文化庁の調査によると、「1か月に1冊も本を読まない人」は6割超。読書離れが進む中、“タイパ”のいい読書スタイルが注目されています。
【写真を見る】学校で「味見読書」・書店で「フライヤー」…“タイパ”抜群「本が読みたくなる」読書法とは?【THE TIME,】
「要約サービス」で時短読書
東京・江東区にある書店『丸善 有明ガーデン店』では、
店内の一角に<1冊10分の要約サービス>のコーナーが!
そこに並んでいる書籍は、「フライヤー」という本の要約サービスが利用でき、ビジネス書・実用書など“1冊分が約4000字に要約”されているので一気に読むことができちゃうんです。
早速、THE TIME,マーケティング部の西堀文部員が体験してみました。
西堀部員:
「生き方に悩んでいるので、生き方部門の1位にします」
選んだのは『自由であり続けるために 20代で捨てるべき50のこと』(著:四角大輔/サンクチュアリ出版)。
商品POPにあるQRコードをスマホで読み込むと要約が出てきました。
中には「必読ポイント」と示された項目も。
8分ほどで西堀部員の“立ち読み”は終了しましたが、本の内容は頭に入ったようです。
西堀部員:
「無理して誰かに同調しすぎず、自分の大切だと思える人間関係を常に一番に、優先順位を高めていこうと」
書店で「要約サービス」反響は?
本を買う前に簡単に要約が読めちゃうと、売上が落ちるのでは…と思ってしまいますが、『丸善 有明ガーデン店』の杉谷健多店長によると「内容がわかりやすくなっているので、要約を読んで買う人もいる」とのこと。
実際に利用した人は…
20代女性:
「本を買って“失敗したらどうしよう”と買えないことが結構ある。要約を見られることで“ちょっと面白いかも”と手に取る機会が増えるのかなと思う」
「要約」はAIではなく“人力”で
書店だけでなく、図書館でも導入され“タイパの良さ”で読書を増やしている「要約サービス」。開発したきっかけは?
『株式会社フライヤー』代表取締役 大賀康史さん:
「前職がコンサルティング会社で夜遅くまで働く会社だったのですが、本をしっかり読む事が大事な仕事でもあった。スキマ時間に本の情報をインプットできるサービスがあったら、自分がまず一番使いたいと思ったので」
これまで約4000冊を手掛けたとのことですが、要約しているのはAIではなく“人”。
ライターが3~4時間かけてしっかり本を読み、1~2日で要約しているとのこと。
作業中の本を見せてもらうと、付箋がいくつも!
『株式会社フライヤー』コンテンツDiv. 松尾美里さん:
「“このキーワードは外せない”という所はメモを書き込むことも多くある。著者と出版社の方が、経験や専門性を込めて書いているので、できるだけご意向を組み込みながら最良の形を探っていくようにしている」
学校で広がる「味見読書」とは?
“タイパ”抜群の読書法は学校でも!
東京・荒川区立第三日暮里小学校の読書の時間をのぞいてみると…
4人1組で座った机の上には10冊ほどの本が置かれ、子どもたちは“数分で”読む本をどんどんチェンジしています。
3年生男子:
「1冊をパラパラ読んで、すぐに感想を書く。全部の本をそうする」
先生が選んだ本を10分以内で“部分的に”読んだら、感想をワークシートに記入。そして次の本へ…というスタイル。
これは、“味見読書”と呼ばれるもので、『「味見読書」で本離れが無くなる!』(明治図書出版)の著者、熊倉峰広さんによると、
食べ物の「味見」の感覚で本を読み、面白かった部分を教え合うなどコミュニケーションを狙いとした読書指導法です。
気に入った本は、授業後に借りてOK。
早速借りていた児童は、“味見”をしたことで自分の境遇に似た本と出会えたようです。
3年生女子:
「私もうすぐ転校しちゃうから、転校して新しい学校ってどんな感じなのか知りたくて。味見読書で、半分よりちょっと少ないくらいまで読んで続きが知りたいなと」
読書があまり好きではない子どもの中には「どんな本を読んだらいいのかわからない」という声も多いとのこと。
担任の長島裕芙子先生は、「味見読書なら本を手に取るハードルが下がり、自分の好きな本がみつかるきっかけになるのでは」と話します。
この味見読書。荒川区では小学校の2/3以上、中学校では半数以上の学校が実施しているとのことです。
(THE TIME,2024年12月12日放送より)