真を撮ってSNSなどにあげる
一川教授は、「経験したことの満足度は、実際に行っているときより、振り返ったときに評価される」と話します。
千葉大学大学院 一川誠教授:
失敗であれ成功であれ、経験したことを記憶に残すことは自己満足感や充足感を上げるのに役立ちます。とにかく何か特別なことを体験するのはすごく大事だと思います。
最後に時間の使い方についてうかがいました。
千葉大学大学院 一川誠教授:
やれることは多分無限にあって、多分誰にとっても時間は足りない。
子どもは時間を長く感じていますけど、かといって時間が十分あると感じているかというと「足りない」と感じていることが多いです。
やはり取捨選択して優先順位の高い方から片付けていかないと満足感はなかなか得られないので、「選ぶ」ことは子どもでも大人でも大事だと思います。
(ひるおび 2024年12月4日放送より)
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<プロフィール>
一川誠氏
時間研究の第一人者
日本時間学会会長
千葉大学大学院人文科学研究院教授