コメ5キロ「4077円」前年比2倍に JA全農「“備蓄米”表記せず販売を」 店頭には“ブレンド米”として並ぶ見通し 高騰の影響は米焼酎や味噌にも…【news23】
17日、農水省が発表したスーパーのコメの平均販売価格は5キロあたり「4077円」と、去年の2倍になりました。コメ高騰の影響は食卓に欠かせない他の商品にまで広がっています。
コメ値上がり“10週連続” 去年の倍に
コメの値上がりが止まりません。農林水産省は17日、スーパーで販売される最新のコメの平均価格を発表。
5キロあたり4077円と、初めて4000円を超え、去年の同じ時期の約2倍に。値上がりは“10週連続”となりました。
政府は価格を安定させるため備蓄米を放出。先週金曜、対象となった15万トンの大半の14万トン余りが落札されました。
17日、落札業者の一つ、JA全農が説明会を開きました。
JA全農 藤井暁 米穀部長
「(備蓄米の)販売にあたり、落札金額に運賃・保管料・金利・事務経費など、必要経費のみを加え適正に取り扱う」
備蓄米については、卸売業者などに対し「必要最小限」の経費のみを加えた価格で販売すると表明。
さらに、備蓄米をスーパーなどで販売する際に、「備蓄米」と表記しないよう求めていることも明らかにしました。
店頭には「ブレンド米」として並ぶ見通しで、消費者にとっては備蓄米かどうか判断できなくなります。
この対応についてJA全農は、割安となる見通しの備蓄米をめぐり「買う人が取り合いになるなどの混乱は避けたい」などと説明しています。
また、卸売業者の間で取引されるコメの価格は、今後も「高止まりする」との見解を示しました。
「高止まり」が予想されるコメ。この秋も影響が出そうです。
値上がりの余波 新米は予約完売
新米作りを始めている栃木県内の農家。今年は140トンのコメを収穫予定ですが、すでに予約で完売しているといいます。
岡田農園 岡田伸幸さん
「今までは売り先が決まっていたということがなかったので、作って売れればいいなという感覚だったが、今年は何とか作らなきゃいけないなという感覚になっています」
そば畑を田んぼに作り替え、今年はさらに5トン収穫を増やす予定だという岡田さん。コメの価格は下がらないとみています。
岡田農園 岡田さん
「大手集荷業者も備蓄米が放出されるのを前提に動いているようなので、コメの買取価格に変動はない。やはり生産者が減少している。根本的な解決方法は難しい」
影響は主食の「ご飯」以外にも…
仕込みの最盛期を迎えている熊本県内の米焼酎「球磨焼酎」の酒蔵。コメには「主食用米」のほか、酒などの原料となる「加工用米」がありますが、この「加工用米」の価格が2倍以上に高騰しているというのです。
深野酒造 深野誠一 社長
「蔵によっては全然入らないとか、3倍くらいの値段で買ったとか、いろんな話が出ている」
日本食に欠かせない味噌。コメと麦の合わせ味噌をつくるこちらの企業も、「加工用米」の高騰で打撃を受けています。
フンドーダイ 山村脩 社長
「想像を超える金額・価格の高騰。食用米に比べて加工用米は価格が低い関係で、農家が生産する量はさらに少ない。それが不作だったということがあり、去年(2024年)はものすごく影響が出た」
食卓に大きな影響を与えるコメの価格。備蓄米は今週、落札した業者に引き渡されます。