高額療養費の見直しを見合わせ ぶれる石破総理の政治的信念は?星浩さん解説【news23】
高額療養費制度の見直しをめぐり、方針を二転三転させ、身内からも批判される石破総理。「秋までに方針決定」としていますが、がん患者団体からは不安の声が出ています。
「高額療養費の見直し」を見合わせ がん患者団体からは不安の声
9日に行われた自民党大会。自民党の議員を前に石破総理が訴えたのは…
石破総理
「高額療養費の問題。私たちはもう一度丁寧に弱い人、苦しい人、つらい人、そういう人たちの声を聞き、国民に最も近い自由民主党(になる)」
こう強調した石破総理ですが、身内からは…
自民党 小林鷹之 元経済安保担当大臣
「政策の決定が、意思決定が二転三転しているように感じる」
高額療養費制度の見直しをめぐり、石破総理はこの1か月、方針転換を繰り返しました。
石破総理(2月17日)
「多数回該当の見直しを凍結しつつも、高額療養費制度の見直し自体は実施」
石破総理(2月28日)
「一旦立ち止まりまして、(来年以降の実施分は)改めて方針を検討し、決定する」
石破総理(3月7日)
「(高額療養費制度の)見直し全体の実施を見合わせる」
政府は2024年12月、自己負担額の上限を2025年8月から段階的に引き上げる方針を決めていましたが、▼2月中旬に、長期療養者などの引き上げを見合わせ、▼2月末に、来年・再来年の引き上げを見合わせ、▼7日(金)に、制度見直し全体を見合わせました。
結局、2025年の秋までに改めて方針を検討し決定するとしたのです。
2025年は夏に参院選を控えています。“秋までの決定”と先延ばししたことについて、野党からは…
立憲民主党 徳永エリ 参院議員
「参議院選挙が終わったら、同じような引き上げ案が出るのではないか。今度は強行されて決まってしまうのではないか」
石破総理
「選挙目当てでこのようなことをやっているのではない。強行することもいたしません」
こう明言した石破総理ですが、がん患者団体からは不安の声が…
全国がん患者団体連合会 轟浩美 理事
「疑問に思っているのは、なぜ秋にもうお尻(期日)を決めているのだろう。なぜ、丁寧にすると言いながら、ここが決まっているのだろうということは今も釈然としておりません」
石破総理に2つの“ぶれ” 政治的信念は?
小川彩佳キャスター:
不信感を覚えるのも無理はないように感じます。石破総理の方針が二転三転していますが、二つのぶれがあるということですか?
TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
まず一つは、「政策のぶれ」です。この問題では、賛成するか反対するかは別として、今回の見直しは必要だと。これは子育て予算の原資にもなるので、国民にとって負担はあるが、お願いしてそのまま突っ走るのか。
それとも、格差が広がっている中で、弱い立場の人には税金を使って支援するという立場なのか。
今回の石破総理はそのどちらでもないんです。なので、政策の軸がはっきりせず、ぶれまくってしまったというのが「政策のぶれ」です。
もう一つは「政局のぶれ」、政局の見通しの誤りです。自民党と公明党は見直しの方針を支持してくれると思っていましたが、参議院選挙が近いので、自民党からも公明党からも「これじゃやっていけない」という声が上がり、最終的には石破総理が折れてしまったということです。
この一連の流れの中で、石破総理という人は「政策的にも政局的にもぶれる総理大臣」だというのが自民党の中で広がったというのは、石破政権にとって非常に大きなダメージになったと私は思います。
小川キャスター:
そして、その度に翻弄されるのは国民や当事者の皆さんなので、たまらないですよね。
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<プロフィール>
星 浩さん
TBSスペシャルコメンテーター
1955年生まれ 福島県出身
政治記者歴30年