スイス、オーストリア、イタリア・・・アルプス山脈を走る3つの山岳鉄道と「鉄の道」

TBS NEWS DIG Powered by JNN
2025-01-26 10:00
スイス、オーストリア、イタリア・・・アルプス山脈を走る3つの山岳鉄道と「鉄の道」

番組「世界遺産」では「世界を変えた鉄」という特別企画を制作中です。武器、建築、移動手段・・・さまざまな形で利用されてきた鉄と人類の歴史を、関連する世界遺産で辿っていくという趣向。ツタンカーメンの墓で発見された隕鉄(鉄を多く含む隕石)から作られた短剣、パリのエッフェル塔やニューヨークの自由の女神(実は内部は鉄骨で作られています)、シドニーのオペラハウスなど、いろいろな世界遺産が登場するのですが、鉄に関わる世界遺産といえばやはり「鉄道」です。

【写真を見る】アルプスの絶景を楽しめる山岳鉄道

標高2000メートル、3つの氷河をめぐる 100年前の山岳鉄道「レーティシュ鉄道」

特別企画で取り上げるのはスイス・アルプスの山中を走る世界遺産「レーティシュ鉄道」。100年前に作られた山岳鉄道で、標高2000メートル近くの3つの氷河を巡り、山岳リゾートのサンモリッツへ到着します。レーティシュ鉄道の開通によって、苦労して登山しなくてもアルプスの絶景を楽しめるようになり、今や世界中のセレブが集まる高級リゾート・サンモリッツが生まれたのです。番組ではドローンを駆使して撮影、アルプスの雄大な自然とその中を走る列車をうまく捉えることが出来ました。

世界初・アルプス山脈を越えた「ゼメリング鉄道」 150年以上現役で走り続ける

アルプスには他にも、世界遺産と関わるふたつの山岳鉄道があります。ひとつがオーストリアの世界遺産「ゼメリング鉄道」。レーティシュ鉄道よりも早い1854年に開通した鉄道で、世界で初めてアルプス山脈を越えました。少しでも緩やかな勾配で列車が登っていくように、トンネルと橋を上手く組み合わせていて、さらにアルプスの自然と調和するように橋のデザインも「ローマの水道橋風」になっています。この路線が通ったことで、首都ウィーンと地中海の都市が結ばれ、いまに至るまで150年以上も現役で走り続けているのです。

標高3454m ヨーロッパで最も標高が高い駅がある「ユングフラウ鉄道」

もうひとつがスイスの「ユングフラウ鉄道」。これ自体は世界遺産ではありませんが、自然遺産「スイス・アルプス ユングフラウーアレッチ」を走る重要な山岳鉄道です。3つの名峰、アイガーとメンヒとユングフラウの中を貫くトンネルを走り、到着するのがユングフラウヨッホ駅。標高3454メートル、ヨーロッパで最も高いところにある駅です。駅の展望台からはアルプス最大のアレッチ氷河を一望することが出来て、番組でスイス・アルプスを撮影する時にはかならず利用する鉄道です。

「目もくらむような…」標高3000mの峰に天空の吊り橋

もうひとつ「鉄の道」と名付けられたものが、イタリアの自然遺産「ドロミーティ」にあります。イタリア語で「ヴィア・フェラータ(鉄の道)」と呼ばれる登山方法で、鉄のワイヤーを岩山に張り巡らせ、そのワイヤーをつたって登っていくというもの。比較的登山経験の少ない人でも険しい岩山を登ることが出来る方法です(ただし岩肌に多数の穴を開けるため、自然環境保護の観点から批判の声もあります)。元々は第一次世界大戦の時に兵士たちが山を越えていくために始まったもので、ドロミーティ一帯が発祥地とされています。ここもアルプス山脈の一角で、標高3000メートル級の岩山が18もそびえているロッククライミングの聖地。

ヴィア・フェラータの登山コースの中には、標高3000メートルの高所に「天空の吊り橋」もあります。番組でもこの橋の上から撮影したのですが、「目もくらむような」という表現がピッタリの映像を記録することが出来ました。

このように鉄は「登山」にも大きな変化をもたらしてきました。山岳鉄道によって登山家ではない普通の人もアルプスの高みへ行くことが出来るようになり、鉄のワイヤーを使った登山方法によってロッククライミングの技術が乏しい兵士でも断崖絶壁を登ることが出来るようになりました。

登山以外にも、鉄が人類の文化に与えた影響をいろいろと紹介する特別企画「世界を変えた鉄」、ご期待ください。

執筆者;TBSテレビ「世界遺産」プロデューサー 堤 慶太

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