今年、多発した”記録的豪雨”や”ゲリラ雷雨”。
東京でも8月、道路の冠水や地下鉄の浸水などの被害が…。
深刻化する”都市型水害”の対策について、江藤アナが東京都・小池知事にインタビュー。
【写真を見る】小池都知事✕江藤アナ 小池知事語る“都市型水害”への備え「地下河川化計画は“令和の徳川家康”」【ひるおび】
小池都知事✕江藤アナ 東京の河川監視”司令室”で対談
江藤愛アナウンサー:
今年は豪雨であったり台風の被害があったりとすごかったと感じました。
今日この場所も大事な場所だと伺っています。
東京都庁の中にある「水防室」。
河川の監視、水位や雨量などの情報収集、防災情報の発表・伝達を行う水害対策の“司令室”です。
東京都 小池百合子知事:
川はとても大事で、生かしていくこと、そして、暴れることがないようによく監視・注意していかなくてはいけない。
24時間365日、ここでウォッチしているわけです。
江藤愛アナウンサー:
東京の川を?
東京都 小池百合子知事:
158箇所に監視カメラがありまして、水位から雨量のデータなども集約しています。
河川の監視には、最先端技術の導入も予定されています。
将来的にAI=人工知能を活用した監視カメラ映像の自動解析で、水位を的確に把握することが可能に。
2026年度に運用開始予定で、導入されればこれまで以上に『氾濫危険情報』を迅速かつ正確に発表できるといいます。
東京都 小池百合子知事:
これからますます活躍するのはAIですね。愛さんですね。
江藤愛アナウンサー:
ありがとうございます。そんなAI(あい)になりたい…。
”都市型水害”への備え
江藤愛アナウンサー:
他に東京都が行っている水害対策があったら教えてください。
東京都 小池百合子知事:
2年前に「東京強靭化プロジェクト」というプロジェクトを組みました。
2022年に小池知事が打ち出した、都市防災に関する計画。
風水害・地震・火山噴火・電力通信・感染症という5つの危機に対し、
2040年代に目指す強靭な東京の姿の実現に向けて取り組みを進めています。
小池知事は2022年の会見で
「降雨量の増加に、確実に対応していかなければなりません。
河川の施設などの豪雨対策をレベルアップ致します。」
と話しています。
東京都 小池百合子知事:
何をしてるかって言いますと「地下の調節池」。
江藤愛アナウンサー:
神殿のような作りのものもありますよね。
東京都 小池百合子知事:
27か所、雨が降っている時に調節”池”に溜めるわけです。
環状7号線の地下に“プール1800杯分”の貯水池
川の氾濫による浸水被害を防ぐことを目的に作られた「調節池」。
いったい、どんな場所なのか?
普段は入ることができない最前線を取材しました!
飯田麻菜美リポーター:
都内最大の貯水量を誇る環七地下調節池にやってきました。
大雨の時、増水した川から一時的に水を貯め、河川が氾濫しないよう防ぐ役割を担っています。
交通の大動脈「環状七号線」の地下で、都心を流れる神田川など3河川の氾濫を防いでいるのが『神田川・環状七号線地下調節池』。
深さ40メートルに位置する防災施設です。
エレベーターで地下に降り、暗闇をライトで照らしながら進むと…
飯田麻菜美リポーター:
突きあたりに到着しましたね。すごい!
さらに大きなトンネルが現れました。
直径12.5メートルの巨大なトンネル状の地下調節池。
全長はおよそ4.5キロメートル!
1時間に50mmを超えるような大雨が降った時には、この巨大なトンネル部分に水を取り込み、河川の水位を下げることで氾濫を防いでいます。
貯められる水の量は都内最大の54万立方メートル。
東京都第三建設事務所 大友俊第二課長:
小学校の25メートルプール、大体1800杯分の水を貯めることができます。
これだけの巨大な空間で水害に備えているのは、都市部ならではの理由が…。
通常、降った雨は土壌に染み込み、ゆっくりと海へと流れ出ます。
しかし、コンクリートやアスファルトの土地が多い都市部では雨の逃げ場がありません。下水道や川に直接流れ込むことで、道路の冠水や河川の水位の急激な上昇などが起こりやすくなるのです。
東京都第三建設事務所 大友俊第二課長:
急激に上昇した(河川の)水位に対しても、溢れさせないということで、一時的に水を逃がす調節池といった施設も有効になると考えている。
今後の計画について
江藤愛アナウンサー:
「地下河川化計画」がすごいなと思いまして
東京都 小池百合子知事:
東京湾まで(地下河川を)つなげていくという計画も練っています
一体どういうものなのか?
ひるおびが向かったのは、環七通り沿いにある工事現場。
階段を降りていくと…
東京都第三建設事務所 大友俊第二課長:
こちらがトンネルのスタート地点です。
地上から約50mの深さにある、直径12.5mに及ぶ新たな巨大トンネル!
完成すれば2つの地下調節池がつながり、全長13.1km、25mプール約4800杯分もの水を貯めることが可能になるそうです。
20分ほど歩いてトンネルの先端へ。
そこには…シールドマシンと呼ばれる巨大な掘削機!
約900個のカッターで、1日に3mほどのスピードで掘り進めています。
東京都第三建設事務所 大友俊第二課長:
令和9年度末までにトンネルを堀り終えて、取水開始できることを目指して工事しています。
完成すれば、1時間あたり100ミリの集中豪雨に対しても効果を発揮。
また、ある地域では”豪雨”、別の地域では”弱い雨”といった場合でも、トンネルがつながることで貯留量の調整がより柔軟に対応できるようになるといいます。
さらに…計画はそれだけにとどまりません。
東京都第三建設事務所 大友俊第二課長:
最終的には東京湾までトンネルを伸ばして、もう1本の川を作る。
地下河川化することによって(東京湾に)流し続けることができるので、
さらに長い雨に対応できる。より大きな効果が期待できます。
小池知事の、水害対策への“思い”とは
東京都 小池百合子知事:
これまで考えられなかったような災害が各地を襲っている。
歴史をひも解いてみると、徳川家康は利根川を東の方に持って行って、水の流れを変えるなどのいろんな工夫をしながら、江戸は発展を重ねたんですね。
約400年前、江戸の町を水害から守るため、工事により利根川の流れを変えた徳川家康。
大都市を守るため、地下河川化を計画する小池知事は、先人に共感する部分があるようで…。
東京都 小池百合子知事:
(地下河川化計画は)”令和の徳川家康”。
先人たちから学んで、危機管理というのは”最悪のことを考えよ”というのが一番の基本。最悪のことを考えながらベストを尽くしたい。
“防災への意識”は先人たちの工夫だけでなく、他にも影響を受けたものが…。
東京都 小池百合子知事:
小学校の時からガールスカウトをやっていて、モットーが「備えよ常に」です。「自分だけは大丈夫」だとみんな思っている。「我が家だけは大丈夫」だと思っているけど、最近の災害はあなたにかかってくるかもしれません、あなたの地域をみんなで守っていきましょうね、いざといったときにはこういう風に逃げましょうね、と。
残念ながらこれだけ災害が多い時代になりましたので、いろんな対策をしっかり講じていきたい。
(ひるおび 2024年12月24日放送より)