猫の「ふみふみ」は、かわいくてフシギ、両面をあわせ持つ行動です。今回の記事では、「ふみふみ」する理由を、猫の記憶や心理状態に焦点を当てて解説します。一読後、より深く「ふみふみ」にいとおしさを感じていただければ幸いです。
1.子猫の頃を思い出して…
毛布やクッションなど、適度に柔らかいところで、猫が前足を交互に操って、ゆっくり足踏みすることを「ふみふみ」と言います。猫の行動の中で、必ずやベスト3に入るほどのかわいらしいしぐさです。
猫が「ふみふみ」するのは、子猫時代の名残です。母猫のお腹のうえで「ふみふみ」を繰り返すと、おっぱいが出やすくなります。猫にとって、毛布や布団、ぬいぐるみなどは、母猫の柔らかいお腹と似たような感触なのかもしれません。
おっぱいを通じて、母猫とつながっていた記憶は、きっと忘れがたいものなのでしょう。思わずうっとりするような甘いひとときです。
成猫になってからも、心地よく柔らかいものに出会うたびに、子猫時代を懐かしむように、「ふみふみ」します。
寝具類だけでなく、飼い主さんの膝やお腹のうえも、「ふみふみ」のステージに選ばれることがあります。愛猫が「ふみふみ」するのは、飼い主さんを母猫のように信頼しているからです。大好きな人でなければ、こんなことはできません。
言ってみれば、愛猫の「ふみふみ」は、あんしん印のスタンプです。飼い主さんの膝のうえでやさしくステップしながら、「ここが世界でいちばん安心できる場所」と伝えてくれています。
するほうも、されるほうも、気持ちがほわ~っと和むのが「ふみふみ」の醍醐味です。「ふみふみ」には、お互いを幸せにする魔法が間違いなく宿っています。
2.リラックスして超ゴキゲンモード
猫は、リラックス中、上機嫌なときも、自動反射的に「ふみふみ」します。
一例を挙げると、飼い主さんの帰宅直後をはじめ、ブラッシング後、ごはんタイムの前後、抱っこしているときなどが、「ふみふみ」してくれるタイミングです。
嬉しかったり、気持ち良かったり、そのときのナマな感情を「ふみふみ」に託して、包み隠さず表現しています。
ちなみに、「ふみふみ」するかどうかは、その子次第です。一般的な傾向としては、寂しがり屋で甘えん坊な子に多い行動だと考えられています。成長するにつれ、だんだん回数が減ることもあれば、最初からまったくやらない子もいます。
愛猫との親密な信頼関係がなければ、「ふみふみ」は夢や憧れのまま終わってしまいます。信頼関係構築には、愛猫に寄り添ったお世話が欠かせません。
「ふみふみ」未経験の方は、そのことを忘れずに、これからも「Mt.Fumiへの道」を一歩ずつ踏みしめていってください。
3.睡眠前の儀式として
寝る前の儀式として、お気に入りのぬいぐるみや毛布、飼い主さんの布団で「ふみふみ」する子も数多くいます。私たち人間で言えば、音楽を聞いたり、本を読んだり、アロマを焚いたりするようなものかもしれません。
一方で、「ふみふみ」には、寝床をいい感じに調整する役割もある、と言われています。気持ち良く眠れるように、「ふみふみ」を施して、自分なりに寝心地をブラッシュアップしているわけです。
ある種の入眠前のおまじない、寝床の調整、いずれにせよ、一日の大半を眠って過ごす猫からすれば、「ふみふみ」は大切なルーティンと言えます。
余談ですが、「ふみふみ」時に、ふっと魔が差して、「ネズミが1匹、ネズミが2匹…」と数え始めてしまうと、不眠知らずの猫も、さすがに興奮して眠れなくなるはずです。
まとめ
猫の「ふみふみ」は、基本的にポジティブな感情をあらわした行動です。安心感、甘えたい、リラックス、といった心理状態以外にも、寝る前のルーティンとしてやる場合もあります。
愛猫から直接受け取る「ふみふみ」は、別の言い方をすれば、飼い主さんへの「すきすき」メッセージです。日頃のお世話の結果、揺るぎない信頼感を勝ち取った証拠であり、飼い主さんにとってはご褒美にほかなりません。キュートなしぐさと心地よいリズムに、心ゆくまで酔いしれてください。
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