「独裁的だった」“一強体制”のキッカケは? 背任の疑いで東京女子医大元理事長の女(78)を逮捕【Nスタ解説】

TBS NEWS DIG Powered by JNN
2025-01-13 21:43

東京女子医科大学の元理事長の女が、キャンパスの新校舎の建設費用をめぐり大学に損害を与えたとして逮捕されました。

【写真を見る】異論があると“組織から排除”も…元理事長はどんな人物だったのか?

振り込まれた資金が元理事長に還流か 過去には「一強体制」指摘も

良原安美キャスター:
東京女子医科大学の元理事長・岩本絹子容疑者(78)が背任の容疑で逮捕されました。

2018年7月から20年2月、河田町キャンパスの建設工事を巡って、一級建築士の男性(68)にコンサルティング業務を行っていないにもかかわらず、報酬名目で現金約1億2000万円を支払い、大学側に損害を与えた疑いが持たれています。

さらに振り込まれた資金が元理事長に還流された疑いもあるということです。

東京女子医科大学は、国内で唯一、女性のみを対象に医学教育を行う東京都新宿区の私立大学です。1900年に創立、1952年に開校しました。

医学部、看護学部、大学院、大学病院、医療センターなどがあり、学生数は1353人(2024年5月1日時点/大学HP)、教職員・研修生は5735人(2023年5月1日時点/事業報告書)となっています。

また、過去にはこんなこともありました。

東京女子医大の医学部の卒業生を会員とした同窓会組織「至誠会」の元職員が元事務長と共謀して、勤務実態がないのに、約2000万円の給与を受け取った疑いが持たれていました。

2024年3月に、警視庁が家宅捜索し、大学は第三者委員会を設置していました。この第三者委員会の調査報告書では岩本容疑者の「一強体制」が指摘され、「抜本的な改善・改革が必要」と強く批判されていました。

関係者によると、元職員と元事務長は岩本容疑者の側近だったとも言われています。

「おそらくノーと言えないんだなと」一強体制 新部署創設がきっかけか

井上淳司 記者:
捜査幹部によると、警視庁は家宅捜索に入った容疑のほか、大学の第三者委員会の報告書や、報道で指摘されていた問題について、捜査二課の総力を挙げ、徹底的に調べ上げたと話しています。

その結果、今回の容疑について、証拠が固まったことから逮捕に至りました。

捜査幹部は「岩本容疑者は内外に多大な影響力を持っていた。権力を持つのは悪ではないが、組織のために正しく行使しなければならず、岩本容疑者はこの道を大きく踏み外した」と厳しい言葉で批判しました。

大学関係者や第三者委員会の報告書によると、岩本容疑者はコロナ禍などで徹底的な経費削減を進める一方で、自身の報酬については継続的に増額していました。
第三者委員会は、「金銭に対する強い執着心が見受けられる」と批判。さらに「周辺を自らの側近で固め、反発する人がいると人事異動させる」とも指摘しました。複数の関係者が取材に対し「独裁的だった」と証言しています。

関係者によると、岩本容疑者の一強体制は、東京女子医大が医療事故による補助金減額で赤字に陥った2014年に副理事長に就任し、「経営統括部」という部署を創設したことがきっかけだったということです。

「経営統括部」には、人事や大学施設の決裁権など、幅広い権限が集中していました。

岩本容疑者を刑事告発した 至誠会のメンバー
大変独裁的であると思います。

(2014年に)副理事長になられ、ご自身で経営統括部というものを設立されて、いろんな権力というか、ものであったり、人事であったりとか、そういったものを自分たちが監視するという機構をつくられた。岩本先生が言ったことに対しては、おそらくノーと言えないんだなと」

「誰も逆らえなくなった」 岩本絹子容疑者の人物像は

良原キャスター:
今回、逮捕された岩本絹子容疑者は、1973年に東京女子医大の医学部を卒業。92年に東京女子医大の同窓会組織「至誠会」の理事に就任しました。

2014年に東京女子医大の副理事長に、2019年に理事長に就任し、2024年8月に解任されています。

岩本容疑者の人物像について、第三者委員会の調査報告書によると、▼金銭・金儲けに対して強い執着心がある。▼岩本容疑者に異論があると、敵視され、組織から排除されてしまうこともあるということです。

刑事告発した女性は、「副理事長に就任した頃から、誰も逆らえなくなった」と話していました。

一般推薦とは別の“至誠会枠” 寄付の有無で評価逆転し物議

良原キャスター:
また、大学入試についても物議を醸しています。

推薦入試の中に“至誠会枠”というものが存在します。一般推薦とは別枠で、対象は卒業生・在学生の3親等以内の親族にあたる受験生です。

「至誠会」の審査に基づく推薦入試があり、寄付額などに応じて加点もあるといいます。

2020年度から23年度の“至誠会枠”の合格率は94.3%でした。

第三者委員会の報告書によると、大学や至誠会への寄付は、“至誠会枠”を決める面接審査の直近2か月間に集中し、2020年度から23年度の寄付金は計3520万円だったということです。

寄付の有無で推薦の評価が逆転してしまうということで、物議を醸していました。

2026年度入試からは廃止され、一般推薦入試に統合されるということでした。

井上貴博キャスター:
これだけ大きな大学なのに、ガバナンスが全く効いていなかったと言えます。

補助金が減額されたことやコロナ禍関連の補助金減額の影響もあるようですが、経営が厳しい状況で、他の大学に比べても職員の給与水準が低いと言われているものなども全て改善していけるのか、第三者を入れて抜本的にしていけるのか。かなり大きな瀬戸際に立っていると言われています。

ホラン千秋キャスター:
組織が大きくなっていくと、力のあるリーダー、統率力のあるリーダーが力を正しく発揮すれば、組織が良い方向に持っていけると思います。

門を叩く学生の皆さんが正しく評価されるシステムではなかった部分もあったと考えると、すこし残念な気がします。

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