中東のシリアを半世紀以上も支配してきた独裁政権が、わずか12日で崩壊しました。シリアで今、何が起きているのでしょうか?
【写真を見る】政権崩壊のシリアで今何が…アサド大統領の宮殿では記念撮影も 「絶滅刑務所」の内部は?現場を撮影【サンデーモーニング】
シリア独裁政権 わずか12日で突然崩壊
大勢の市民らが足を踏み入れ、記念撮影しているのは、つい数日前まで独裁者として恐れられたアサド大統領の宮殿。
市民「神に感謝する。若者たちの力で独裁者はいなくなった」
宮殿の駐車場と思われる場所では…
撮影者「見て下さい、ランボルギーニです」
高級車がずらりと並んでいました。
50年以上にわたり独裁体制を敷いたアサド政権が、わずか12日で崩壊。
反体制派の攻勢を受け、アサド大統領はロシアに亡命したのです。
父親の後を継いだアサド大統領は、2011年、「アラブの春」に端を発した民主化運動を徹底的に弾圧。反体制派との内戦に発展しました。
アサド大統領
「奴ら(反体制派)は過激派勢力だ」
内戦ではサリンなどの化学兵器も使われました。
ロシア軍の支援も受け、反体制派の支配地域を無差別に空爆。
13年に及ぶ内戦では30万人以上の市民が死亡したとされます。
そして、市民を恐怖によって支配したアサド政権を象徴するのが、首都ダマスカスにある刑務所。
12月12日(木)、JNNのカメラは、「絶滅刑務所」とも呼ばれたその現場に入りました。
拷問や飢え…3万人以上が命を落とした「絶滅刑務所」
シリアの首都ダマスカスにある刑務所。
政権に批判的と見られた人たちが次々と投獄されていた場所です。
受刑者の家族
「息子がここに13年間投獄されているんです」
アサド政権の崩壊によって、囚われていた人たちも解放されましたが…
増尾聡記者
「『ああ、もうダメだ』と書かれています。」
「これを見てください。処刑に使われていたということです」
処刑だけではなく、拷問や飢え、劣悪な環境による病気などで、3万人以上が命を落としたとされます。
独裁政権がもたらした恐怖政治と内戦の混乱。
アサド政権下のシリアから国外に逃れた人々は640万人ともいわれます。
日本にいるシリア人は…
ゼノビア店主 在日24年 イブラヒムさん(53)
「みんなアサドのことはすごく嫌いだったのに、自分の気持ちは周りの人に言えなかったんです。怖くて」
大学生 在日2年 アメッドさん(25)
「人生で一番幸せです。言いたいことは何も恐れることなく言える」
故郷への思いは今も変わりません。
会社員 在日13年 ムハンマドさん(48)
「お母さんも何年も前に亡くなったが、シリアに行くこと、会うことができなかった。家族にもすごく会いたいです」
会社員 在日7年 ウサマさん(42)
「今はまだ安全じゃないけど、未来は安全になって欲しいと思います」
反体制派主力「シリア解放機構」 暫定政権を発足
政権崩壊を受け、今、各地の国境には続々と帰国する人々が…
武力でアサド政権を倒した反体制派の主力は「シリア解放機構」。
指導者のジャウラニ氏は、暫定政権を発足させました。
シリア解放機構 ジャウラニ指導者
「革命の勝利を祝福するため外に出よう。そして、この国を復活させよう」
ただ、反体制派の組織は一枚岩ではなく、新たな混乱も懸念されています。
(サンデーモーニング 2024年12月15日 放送)