34年ぶりの東京開催となる“東京2025世界陸上”が、2025年9月に開幕する。大会アンバサダーに就任した織田裕二氏とアスリートアンバサダーの北口榛花(26、JAL)、サニブラウン アブデル ハキーム(25、東レ)、橋岡優輝(25、富士通)、田中希実(25、NewBalance)の日本陸上界を代表する4人の豪華座談会が実現。“来年生で見てほしい世界の超人たち”を語り合った。(※同じくアスリートアンバサダーの寺田明日香は欠席)
【写真を見る】織田裕二が絶賛の“世界の超人”は「久々に出てきた天才」男子110mHの“泉谷駿介推し”も明かす【東京2025世界陸上】
織田裕二氏:日本の方々にぜひ見てほしい海外の選手っています?
北口榛花選手:私は、女子走高跳で・・・
織田:ブラシッチ!?(2007年、09年の世界陸上2連覇したハイジャンプの女王。過去に、織田がイチオシしていたレジェンド)
北口:え!?
(ジェネレーションギャップで一同困惑)
北口:オーストラリアのオリスラガース選手です。
北口が挙げたのは、女子走高跳の二コラ・オリスラガース(27、オーストラリア)。186センチの長身で、パリ五輪では2大会連続となる銀メダルに輝いている。
北口:跳んだ後、すぐ手帳に日誌を書く選手で、私もけっこう試技の間くつろぐ系なので・・・
織田:それはあれでしょ、腰を守るためにうつ伏せになってるんでしょ?全部見てる!
北口:ありがとうございます(笑)走高跳の選手も結構待ち時間が長いので、そういう間に、試技のことを書いているのを見て、それから結構好きです。
織田:試技の間は見ていると面白いよね。昔で言うところのイシンバエワ(ロシア、女子棒高跳世界記録保持者)、今で言うとデュプランティス(スウェーデン、男子棒高跳世界記録保持者)とか。自分が申告する高さまで跳ばなくていい選手は「それまで勝手にやっといてくれる?」みたいな。フード被って寝ちゃっている選手もいたり。あれ、どうやって起きてるんだろうね(笑)アラームかけてるのかな?
北口:私だったら寝過ごしちゃいそうなので、起きてなきゃって思いますけど(笑)
織田:フード被ります?
北口:いや、私は(笑)あまり周りが気になっていないので元からフードしても変わらないかな。
織田:北口さんはそうだよね。田中さんは、注目選手どうですか?
田中希実選手:私は、女子400mハードルのシドニー選手とボル選手の対決が毎回気になっちゃいます。
田中が挙げたのは、女子400mハードルのシドニー・マクロ―フリン(25、アメリカ)とフェムケ・ボル(24、オランダ)の2人。マクロ―フリンは世界記録保持者の絶対女王。そんな女王が欠場した2023年の世界陸上で圧勝し世界一に輝いたのがボルだった。記録でも世界歴代2位につけ、マクロ―フリンの背中を追う。
田中:マクロ―フリン選手は試合にあまり出ずセーブしていて、その間にボル選手がメキメキと力を付けてきた。そんな中、パリオリンピック™ではマクロ―フリン選手が世界記録を出して圧勝で。ボル選手のこれまでの過程を見てきた上での結果だったので、どちらの選手もその選手ならではの強さがあって、魅力的です。
織田:僕はマクロ―フリンは久々に出てきた天才だと思っていて、そんな中でもボルがあそこまで頑張っているのがすごく嬉しくて。本当いいライバルですよね。そういうライバルっていますか?
田中:そうですね、競技の上ではハッサン選手(31、オランダ)もそうですけど、キピエゴン選手(30、ケニア)ですかね。私と同じ小柄な選手というところでハッサン選手よりもキピエゴン選手かな。
※フェイス・キピエゴン・・・1500mの世界記録保持者、世界陸上ブダペスト大会で2冠
※シファン・ハッサン・・・パリ五輪5000m&10000m&マラソンの異例の3種目に出場。全種目でメダル獲得し、最終種目のマラソンでは金メダルに輝いた
織田:ハッサンは身長大きいもんね(身長170センチ)。
田中:はい。だからキピエゴン選手は、体型も近い中であんな走りができるのは私にとって希望になりますし、彼女がいい走りをする度にいい影響を受けます。
織田:なにか真似してみようとかって思ったりします?
田中:マネできたらいいんですけど、彼女の走りはマネできないフォームなので。その走りを再現できるようなフィジカルと、どんなことをしたらあのフォームができるのかとかは考えたりします。彼女の中でそういう感覚がふっと湧いてきたりしたのかな、とか。
織田:来年の東京大会までに田中さんにも感覚が降りてくるといいですね。もうひとつレベルアップするきっかけを掴んでほしい。失礼になっちゃうかもしれないけど、僕は最初に田中さんを見たときに侍を見たような気がしたの。すごいカッコいいなって。「こんなカッコいい日本女性がいるのか!」って思ったの。だから応援しています!
田中:ありがとうございます(笑)
織田:ただのファンになっちゃった(笑)橋岡選手は誰かいる?
橋岡優輝選手:僕のイチオシ選手っていうよりかはイチオシ種目。男子の三段跳を見てほしいなって。数字でわかりやすくて、男子だと三歩で18mを超えていくんですよ。
織田:渋谷のスクランブル交差点を三歩で超えていくんですね。
橋岡:そうです。それをぜひ目の当たりにしてほしいです。
織田:じゃあ渋谷に行きますか。
橋岡:国立競技場から近いじゃないですか。なので競技の観光ついでに見てもらったら、さらに凄さがわかるんじゃないかと。
織田:ご自身の8mはどうですか?(※橋岡は走幅跳で8m36の自己ベストを持つ)
橋岡:難しいんですよね。聞いたところによると教室の横幅が約8mらしくて。
織田:それを一歩でいくわけだ。小学生がマネしたらケガしそうだな。窓ガラスの割れる音が聞こえた(笑)本当に三段跳はすごい種目ですよね。種目ではなくてイチオシ選手だったら誰?
橋岡:選手だと・・・女子走高跳のマフチク選手(23、ウクライナ)推しです!
※ヤロスラワ・マフチク・・・昨季、37年ぶりに世界記録を更新。パリ五輪で金メダルに輝いた
織田:この間のパリも彼女はキラッキラ輝いてましたよ。
橋岡:それで強い。
織田:知らない人は今すぐ調べてほしい選手。最後はサニブラウン選手どうですか?
サニブラウン:やっぱりグラント(26、アメリカ)じゃないですか、ハードルの。
※グラント・ホロウェイ・・・世界陸上3連覇中のハードル絶対王者。フロリダ大学でサニブラウンの1学年上の先輩、リレーでバトンを繋いだこともある。
織田:あ、同じチームだったよね。
サニブラウン:はい、大学で一緒でした。早く世界記録を出してほしいですね。それだけのものを持っていると思うので。
織田:そう言われちゃうと僕は泉谷を推しちゃうな。
※泉谷駿介(24、住友電工)・・・世界陸上ブダペスト大会で、五輪・世界陸上通じて世界大会日本勢初の決勝進出を果たした。
織田:110mハードルはまた面白そうな時代に来ていると思うんですよ。本当に日本の人たちに見てほしい種目。今はなかなか難しいと思うんだけど、昔アメリカで「第10レーン!?」ってくらい近い距離で見たことがあって、ぜひ国立競技場でもできる限り近くで見てほしい。すごい迫力で「おぉっ!速ぇ!」ってなるやつ。それで、「ガシャンガシャンッ!」って音も凄いから!テレビであの迫力出してって何度もお願いしていたんだけど、でもやっぱりテレビでは伝わり切らない生で観たときのハードルの凄さ。「速ぇ!」っていうのと、男子ハードルの高さ。あれはビックリするから。
サニブラウン:腰より上ですからね。
織田:上ですよ。本当に飛んでいるような!
2025年9月に世界陸上が東京・国立競技場にやってくる
織田:いよいよ25年9月、世界陸上が国立競技場にやってきます。やっとですよ、あの国立競技場の観客席を埋める世界大会は世界陸上が初となります。ここで、競技の目標とか意気込みがあれば皆さんからいただけますか。
田中:今のところ1500mと5000mで世界陸上の参加標準を切れていて、今まで2種目で世界と戦うというところができていなかったので、2種目で世界と戦うところを見せたい。それだけではなくて、本気で世界のトップに挑んでいく姿を見せたい。今まで本気じゃなかった訳ではないんですけど、今まで以上の本気を見せたいなと思います。
織田:もう十分本気度は我々に伝わっています。たまには力を抜いてくださいね。では、橋岡選手。
橋岡:満員の観客の中で一番跳んでいる自分をイメージして、その目標に向かってやり切るだけだと思っているので。
織田:皆さんご存じかもしれませんが、手拍子は求めますか。
橋岡:はい。観客と一体感を。
織田:わかりました、手拍子をあげてください!橋岡選手だけでなくて、世界の選手にも手拍子してあげて盛り上げていきましょう。では、サニ。
サニブラウン:そうですね、まぁまた織田さんにハンカチを持っていただくことになるかなと。
※織田裕二さんの涙・・・2022年世界陸上オレゴン大会でサニブラウンが日本勢初となる100m決勝に進出した時、スタジオで観ていた織田が思わず涙をした。
織田:俺さ一番好きなのは嬉し涙なの。
橋岡:ハンカチじゃ足りないんじゃない?
サニブラウン:タオル?
織田:おっと!?マジですか?
サニブラウン:いや、本当に。
織田:そしてもうチャンピオンとして迎えますが、どうですか北口さん。
北口:うーん、あんまりチャンピオンと言われても気にはならないと思うんですけど。やっぱりもう一回勝ちたいなっていうのと。日本の皆さんの前で投げている姿を見せたいし、また『君が代』を聞きたいなって思います。
織田:いいですねぇ。めったに聞けないんですよ『君が代』は。陸上は世界中の人が一度は通っているスポーツだから、本当に“ライバルが世界”なんで。世界中隅々にある小国でも、すべての国々がライバルになる。本当に王様みたいなスポーツが陸上だと僕は思っているので、そんなシンプルでいて奥が深い世界陸上が来年9月、国立競技場であります。皆さん、今回は国立競技場でお待ちしています。ぜひ来てください!